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2026.09.10

育成ドラ2、164cm。西武・滝澤夏央が5年目に大きく成長した理由

164cmという小柄な体格ながら、俊足と守備力を武器にプロの世界を駆け上がってきた西武の滝澤夏央。2021年の育成ドラフト2位で入団すると、翌2022年には早くも支配下登録され、一軍で48試合に出場した。そしてプロ5年目の2026年、打撃でも大きく成長。9月2日時点で打率.286とチームトップの数字を残している。小柄な体格をものともせず、進化を続ける23歳の現在地に迫る。

育成ドラ2、164cm。西武・滝澤夏央が5年目に大きく成長した理由

守備だけじゃない。滝澤夏央が打撃でも存在感を示す理由

2025年まで3年連続でBクラスに沈んでいたものの、2026年は春先から首位争いを演じ、Aクラス入りを確実なものにしている西武。そのチームにあって、2026年に野手で大きく成績を伸ばしているのが、プロ5年目の滝澤夏央だ。

開幕直後は守備固めでの出場が多かったが、5月以降は源田壮亮の離脱もあり、先発出場が増加。ショート、セカンドの両方でスタメン起用できる貴重な存在として、ここまで103試合に出場し、たびたび見事な守備でチームの勝利に貢献している。

また、打撃面での成長も著しい。2026年9月2日時点で打率.286をマークし、チームトップ。小柄な体格ながら、今季は打撃でも存在感を発揮している。

“ポスト源田”が課題となっていたチームにとって、滝澤の成長は大きなプラスであることは間違いない。

甲子園経験なし、育成ドラ2。それでもスカウトが見抜いた「圧倒的な速さ」

そんな滝澤は、関根学園高から2021年の育成ドラフト2位で入団している。甲子園出場経験はなく、全国的には無名の存在だった。

ちなみに164㎝という身長はプロ入り当時、NPBで最低の数字である(現在は広島の勝田成の163㎝が最小)。ただこれだけ小柄でありながらプロ入りするということは、大きな武器があったことは間違いない。

高校時代に特に評判になっていたのが、そのスピードだ。しかし当時は腰の故障を抱えており、なかなか万全の状態でプレーすることはできなかったという。

ようやく実際にプレーを見ることができたのは、高校3年夏の新潟大会、準々決勝の日本文理戦だった。その前の試合までは腰の状態が思わしくなく、欠場していた。

この試合で滝澤は、本職のショートではなくピッチャーとして出場。相手の先発投手は、2年生ながら当時から評判だった田中晴也(現・ロッテ)だった。

試合は9回まで2対2の同点という白熱した展開となったが、延長10回に滝澤は3本のタイムリーを浴び、最終的には2対5で敗れている。

ただ、小柄でもストレートはコンスタントに130キロ台中盤をマークしており、高校生レベルでは十分に好投手という印象だった。

3番を任されていた打撃でもノーヒットに終わったものの、第3打席の送りバントでは一塁到達3.69秒をマーク。一塁到達タイムは4.00秒を切ればかなりの俊足と言われており、タイムの出やすいバントとはいえ、この数字はかなり高レベルなものだった。

当時のノートにも滝沢のプレーぶりについて以下のようなメモが残っている。

「投手としてはまとまりあるが、将来性は野手。打撃はまだ非力だが、ミート力の高さが目立ち、バットの芯に当てるのが上手く、田中の140キロ台のストレートにもしっかり対応している。

一塁までのスピードも圧倒的。フィールディングも打球に対する反応が良く、バント処理でマウンドから降りるスピードは抜群。パワーがついてくれば面白い」

育成ドラ2から1年で支配下へ。小柄な体格を武器に変えたプロ入り後

ただ正直、この時点では直接プロに行くような選手ではなく、大学や社会人を経由すれば面白いタイプという印象だった。

そのため、特に驚かされたのがプロ入り後だ。高校から育成ドラフト2位での指名だったにもかかわらず、1年目の2022年5月には早くも支配下登録され、一軍でも48試合に出場したのだ。

他球団の担当スカウトにもこのスピード出世には驚いたようで、以下のように話していた。

「西武はスカウト部の偉い人も一緒に人数をかけて視察しに来ていたので評価しているというのは分かりましたが、正直他の球団はほとんどマークしていなかったと思います。腰が悪くて休んでいた時期も長かったですから」

前述したように164cmという身長も、プロで勝負するうえでは大きなハンデとなったはずだ。だが、持ち味であるスピードと守備力の高さが大きな武器となったことは間違いない。

そして、その武器を生かしながら、着実に課題だった打撃のパワーをつけていったことが、2026年のブレイクにつながったと言えるだろう。

2025年のドラフトでは、滝澤よりさらに身長が低い勝田成が広島から指名され、現在は一軍でプレーしている。163cmの勝田は、滝澤の164cmを下回り、現在のNPB最小身長となった。

体格的に恵まれない選手の希望という意味でも、今後さらなる活躍を見せてくれることを期待したい。

■著者・西尾典文/Norifumi Nishio
1979年愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。在学中から野球専門誌への寄稿を開始し、大学院修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

TEXT=西尾典文

PHOTOGRAPH=西尾典文

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