PERSON

2024.02.12

心が弱ったときは「原因」や「自分」と向き合わないこと! では、何に向き合うべきか?

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。

「心が弱ったときは、何をするべきでしょうか?」

そんな質問をいただきました。

仕事で失敗したり、心身の調子が悪かったり、大事な人やモノを失ったりして、「何もやる気が起こらない……」と、心が弱った状態になることは誰にでもありますよね。

そこで今週は、「心が弱ったときに、何をすべきか? 何を考えるべきか?」

このテーマを一緒に押さえつつ、ほぐしていきましょう。

心が弱るのは「正常」。心が弱らないほうが「異常」

まずは考え方です。

いま心が弱っている皆さんのなかに、「弱っている自分」=「弱い人間」だと思っている方はいませんか? 

いえいえ、あなたはいたって正常です。

今日も世界では、たくさんのモノが生産されていますが、もっとも多く生産されるのは、自動車でも半導体でも鶏卵でもなく、「人の失敗」「不安」「悩み」です。

職場の同僚、公園のママ、コンビニの店員、派出所の警察官……みんな快活に見えますが、失敗を悔やんでいたり、身体のどこかが悪かったり、愛犬を亡くしていたり、それでも頬の肉を上げて笑っている。世間とはそんなもの。

また、これまで「一流」と呼ばれる、芸能人、クリエイター、経営者の方々と膝を突き合わせてきましたが、心が弱らない人なんて一人もいませんでした。

自信にあふれ、キラキラと生きているように見える人こそ“ポジティブな言動の裏には、心が弱ってネガティブになった過去がある”もの。

心が弱った日々があったからこそ、彼らは「一流」と呼ばれる人物になったとも考えられるのです。

“心が弱るのは正常で、弱らないほうが異常”。まずはそれをインプットして次に進みましょう。

心が受ける衝撃は、あなたの才能の豊かさに比例する

ビジネスパーソンの心が弱るとき。その要因の多くは、やはり「仕事」です。

自分がやってしまったミスの大きさ、対応のマズさ、抱えている重圧のデカさ、使えない部下の横柄さ……などを原因に、私たちは、ある日、心がベコンッと凹んで、身体がフリーズしてしまいます。

しかし、あなたが心に受ける衝撃は“これまで積み上げてきたモノがあるから”です。

例えば、「ジェンガ」は、積み上げたブロックのタワーが高くなればなるほど、倒れたときの衝撃は大きくなりますよね?

ビジネスパーソンも同じで、努力を重ねたから現在の職を手に入れ、キャリアを重ねたから現在のポストを任され、実績を重ねたからレベルの高い仕事をやっている。

そう、心にズシンとくる衝撃は、“あなたが優秀だからこその痛み”なんです。

心が弱ったときは、そんな有能である自分にも目を向け、もう少し誇ってもよいのではないでしょうか?

「前向き」「後ろ向き」は性格ではなくスキル

では、心が弱ったときは何をすればよいのでしょう?

よく「あの人は、後ろ向きな性格だよね」なんて言葉を耳にしますが、僕に言わせれば“「前向き」や「後ろ向き」は、性格なんかではありません”。

単なるスキル。習得可能な技術です。

例えば、僕が無意識に発動しているスキルは、心が弱るキッカケとなった「原因」とは向き合わないようにすること。

人は、心がフリーズしたとき「悪い状況をつくった原因」と、それに苦しんでいる「ダメな自分」の2つで、頭がいっぱいになります。

とくに「原因」には、嫌がらせをした上司や、あなたを出し抜いたライバルなど、「人」が絡んでいるので、恨み辛みは深くなるばかり。心の凹みもさらに大きくなります。

もっとも重要なのは、頭を占めている「原因」でも「ダメな自分」でもなく“これからどうするか?”のはず。

この忘れがちな“これからどうするか?”のみに傾注すれば、おのずと何をするべきか? その輪郭が見えてくるのです。

もしよければ試してみてください。

では、また来週お逢いしましょう。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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