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2026.07.23

見城徹×藤田晋、AIが仕事を変える時代に、変わらない経営者の本質とは。FINCHI主催、「IVS2026」トークセッションが話題に!

2026年7月1日から3日間にわたり開催された、国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2026」。「Japan is Back」という力強いテーマを掲げた今年のIVSは、京都の各所を舞台に、スタートアップ約340社の出展、来場者数13,000人超えという活況を見せた。なかでも、本イベントのダイヤモンドスポンサーを務めたファイナンスプラットフォームFINCHIが主催した見城徹・藤田晋のトークセッションは、事前の注目度の高さをさらに上回る大盛況。AI時代でも変わらない経営者の本質についてふたりの熱量の高い言葉が飛び交い、会場を沸かせた。

IVS2026にてトークセッションをする見城氏と藤田氏

挑戦者は、人として問われている

国内最大規模のスタートアップカンファレンスである「IVS2026」が、京都で開催された。メイン会場の「みやこめっせ」には国内外のスタートアップが集結し、企業や投資家との出会いの場が創出。その場で資金調達や事業提携につながるミーティングが行われることもあり、会場の熱気は常に高かった。

今年、このイベントのダイヤモンドスポンサーを務めたのが、出資やM&Aを検討する企業同士をつなぐファイナンスプラットフォームを展開するFINCHI。初日の2026年7月1日に同名サービスを正式リリースし、会期中はメイン会場の中央に大きなブースを設けて新サービスをPRするとともに、企業同士が交流する場をつくるなど、多方面から「IVS2026」を支えた。

カンファレンスのなかでもとりわけ来場者の注目を集めたのが、FINCHIが主催したトークセッションだ。サイバーエージェント代表取締役会長の藤田晋氏と幻冬舎代表取締役社長の見城徹というカリスマ経営者2名が登壇。長年、信頼関係を深めつつ、互いに圧倒的な結果を出し続けてきたふたり。この日のトークテーマは「AIが仕事を変える時代に、変わらない経営者の本質を」であった。

ファイナンスについて語る見城氏
見城徹/Toru Kenjo
1950年静岡県生まれ。慶應義塾大学卒業。角川書店を経て、1993年に幻冬舎を設立。五木寛之『大河の一滴』、石原慎太郎『弟』をはじめ、数多のミリオンセラーを世に送りだし、「出版界の奇跡」と評されている。『編集者という病い』『たった一人の熱狂』他、自著のヒット作も。

自己顕示欲と自己嫌悪、このバランスに魅力が宿る

期待高まる満席の会場で両氏の経歴やエピソードが紹介された後、モデレーターを務めたFINCHI代表取締役の井上健氏が、約15年前に発刊されたふたりの共著にある言葉を引用しながら、質問を繰りだしていく。まずは『自己顕示と自己嫌悪は「双子の兄弟」』という言葉について。

見城は「何かを成し遂げるには、自己顕示欲という野心は欠かせない。ただ、同等の自己嫌悪がないと、人としての魅力は生まれない」と指摘。それは「常に結果に満足せず、成功を自らぶち壊しながら進み続けることでもある」と。

これを受けて藤田氏も、「自己嫌悪や謙遜が強すぎる人も話していて面白くない」と前置きをしつつ、「若い起業家が世界をよくしたいと熱弁する根底には、原動力として自己顕示欲があるはず。そこを自覚し、客観的な自己嫌悪を持たなければ、最後には周りから人が離れていきます」と語った。

また、話が経営における「負け」の捉え方に及ぶと、藤田氏は株式投資を例に挙げる。「株価が3倍になって利益が出た場合でも、途中3分の1まで暴落した時点で怖くなって売ってしまったら、『負け』という結果が確定します。でも耐えているうちはまだ『負けている』というプロセスに過ぎない。会社経営も同じで、スタートアップの経営者は投資家から厳しい追及を受けると自信をなくしがちですが、腹をくくり、俯瞰して事業を捉えることが大切」と強調。

見城もこれに深く頷き、「どこまで我慢できるかですよ。だけど、勝ち続けている時も注意が必要で、大きな落とし穴にハマることがある。意図的に致命傷にならない程度の『負け』を作る感覚も必要なんですよね」と、勝負師として勘所を明かした。

藤田晋/Susumu Fujita
1973年福井県生まれ。青山学院大学卒業後、インテリジェンス入社。1998年にサイバーエージェントを設立し、2000年に当時史上最年少26歳で東証マザーズ上場。現在は代表取締役会長として、コンテンツ開発の指揮を執る。近著に『勝負眼 「押し引き」を見極める思考と技術』がある。

まわりくどいアプローチより誠実さと圧倒的な努力を

さらにセッションは、「もし今、25歳でゼロから起業するならどんな企業をつくるか」というテーマへ。藤田氏は「間違いなくAIです」と即答。「既存市場を奪い合うビジネスは消耗戦になりがちです。僕が起業した当時はインターネット黎明期で、市場の爆発的拡大とともに会社を成長させられた」と振り返り、どの分野に身を置くのかの重要性を改めて説いた。

一方、見城は「これまでの膨大な経験やデータが頭の中には入っているから、僕自身がAIのようなもの」と会場の笑いを引きだした上で、「デジタルデータだけでは人間の複雑な感情は捉えきれないし、僕が惹かれるのもその機微の部分」と続ける。

「アートは好きだし、これまでギャラリーが独占的に行っていた価格決定を透明化できれば、ビジネスチャンスがあると思います。ブロックチェーンを使い、作品を株のように分割して複数の人が所有し、売買もできれば、需要が価格決定につながる。アート市場や業界の活性化にもなるはずです」

次に語られたのは、数々の起業家を見てきたふたりが、投資やM&Aの話を持ちかけられた際、「話を聞いてみよう」と思う条件とは何か。この問いには会場の多くの人が身を乗りだす。

見城は、「事業に対する圧倒的な熱量」を大前提としながらも、「人として善良、真心、誠実、正直という人生の王道を歩んでいるか。小手先ではなく、これらをもって圧倒的な努力で切り結んでくる人ですね」と熱弁した。

対する藤田氏は、「人付き合いを丁寧にしているので、新しい人と会うところまで正直首が回らない」と本音を明かし、「それであれば、何パーセントの株をいくらで買ってほしい、買収を検討してほしいなど、ダイレクトに言ってくれたほうが、逆に話を聞いてみたくなる」と続けた。

そしてセッションはあっという間に締めくくりへ。未来を担うスタートアップの起業家へメッセージを求められると、藤田氏は「見城さんのような人を見抜くプロの前では、上っ面やその場しのぎの嘘は通用しません。自分を大きく見せようとせず、ありのままでいること。それが一番です」と助言。

見城は「大企業と組みたい人は山ほどいるでしょうが、藤田のようなトップにつながるのは難しい。そういう時は、まず僕を攻略してください」と会場を沸かせる。「何十通も手紙を書くなど、どうすれば相手の心を動かせるかを徹底的に考えるべき。どれだけテクノロジーが進化しても、ビジネスは結局『人と人』。事業に熱狂し、誠実さと圧倒的努力で人と切り結ぶ。それに尽きます」と信念を繰り返した。

盛大な拍手とともに幕を閉じた、稀代の経営者ふたりによるセッションは、次世代の挑戦者たちの胸に深く刻まれるものとなった。同時にFINCHIという新しいファイナンスプラットフォームの存在感を示したのだった。

――「サイバーエージェント」と「幻冬舎」は、ファイナンスプラットフォームFINCHIに資金提供者として登録しています。

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DIRECTION=日野淳

TEXT=中井シノブ

PHOTOGRAPH=黒川康平

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