2023年は大活躍を見せた川口春奈が、映画『身代わり忠臣蔵』でヒロインを好演している。川口といえば、10代より俳優業を続けている、いわば“仕事人”。ビジネスパーソンにとっても彼女から学ぶべきことも少なくないはず。その仕事に対する思いを聞いてみた。インタビュー2回目。#1 ■連載「NEXT GENERATIONS」とは
「毎日が肉体労働で地道なもの」
「結果的に自分を高く評価していただけた代表作はありますが、向き合い方はいつも同じ。特に『これを代表作にしよう』と思っているわけではありません(笑)。変わらず、ひとつひとつ目の前の作品に向き合っています。この仕事は毎日が肉体労働で地道なもの。やるべきことをひたすらやり終える日々です」
自らの仕事をまっとうする意識が華やかな今を支えている。映画にしても、舞台にしても、役者という仕事は、チームワークの賜物のように映る。そのなかで、自身の役割について思うところはあるのだろうか。
「もちろん、みんなでいいものを作っていこう、という気持ちではいます。ただ、自分は、先陣を切って人をまとめていくタイプではなくて、いつも自分のことで精一杯。だから、自分がやるべきことをしっかりとやることが、きっといい作品にするための近道だと思って、演じています。
みなさんにとっては華やかに映るかもしれないエンターテインメントの世界ですが、やることは本当に地味。だからこそ、思いっきり楽しむことも心がけています」
自分が自分であること
とにかく、目の前のことを楽しむことを日々積み重ねているようだ。川口にとっての仕事とは何か、定型的な質問を向けてみる。
「ないです、ないです。そんな大それたものは(笑)」
あっけらかんと笑顔で答える"ありのままの姿"が魅力的だ。現在レギュラー出演しているバラエティ番組『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』などでも見られる自然体の姿に重なる。
「バラエティはバラエティで難しいところがあります。時として、自分が求められていることがわからなくなることも。もちろん、周囲にはバラエティのプロたちが集まっているので、心配することはないんですけどね。なので、役があったほうが自分は楽ですね。やるべきことが見えているので」
自然体の彼女をよりいっそう堪能したいならば、YouTubeチャンネル『はーちゃんねる』を推奨したい。サウナや買い物企画など、飾らない姿に親近感が高まる。
「いちばん自分らしいのは、断然YouTubeですね。自分そのものをもっと発信できたらいいなという想いを、コロナ禍を機に具現化しました。自分が興味のあることをおもいっきり楽しんでいる姿を見せて、それを喜んでいただけるのはありがたいです。映画やテレビでは見せられない素の自分を見てもらえることが、自分にとってもストレスがなくて楽なんです」
何より、“自分が自分であること”を大切にしているのだろう。
「“川口春奈”として、ちゃんと地に足がついた人間でありたいんです。自分は運やタイミングに恵まれてここまで来られた。今の仕事にはやりがいも感じていますし、応援してくださる方もたくさんいてとってもありがたいです。
一方で、こういう性格なので、この仕事に代わる何か面白そうなプロジェクトを思いついたら、どうなるかはわかりませんけど(笑)。
ただ、この職業に執着するわけではないですが、求められている以上、精一杯自分らしく務めたいというのが本心です」
第3回へ続く。
衣装クレジット:ワンピース¥485,100、ブーツ¥323,400、イヤリング¥74,800(すべてフェンディ/フェンディ ジャパン TEL:03-6748-6233)
■連載「NEXT GENERATIONS」とは
新世代のアーティストやクリエイター、表現者の仕事観に迫る連載。毎回、さまざまな業界で活躍する10〜20代の“若手”に、現在の職業にいたった経緯や、今取り組んでいる仕事について、これからの展望などを聞き、それぞれが持つ独自の“仕事論”を紹介する。