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2026.08.25

奇跡の’17、究極のP2、創造のロゼ。ドン ペリニヨンの新ヴィンテージ3種の味わいとは

ドン ペリニヨンから新たに3つのキュヴェがリリースされた。どのようなヴィンテージでも根底に宿るのは、ペリニヨン修道士が目指した高邁なる思想とその精神である。

都内某所で開催されたドン ペリニヨンのハーモニーを体現する特別なディナーイベント。ドン ペリニヨン ソサエティのメンバーシェフ、庄司夏子氏の料理が供された。
都内某所で開催されたドン ペリニヨンのハーモニーを体現する特別なディナーイベント。ドン ペリニヨン ソサエティのメンバーシェフ、庄司夏子氏の料理が供された。

醸造最高責任者が紐解く、理想のハーモニーの探求

時には補完し合い、時には同調させながら、究極のハーモニーを追い求める。今から350年以上の昔、オーヴィレール修道院の酒庫長を務めたドン・ピエール・ペリニヨン修道士が、ワインのハーモニーのために編みだした技法は個性の異なる村のブドウをブレンドすること。これこそ今につながるアッサンブラージュの原点である。

シャンパーニュ、ドン ペリニヨンにおいてもハーモニーが最大にして永遠のテーマであることに変わりはない。軽やかさと重厚感、フレッシュさと複雑味、繊細さと力強さ、しなやかさと骨格……。互いに相反する要素を精緻な比率で組み合わせ、理想的なハーモニーへと昇華させる。しかし、ドン ペリニヨンは単一収穫年のブドウから造られるヴィンテージのみ。時には自然がハーモニーの実現を阻もうとすることもある。2017年はまさにそんな年だった。

春先からブドウの生育が早く進み、好天の続く夏には、誰もが世紀のヴィンテージに違いないと歓喜の声をあげたほどだった。しかし、収穫直前に3週間降り続いた雨が、すべての期待を打ち砕く。湿気と暑さでブドウ畑に病気が広がり、特に黒ブドウのピノ・ノワールに甚大な被害が及んだ。

「そのようなチャレンジングな年でも、ドン ペリニヨンとしての表現が可能なブドウを探し、ハーモニーを追い求めることが私たちに与えられたミッションです」と、醸造最高責任者のヴァンサン・シャプロン氏は語る。

28年にわたりドン ペリニヨンを造り続けた前任のリシャール・ジョフロワ氏にとって、2017年は最後のヴィンテージ。後を託されたシャプロン氏をはじめ醸造チームは、是が非でも2017年のドン ペリニヨンを世に送りだす使命を感じていた。

理想のハーモニーを求め、2017年は史上最小の生産量

ドン ペリニヨンの核となるブドウ畑は、17のグランクリュに加えて揺籃(ようらん)の地であるプルミエクリュのオーヴィレールも含め約1000区画、合計350ヘクタールに及ぶ。この年はヴェルズネやブージィなどモンターニュ・ド・ランスのピノ・ノワールに病害の影響が出た一方、アイやオーヴィレールでは被害が少なく済んだ。またクラマンやシュイィ、メニルやシルリーなどのグランクリュで収穫された白ブドウのシャルドネは良好な品質だったという。

「これまでにないほど厳しい選果を行ったため、『ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2017』は通常の20~25パーセントという史上最小の生産量です。入念なアッサンブラージュにより、豊かな日照量と温暖な気候が育んだ果実味に、凝縮した酸やビターネスがフレッシュさをもたらし、卓越したハーモニーを表現することができました」とシャプロン氏。味わってみれば、優美でありながら力強さがあり、フレッシュなアタックの後には幾重にも折り重なる複雑なフレーバーと、深く長い余韻が続く。ドン ペリニヨンが常に希求してきた至高のハーモニーをパーフェクトなまでに備えている。

グラスに注がれる「ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2017」。困難な年にもかかわらず、厳しい選果と巧みなアッサンブラージュで、いつもと変わらぬ理想的なハーモニーを実現した。

究極の完成形となるP2。創造力の象徴であるロゼ

「ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2017」とほぼ時を同じくして、ふたつのドン ペリニヨンが新たにリリースされた。ひとつは「ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2008 プレニチュード2(P2)」だ。

ドンペリニヨンのハーモニーは、アッサンブラージュだけで成り立つわけではない。熟成という「時」の経過も重要な要素のひとつである。アッサンブラーッジュされたワインはボトルに詰められ、瓶内で二次発酵が行われる。その後、長い熟成の時を経て、アロマの複雑さや味わいのレイヤー、余韻の長さが形成されていく。ドン ペリニヨンの場合、時間の経過に伴うハーモニーの醸成は必ずしもリニアではなく、複数の頂点を持つ周期的変化からなるという。

瓶詰めから約7年、最初の頂点(P1)を迎えてリリースされるのが「ドン ペリニヨン ヴィンテージ」。そして、約15年の熟成を経て、第2の頂点に達したドン ペリニヨンが「プレニチュード2」、すなわちP2だ。

「P2とは新たなディメンションが加わり、レイヤーを何層にも重ねて完璧なるハーモニーに達したドン ペリニヨンの究極の姿」とシャプロン氏。2008年というヴィンテージは2017年とは対照的に冷涼な年で、精緻な酸とミネラル感がひときわ抜きんでている。

さらにもうひとつが「ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2010」だ。ドンペリニヨンにとってロゼとは、「創造力の象徴」だという。アイのピノ・ノワールから造られた赤ワインを加えることで、ベースワインに含まれるピノ・ノワールの白ワインとともに、ピノ・ノワールの可能性をさらに推し進めた存在だ。驚くのは、P2にも比肩する15年間の熟成期間を経てリリースされたこと。ピノ・ノワールの赤ワインがハーモニーを得るには、それだけ長い時間を必要とするのである。

2010年も2017年と同じくチャレンジングなヴィンテージとして知られるが、厳しい選果と緻密なアッサンブラージュ、長期の熟成を経て偉大なロゼが完成した。エネルギーの大きさと際限のない余韻の長さに、誰もが言葉を失うに違いない。

それぞれ性格が違えども、ハーモニーの到達点を目指した3つのドン ペリニヨン。ペリニヨン修道士の高邁な思想と精神は、現代にも宿っている。

ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2008 プレニチュード2
ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2008 プレニチュード2
輝く黄金色の液体の中を繊細な気泡が舞い踊る。砂糖漬けのレモンピールや金柑、ドライフルーツにジンジャーブレッド。多角的に広がり、ふくらんでいくフレーバー、ミネラルが全体を引き締め、深い余韻が無限に続く。¥84,040
ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2010
ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2017
マイヤーレモンなどの柑橘に、洋梨、白桃など白い果実のアロマ。ジンジャーやハチミツに軽くブリオッシュのトースト感。凝縮感が強く、テクスチャーはクリーミー。フェノリックなビターネスがフレッシュさを助長する。¥39,160
ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2017
ドン ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ 2010
夕暮れの景色を思わせる、淡く橙がかったサーモンピンク。チェリーや赤スグリなど赤い果実にブラッドオレンジの柑橘感、ドライフルーツのニュアンスも感じられる。シルキーな喉越しでフィニッシュは実にエレガント。¥65,560

ティルダ・スウィントンとの共創からドン ペリニヨンの新章がスタート

これまでもカール・ラガーフェルド氏やレニー・クラヴィッツ氏など、さまざまなクリエイターとの共創を展開してきたドン ペリニヨン。今年(2026年)6月にはスペインのグッゲンハイム・ビルバオ美術館で、英国の俳優でアーティスト/パフォーマーのティルダ・スウィントンと、フランスのファッション史家でキュレーター/パフォーマーのオリヴィエ・サイヤールの両氏によるパフォーマンス作品「HOUSE OF GESTURES(ハウス・オブ・ジェスチャー)」を発表した。

これはドン ペリニヨンのクリエイティブキャンペーン「創造は永遠の旅」の新章として位置づけられ、身振り、存在、変容をテーマに構成されたパフォーマンスを通じ、ドン ペリニヨンの創造哲学の一要素である「場所(PLACE)」の概念を舞台芸術に昇華させる試みだ。「偉大なワインとは、魂の宿る場所である。それは風景であり、肖像でもある」とは、ドン ペリニヨン醸造最高責任者のヴァンサン・シャプロン氏の言葉。ドン ペリニヨンにとって魂の宿る場所とは、もちろんオーヴィレール修道院である。

日本からはエッセイストの久住あゆみ氏が参加。ティルダ・スウィントン氏のパフォーマンスに圧倒されたという。

このイベントでは早くもドン ペリニヨンの次のヴィンテージ、2018年がお披露目された。シャプロン氏にとっては醸造最高責任者になって初のヴィンテージ。日本上陸が待ち遠しい。

グッゲンハイム・ビルバオ美術館の象徴的空間アトリウムで開かれたディナー
グッゲンハイム・ビルバオ美術館の象徴的空間アトリウムで開かれたディナー。

問い合わせ
モエヘネシー ジャパン www.moethennessyjapan.com/enquiry

TEXT=柳忠之

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