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2026.06.08

クリエイティビティはSNSではなく"SNP"で磨かれる。人気放送作家のネタ考案法とは

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「令和ロマン」「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を輩出した桝本壮志のコラム。

クリエイティビティはSNSではなく"SNP"で磨かれる。人気構成作家のネタ考案法とは

「26歳の企画職です。桝本さんは、サッカーW杯から情報番組まで色んなコンテンツを手掛けていますが、どのようにクリエイティビティを磨いたのでしょうか? 秘訣があれば教えてください」という質問をいただきました。

職場がAIとの共存共栄の場になっても、新しい視点でアイデアを生み出し、そこに価値をつけていく能力。すなわち「クリエイティビティ」は、これからもビジネスパーソンにとって重要なスキルです。

スキルは「磨く」「身につける」など"努力っぽい言葉"で表現されますが、クリエイティビティは努力では手に入りません。

「無理をせず毎日やれること」をベースに摂取していく。つまり、「毎朝、ヤクルト1000を飲む」くらいのスタンスのほうが身体に定着していくのです。

では、質の良いアウトプットにつながる、より楽なインプット法とは、どんなものでしょうか?

今回は、100を超える番組やネットコンテンツに携わってきた僕なりの、「クリエイティビティの磨きかた」の1つをシェアしていきたいと思います。

「SNS」になくて「SNP」にあるもの

僕がアウトプットする場所は、一流のテレビマンとの番組会議、IT社長のビジネス相談、吉本の学校での10代~20代生徒たちとの企画ブレストなど多岐に渡ります。

10代~70代とのアイデア交換は、射程の広い情報と知識が必要ですが、僕は難なくできますし、「よくそんなネタを知っているね!」と驚かれます。

例えば、最近の若手クリエイターは、SNSで話題の都市伝説やオカルトの話をよく差し向けてくるので、「身近な場所にもあるよ」と言って、こんな画像を見せます。

桝本壮志の撮った写真

大田区で見つけた石灯篭には、「富士山誕生の伝説」を表した彫刻がほどこされているのですが、一見、宇宙人のようにも見える3体の生物が描かれているので、若手はギョッとして、前のめりで傾聴してくれるようになります。

また、IT社長からのビジネス相談の際には、世田谷区で見つけた「自転車のカタチをした自転車止め」の画像がキッカケとなり、新たな商品アイデアが生まれました。

桝本壮志が散歩時に撮った写真

つい先日の番組会議でも、NHK大河ドラマに決まった「ジョン万次郎」のことが話題となり、僕が「ジョン万とほぼ同時期に、アメリカ船に助けられて、1年以上、海外で暮らした日本人がいる」と言ったら驚かれ、「先週、墓参りに行ってきた」と告げると、さらに目を丸くされました。

文京区にある墓標には、本名・仙太郎ではなく、アメリカ人につけられた「サムパッチ」というニックネームをもとに、「三八君」と刻まれており、浪漫を感じます。

桝本壮志の散歩時の写真

ほぼ知られていない彼の人生を調査してみると、面白い映像コンテンツになるかもしれないと、会議が盛り上がりました。

もうお気づきでしょう。「SNP」とは「SANPO(散歩)」の略。僕にとって「無理をせず毎日やれること」は散歩だったので、会議と会議の合間時間をつかって都内を巡り、SNSにはない一次情報をインプットしているのです。

散歩は誰もができますし「街の見かた」を変えるとSNS以上にクリエイティビティの下支えとなります。

その一例もシェアしてみましょう。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。「令和ロマン」をはじめ、教え子は1万人以上。新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中! 桝本壮志へのお悩み相談はコチラまで。

チャットGPTに勝つ、SNPクリエイション

あるグルメロケ会議で神保町を取り上げることになったときのこと。

若手作家陣は、神保町らしくカレー一択で、チャットGPTに聞いたのか、すごい数の候補店が提案されました。

いっぽう、僕の企画タイトルは、「神保町は、中華とロシア料理がおもしろい」で、結局この案が採用になったのです。

なぜ、カレーの街なのに中華やロシアに視点を当てたのか? それを可能にしたのもSNP(散歩)だったのです。

かつて吉本NSCは神保町にあったので、僕はよく散歩をしていました。

そんなある日、「周恩来(中国の初代首相)ここに学ぶ」と刻まれた石碑を見つけ、かつて神保町に多くの中国人が居住していたことを知り、そのまま歩くと、ロシア人の修道司祭が建てたニコライ堂(東京復活大聖堂)が聳えていたので、「あれ?」と感じたのです。

神保町には「中国とロシア文化が息づいているのでは?」という仮説を抱きながら街を歩いてみると、やはり中華店が多く、なかには周恩来も通った創業100年をこえる店もありました。

そして、ニコライ堂の礼拝者のために開業したロシア料理店も発見でき、新たな知見とクリエイションの種を手に入れたのです。

良いアウトプットをするための良い習慣・悪い習慣はありませんが「効果的な習慣」は存在します。

自分のライフスタイルに合った効果的な習慣。つまり「仕組み」を見つけてみてください。

では、また来週、別のテーマでお逢いしましょう。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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