2026年8月17日、ランボルギーニ・レヴエルトSVがベールを脱いだ。チェントロ・スティーレ(デザイン部)を率いるミィティア・ボルケルトが、オンラインでの取材に応じた。

アドレナリンに形を与えることがランボルギーニのデザイン
ランボルギーニの業績が好調だ。
2026年の上半期の売上高は、前年同期比プラス7.4%の17.4億ユーロ。アメリカの関税措置や中東紛争、中国経済の減退などの理由でセグメント全体が7.7%縮小しているなか、ランボルギーニは成長を続けている。
日本における販売台数も伸びており、2026年は1000台のデリバリーが予想される。これはアジア太平洋地域ではトップ、グローバルでも3番目の数字だから、今も昔もランボルギーニにとって日本は重要な市場だ。
ランボルギーニが支持される理由は、先進的なテクノロジーによる圧巻のパフォーマンスと、他の何者にも似ていないカッティングエッジなデザインにあることは間違いない。そしてこの8月、ブランドの魅力を凝縮したランボルギーニ・レヴエルトSVが発表された。
レヴエルトSVは、同社の旗艦スーパースポーツであるレヴエルトをさらに高性能に仕立てたモデル。V型12気筒エンジンとプラグインハイブリッドを組み合わせたシステム全体の最高出力は、レヴエルトを50ps上回る1065ps。静止状態から100km/hに達するまでに要する時間はわずか2.4秒で、最高速度は345km/hに達する。

凄まじいまでのスペックやパフォーマンスについては実車が日本に上陸してから詳しく紹介するとして、ここではデザインにフォーカスしたい。というのも、ランボルギーニのデザインディレクターとして同社のデザインの舵を取るミィティア・ボルケルト氏が、オンラインでのインタビューに応じてくれたからだ。
レヴエルトSVのデザインにふれる前に、ボルケルト氏はランボルギーニ全体のデザインコンセプトについて語った。氏によれば、「ランボルギーニは未来的で人の心を震わせる、“宇宙船”のようなクルマをつくりたいと考えています」とのことだ。
「ランボルギーニのデザインDNAの出発点はカウンタックで、カウンタックはまさに宇宙船のような存在でした。ゲームチェンジャーであり、それまでの常識を覆したクルマです。以来、私たちは常にランボルギーニのデザインの限界を押し広げようとしてきました。次世代の人々にインスピレーションを与えるのが私たちの使命であり、言うなれば、アドレナリンに形を与えるチャレンジです。レヴエルトSVも、まさにそのようなプロジェクトです」

1974年に東ドイツ(当時)に生まれる。プフォルツハイム大学でデザインを学び、1999年にポルシェに入社。2014年に同社のエクステリアデザインのデザインディレクターに就任した。2016年にランボルギーニに移籍、ウルスやレヴエルトのデザインの指揮を執ってきた。2023年にランボルギーニのデザインディレクターに就任。
このブランドがレトロデザインを避ける理由
ランボルギーニ・レヴエルトSVは、独ホッケンハイムサーキットで量産車最速のラップタイムを叩き出している。高性能化に対応するために、デザインにおいてもベースとなるレヴエルトのシルエットの純粋さを維持しながら空力性能の向上を図り、軽量・強靭なカーボンファイバー素材を随所に採用した。
インテリアも、「Feel like a pilot」というランボルギーニの哲学を踏襲しつつ、専用設計のレーシングシートやカーボンファイバー製の超軽量ドアパネルを装備。ランボルギーニのレーシングDNAがさらに色濃く表現されている。

ここで興味深いのが、テクノロジーの進化とデザインの関係性だ。このレヴエルトをはじめ、テメラリオ、スーパーSUVのウルスSEと、ランボルギーニのすべての車種がプラグインハイブリッドを採用している。ランボルギーニがいますぐに内燃機関を廃止するとは考えにくいけれど、今後はモーターやバッテリーの比重が増えていくであろうことは容易に想像できる。
電動化の時代にランボルギーニのデザインは変わるのか、変わらないのかという筆者の質問に対して、ボルケルト氏は、「重要なのはシンプルなことで、私たちのクルマはランボルギーニらしく見えなければなりません」と切り出した。
「一般的なクルマについても、お客様は『EVだからこういうデザイン』、『エンジン車だからこういうデザイン』という違いは求めていないと思います。お客様が求めているのは美しいクルマであり、ランボルギーニなのです。
先ほど申し上げたとおり、ランボルギーニは常に予想を超える存在でなくてはなりません。つまり、私たちのデザインは既成概念を打ち破るものである必要があります。それがランボルギーニをデザインする醍醐味であり、私たちは未来に向かって常に高い創造性を発揮することができます。そして私にとって最終的な判断基準はいつもひとつで、それは“ランボルギーニらしくあること”なのです」

興味深かったのは、「レヴエルトSVをデザインするにあたり、ランボルギーニの歴史に敬意を表すためのデザイン要素を取り入れたのでしょうか?」という質問に対するボルケルト氏の答だった。
「私はクルマの中に小さな“イースターエッグ”を忍ばせるようにしています。たとえばレヴエルトでは、リアフェンダーの上からルーフへつながるブレードに、かつてのミウラのインスピレーションが含まれています。ただし、昔のデザインをそのまま持ってくるということではありません。デザイナーとして、必ず新しい形で表現しなければなりません。
ランボルギーニは常に前を向いており、未来を見据えています。そして常に何か新しいものをつくりたいと考えています。そのため、私たちはレトロデザインをできるだけ避けるようにしています」
ボルケルト氏は、ランボルギーニらしさが大事だと強調する。ただし、ランボルギーニらしさとは、かつての名車の造形をなぞることではない。常に新しい造形に挑む姿勢こそがランボルギーニらしさなのだ。革新を続けることで、ランボルギーニの歴史と伝統は育まれるのだ。
電動化や自動運転など、自動車産業は100年に一度の大転換期を迎えている。そんな混迷の時代にあって、ランボルギーニが業績を伸ばしているのはなぜだろうか?
先の読めない時代だからこそ、これまでになかったデザインや技術に挑戦する姿勢が支持されているからではないか。ミィティア・ボルケルト氏の発言を振り返りながら、そんな思いを強くした。

全長×全幅×全高:4944×2038×1161mm
ホイールベース:2779mm
パワートレイン:6.5ℓ V型12気筒エンジン+プラグインハイブリッド
トランスミッション:8段デュアルクラッチトランスミッション(DCT)
駆動方式: フルタイム4輪駆動
システム最高出力:1065ps
システム最大トルク:1425Nm
価格:未発表
問い合わせ
ランボルギーニカスタマーサービス TEL:0120-988-889
サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。

