1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウェアを生み出し続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた仕事人たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「人生を彩る眼鏡」の第31回は映画監督の是枝裕和。「人生を彩る眼鏡#31」/「男を起動させる眼鏡」#1〜50
PERSON 81
映画監督/是枝裕和。

モノ選びの基準は「実用性」
「今日の撮影は、もう操上さんにお任せで。何も考えず、身を委ねました」
“撮られる側”となった今回の撮影を、映画監督の是枝裕和さんはそう振り返る。
普段眼鏡は必要としないが、海外へ行く際にはサングラスを持参することも。選びの決め手は、「実用性」だという。
「身に着けるものは、身体に負担がないのが一番。だから、サングラスは軽いものを選ぶことが多いですね。服選びでも、撮影現場ではどこにでも座れるものがいいし、編集室だとウエストがゴムのパンツのほうがいいし……。なんてことばかり考えていると、だんだんだらしなくなってしまうので、そこは気を付けています」
そんな是枝さんが選んだのは、淡いカラーレンズを搭載したE5 eyevanの「m20」。眼鏡の本質的な機能を追求した結果生まれたミニマルなデザイン、そして軽やかなかけ心地が特徴の1本だ。
「サングラスをかけている顔を見慣れていないので、あまり主張が強くないものを選びました。これは本当に、かけていてラクでしたね。それでいて、お洒落できちんとして見える。海外の映画祭でかけるのに、良いかもしれません。レッドカーペットを歩いたりする時に、撮られるのが本当に恥ずかしいんですよ。サングラスがあると、視界にフィルターがかかるので。ひとつ演出が入ることで、羞恥心が和らぎます」
2026年は、2本の作品が公開予定だ。ひとつは、是枝さんが原案・監督・脚本・編集を手掛け、綾瀬はるかさんとお笑いコンビ・千鳥の大悟さんが主演を務める『箱の中の羊』。もうひとつは藤本タツキさんによる漫画『ルックバック』の実写映画。ちなみに、今回の撮影を行った日は編集作業の真っただ中。寝食以外はすべて作業に充て、「寝ている間も編集の夢を見る」ほどだという。
「編集は、自分がやりたかったことを再認識していく作業。アイデアを発想してから、撮影という集団作業が一年以上続くなかで、ときどき『これって、なんの映画だったっけ』とわからなくなることもあるんです。でも、自分で手を動かして編集していると、やりたかったことがもう一度見えてくる。新たな発見もしながら、作品を自分の手元にたぐり寄せるような感覚ですね」
“わかりやすさ”や、“速さ”が求められたり、善悪など単純な二項対立で物事を捉えがちな現在。そうした状況に「作品で抗っていきたい」と是枝さんは言う。これまで、あまり光が当たることのない社会問題や、個人の内面的な機微を繊細かつ丁寧に描きながら、エンターテイメントとしても成立させてきた。
「いくら正しいことでも、声高に訴えられるのは鬱陶しいじゃないですか。自分はそういうものを映画館には求めにいかないから、あくまで自分が観たいものを作ることを続けているだけなんです。最近は物語にわかりやすい結論を求められることも増えてきて、いつの間にか世の中とはズレてきてしまったけれど。だからといって、ぴったり合っていた時代もないので(笑)。これからも抗っていきます」
日本映画界を代表する監督として、現在は映画業界の環境改善や、後進の育成にも力を入れる。同時に、今なお精力的に作品づくりにも取り組むなど、常に第一線を走り続けている。
「もう60代にもなると、止まった瞬間、急に体力が落ちてしまうから。動き続けていたほうが、良かったりするじゃないですか。まだまだ撮りたいものがたくさんあるので、走れるうちは走り続けます」
是枝裕和/Hirokazu Koreeda
1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、テレビマンユニオンに参加。2014年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げた。1995年に映画『幻の光』で監督デビューし、その後も『誰も知らない』(2004年)、『そして父になる』(2013年)、『海街diary』(2015年)など、数々の作品を発表。2018年の『万引き家族』では、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞し、第91回アカデミー賞®外国語映画賞にノミネート。2023年には『怪物』が第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞(坂元裕二)とクイア・パルム賞をW受賞した。2026年は映画『箱の中の羊』『ルックバック』が公開予定。
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