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2024.02.15

徳川家康を守った16歳の猛将・丹羽氏重【歴史好き芸人・ロバート山本の偏愛武将③】

お笑いトリオ「ロバート」として活躍する傍ら、大の歴史好きとしても知られる山本博さん。戦国時代を愛する山本さんが推薦する「生き様がカッコ良すぎる武将」とは? 今回は、丹羽氏重(にわうじしげ)について。#1#2#3

丹羽氏重のイラスト
llustration=山本博

死んでも構わない! 何十倍の兵力の敵に挑んだ青年武将

丹羽氏重(にわうじしげ)は16歳で亡くなった、徳川家の家臣。氏重が名を残したのは「小牧・長久手の戦い」で、羽柴(後の豊臣)秀吉陣営と織田信雄・徳川家康陣営の間で行われた戦だ。

「本能寺の変で織田信長とその長男の信忠(のぶただ)が亡くなった後は、次男の織田信雄(のぶかつ)が後継者の筆頭となりました。そんななかで秀吉は大きな力をつけ、織田家を乗っ取ろうとする。そこで信雄は家康を頼り、『小牧・長久手の戦い』が起こったわけです」

兵力は秀吉陣営が圧倒的に上だったが、家康は要所である小牧山城を先に占拠。家康は土塁などを整備し、戦いを有利に進めようするも、秀吉方の武将・池田恒興(いけだつねおき)や森長可(ながよし)らは小牧山城には目もくれず、家康が留守にしていた本拠地の三河地方へ攻め入ろうとした。三河が攻められることになれば、家康は大ピンチだ。

「池田恒興と森長可が三河へ進む途中にあったのが、岩崎城という小さな城。城を預かっていたのが16歳の丹羽氏重でした。本当の城主は20歳ほど年上の兄・氏次(うじつぐ)でしたが、家康に従軍していて留守にしていたんです」

岩崎城を守備していた兵士は200名程度。一方の池田恒興たちが率いる軍勢は7,000名だったともいわれている。

「圧倒的な戦力差ですよ。なので、池田軍は岩崎城なんて無視して目の前を通過したんですが、丹羽氏重は『ここで見過ごすのは末代までの恥になる!』と城兵を説得して、討死覚悟で打って出ました。池田軍も、まさかと思ったでしょうね」

ロバート山本さん 戦国武将の合図の真似
山本博/Hiroshi Yamamoto
1978年群馬県生まれ。1998年にお笑いトリオ「ロバート」を結成。テレビ番組『はねるのトビラ』のレギュラーに抜擢され、ブレイク。2011年のキングオブコントで優勝。近年ではプロボクサーとしての活動や、2018年に初の絵本『むちゃぶり かみしばい』(文芸社)を出版したことでも話題に。大の歴史好きとしても知られ、趣味の城巡りでは日本100名城を70以上巡っている。

氏重軍は池田軍の攻城隊を三度に渡り撃退するなど必死の戦いを見せる。しかし、結局城は落とされ氏重も戦死した。

「でも、氏重軍が善戦して時間を稼いだおかげで、家康軍は池田軍への対応が可能となり、池田恒興や森長可を討ち取ることになります」

「兄の氏次は徳川の天下になってから三河国伊保に1万石を与えられ、大名に取り立てられました。そこには氏重の功績も考慮されていたといわれています。16歳という今なら高校生くらいの若者が、命をかけて家康を守ろうとした。その気概が、結果的に丹羽家を大名にしたのかもしれません」

とはいえ、学校で習う日本史の教科書には丹羽氏重の名前が書いてあるものはほとんどなく、その生き様も一般的には知られていないだろう。年号や著名な合戦、武将だけを暗記するだけが歴史ではなく、むしろその結果の裏側にあるさまざまな逸話こそが歴史の面白さなのだと、山本さんは話す。

「負けた側にもいろんな逸話があるし、『そもそも何で戦うことになったのか』といった話も面白いじゃないですか。すべての武将に自分なりの正義や大義名分、思惑があって、人間関係のもつれとかちょっとした行き違いとか、そういうこともたくさんあった。ただの事実の羅列ではない、壮大な人間ドラマとして歴史を見てみると、いろいろな発見ができて歴史がより面白くなっていくはずです」

ロバート山本さんの後ろ姿
山本家の家紋が入ったオリジナルの陣羽織。はんにゃの金田さんら歴史好き芸人6人が集まるユニット「六文(ろくもん)ジャー」の活動時に着用している。

TEXT=古澤誠一郎

PHOTOGRAPH=鈴木大喜

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