放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「令和ロマン」「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を輩出した桝本壮志のコラム。

「37歳のリーダー職です。桝本さんの著書にあった、『リーダーは、若手を見抜くのではなく若手に見抜かれる』という言葉がとても腑に落ちました。他にも、私たち上司が知っておいたほうがよい、『実は、逆なこと』があれば、ぜひ教えていただきたいです!」という質問をいただきました。
「実は、逆なこと」ですか、おもしろいですね。
リーダーは、「人」という「生もの」を取り扱うポジションなので、育成の「鮮度」を保たなければなりません。
鮮度とは、私たち世代の当たり前や価値観など「賞味期限があやしいもの」を押しつけるのではなく、部下世代のマインドを理解し、時代に合わせた育成を付与すること。
時には、私たちの歴史教科書では「踏絵」だったものが、新社会人世代の教科書では「絵踏」になっているように、「逆なの?」と驚くこともあるので、共に学んでいくことが必要です。
そこで今回は、約1万人の若手を育成してきた知見をもとに、相談者さんご所望の「実は、逆なこと」にフォーカス。
題して『逆転のリーダー術2026』をシェアしていきましょう。
①堂々と「自分のため」に指導する
あなたの周りに、「君のために言っている」「君の将来を思って」などの言葉で指導をしているリーダーはいませんか?
たしかに、我々世代はそうやって育てられましたが、現代は「その逆」。堂々と「自分のために言っている」という思考になったほうがいいと思っています。
理由は、指導者のなかには、自分の人生を投げ打って部下のために捧げている聖人もおられるのでしょうが、僕はそんな大した人間ではないから。
また、現代の部下は、そもそも「会社が安定した将来を与えてくれるとは限らない」と受け止めており、「自分を守れるのは自分しかいない」という個人主義でもあるからです。
なので僕は、「君のため」という恩着せがましいワードを使うのでなく、「自分のため」だと思って割り切って働く。
つまり、「与えられた持ち場で最大限のパフォーマンスをすること」のみに傾注しているのです。
「自分のため」を主眼に置くと、部下との会話が変わっていきます。
「よくやった」が「助かったよ」になるし、「なぜできない?」が「次回は頼むね」など、あちらが自分をサポートしてくれている感覚になるので、かえって部下と良好なラポールを築ける。そういった「逆の利点」に気づきました。
②「さん付け」する場所を変える
部下を「さん付け」する職場が増えていることは良いことです。
しかし、普段は丁寧に接していても、取引先や他部署の同僚に紹介するとき、「まだまだ半人前で」や「何も分かっていないヤツで」などと、いちいち部下の株を下げる上司はいませんか?
僕は、「その逆」を念頭に置いてチームビルディングをしています。
内々のミーティングや飲み会のときは、チームの若手を呼び捨てにして、厳しいことも伝えます。
が、いざ第三者に紹介するときは、「さん付け」をして、部下を高く売り込むのです。
無論、自社の部下を呼び捨てにしないとマナーに関わる、という意見もあるでしょうが、ここでの本質は「心がけ」。
紹介のあと、「彼は○○に長けています」「彼の○○の知識は社内一です」など、高く売り込むことはカンタンです。
この「内々では厳しく、公では高く売る」という関係を続けてきたおかげで、僕のチームは士気も心酔度も高い自信があります。
③ゴールでなく「スタート地点」へ移る
最後に、多くのリーダーは「ゴール地点で部下を待ちかまえる」が常態化しています。
期日を守れたかどうか? 売上目標を達成できたかどうか?など、陸上の審判のようにタイムを計測しているのです。
もうお分かりのように、現代は「その逆」で、リーダーはゴール地点でなく、スタート地点に移動する意識を持つことが大切です。

1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。「令和ロマン」をはじめ、教え子は1万人以上。新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中! 桝本壮志へのお悩み相談はコチラまで。
私たちリーダーの存在意義は、タイムの計測者になることではなく、リーダーの権限を使って、部下がうまくスタートできる環境を整え、コースに障害物があるなら、それを取り除く整備者になること。
こういった発想の転換・逆転が、あなたのチームをより強くしていくんですね。
では、また来週、別のテーマでお逢いしましょう。

