PERSON

2025.08.17

豆原一成(JO1)、撮影中に筋トレ禁止令。でも、どうしてもトレーニングを続けたかった理由

筋トレや食事制限を続けたいと思っても、なかなか続かない——。JO1として世界を舞台に活躍し、俳優としても注目を集める豆原一成。彼がストイックに日々磨き上げるのは、ただ“魅せる”ための筋肉ではない。しなやかで強い身体をつくることは、心を整えることでもあるのだ。#前編 【特集 魅せるカラダ2025】

豆原一成(JO1)が追い求める“踊れる筋肉”

2025年、JO1として初のワールドツアーを成功させ、アーティストとしての仕事に磨きをかける豆原一成。本格的に身体を鍛え始めて2年、“踊れるけれど逞しい身体”を追求してきた。

「ダンスで使う筋肉は、体幹を中心としたインナーマッスル。一方で、僕がジムで鍛えているのは外側の筋肉、いわゆる“見える筋肉”です。

よく『そんなに筋肉つけたら、重くて踊りにくくならないの?』と聞かれますが、僕はずっとダンスを踊ってきたので、むしろ外側に筋肉がついたことでキレのある動きや“止まり”がしっかりできるようになってきたと感じています。以前より、ダイナミックな表現もできるようになったんじゃないかなと、自分では思っています。

一度、体重を74kgくらいまで増やした時は、さすがに重かったので、そこまでは行かないようにしています。今は68kgでちょうどいい状態。ただ、ウエストを絞って、筋肉のついた逆三角形を目指しているので、いったん64kgまで絞るために、今は減量中です」

JO1・豆原一成
豆原一成/Issei Mamehara
2002年岡山県生まれ。オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』から結成した11人組のグローバルボーイズグループJO1のメンバーとして2020年にデビュー。2025年2月にはJO1として初のワールドツアーを開催。俳優としても活躍し、映画『BADBOYS-THE MOVIE-』に主演、日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』などに出演。2025年10月24日には市毛良枝とW主演の映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』が公開。

役づくりとの葛藤

理想の肉体を目指し、ストイックにトレーニングと食事制限を続ける豆原。

現在は映画やドラマの出演も増え、役者としての活躍の場も広がっているが、筋肉が役づくりの妨げとなることもある。そんな時、トレーニングはどうしているのだろうか。

「僕にとってトレーニングは、メンタルを保つ手段であり、アイデンティティでもあります。歯磨きみたいなもので、やらないと気持ち悪いくらい(笑)。

筋肉が役のイメージに合わない時は、見た目は細くても実際には筋肉がある、という状態に身体を調整しています」

ドラマ現場での“筋トレ禁止令”と、自ら提示した解決策

2024年10〜12月に放送され話題となった、神木隆之介主演のドラマ『海に眠るダイヤモンド』に出演した際も、筋肉が似合わない役どころだった。裕福な家庭に育った浪人生という設定で、逞しすぎる体つきにはキャラクターのイメージにそぐわない。そこで、マネージャーからは「筋トレ禁止令」が出されたという。

しかしプレッシャーの大きい現場で、自身のアイデンティティでもあるトレーニングを手放すのは精神的に難しい。豆原は「トレーニングは続けるけれど、役柄に影響がない、細くスタイリッシュな身体に仕上げる」という条件を自ら提案し、トレーニング継続の許可を得た。

一般的に考えれば、普通体型の役柄であれば、そこまで自分を追い込んで調整する必要はないように思える。実際、撮影時は筋肉が目立たないよう、大きめのTシャツを着せられていたという。

あえて厳しい道を選んでいるようにも見えるが、豆原にとっては「筋トレをしない」世界線のほうが、ツラいのだ。

JO1・豆原一成

「ジャーマンポテトにハマっていました」。“見えない筋肉”づくりの努力

2025年秋に公開される映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』では、女優・市毛良枝とW主演を務める。豆原が演じるのは、コーヒーを愛する大学生。筋肉ムキムキとは無縁の、優しくどこにでもいそうな等身大の青年だ。

この作品の撮影中も、役に支障のない服の下に隠れる筋肉を目指し、ストイックにトレーニングと節制を続けていた。現場には毎日、手作り弁当を持参していたという。

「この時期は、ジャーマンポテトにハマっていました。太りそうって思うかもしれませんが、実はじゃがいもってすごく優秀なんです。食物繊維も豊富で、炭水化物だからエネルギーにもなりやすい。

鶏肉をそぼろにして、じゃがいもと炒めて、焼肉のタレで味付け。ご飯はお茶碗1杯分くらいで、全体でだいたい500〜600kcalに収まります。

弁当を持って行けない日は、コンビニでもカロリー表示をしっかりチェックして、同じくらいのカロリーに収まるように調整していました」

筋肉を育てるためには、食事だけでなく生活習慣にも気を遣っている。豆原は「朝日を浴びてセロトニンを出す」「15時以降はカフェインを摂らない」といった工夫を日々の生活に取り入れ、質の高い睡眠を確保することにも気を配っている。

JO1・豆原一成の腹筋

筋トレは“心の歯磨き”──継続する力と自己肯定感

JO1のメンバーとしてのダンスパフォーマンスに加え、俳優としても活躍の場を広げている豆原。身体は、表現者にとって欠かせない要素のひとつだ。

とはいえ、彼はボディメイクの大会に出るわけでも、役づくりで逞しい身体を求められているわけでもない。それでも、自らの意志で日々ストイックに肉体を鍛え続けている。その理由とは、いったい何なのだろうか。

「習慣化してしまえば、もう当たり前のことなんです。やらないほうが、気持ち悪いというか、嫌なんですよね(笑)。

それにトレーニングって、毎回『乗り越えた!』っていう達成感がある。それがすごくメンタルにいいし、自信になって、仕事にもすごくいい影響を与えてくれる。だから僕にとって筋トレは、いいことしかないんです。

『今日はジムに行きたくないな』と思っても、行ってトレーニングをすればドーパミンが自然と出て、楽しくなるし、肉体も鍛えられる。

でも逆に、面倒だからってダラダラSNSを見て1日が終わっちゃうと、後悔しかしない。SNSを見ていてもドーパミンは出ないから、だったらジムに行ったほうが絶対によくない? もう、そういう思考になっています(笑)」

毎日腕立て1回でもいい。筋トレ習慣化のすすめ

では、筋トレを習慣化できずにいる人たちは、どうすれば“やる気”のスイッチを入れられるのだろうか。

「1日10分でもいいし、腕立て1回でもいい。それでも1年続けたら365回やったことになる。やらないより、ずっといいです。

少しでも『身体を変えたい』って思う気持ちが少しでもあるなら、無理なく少しずつ始めてみるのがいいと思います。例えば1駅歩いてみる、エスカレーターじゃなく階段を使ってみる、お腹に力入れて歩く……そうやって少しずつやっていけば、だんだん感覚が研ぎ澄まされて、自然と『もっとやってみよう』と思うようになるはずです」

「少しだけやっても、どうせ意味がない」。そんな思い込みを言い訳にして、1日10分ですら、トレーニングから逃げている人たちも多いはず。でも、その豆原の言葉と、鍛え抜かれた身体を思い出せば、きっと重たい腰も、少しずつ上がるはずだ。

日々の積み重ねが、自信を生み、表現に深みをもたらす。豆原一成の肉体には、アーティストとしての誇りと覚悟が宿っている。

JO1・豆原一成

MAME's MUSCLE DATA

<食事法>
減量中なので1日の摂取カロリーを2,000〜2,300kcalに。PFCバランスを気にしながら、炭水化物もしっかり摂るようにしています。

<トレーニング頻度>
ほぼ毎日。

<お気に入りの部位>
大胸筋。あと、最近は肩のリアが発達してきていて、お気に入りです。

<愛用マシーン>
マシーンというより、フリーウェイトのトレーニングがとても好きです。

<トレーニング持続の秘訣>
ボディメイクは短期じゃなくて長期でやること、1日5分でも継続することが大事だと思います。

富士山と、コーヒーと、しあわせの数式
祖父の他界後、一人残された祖母・文子と同居することになった大学生の拓磨。ある日、祖父の書斎で手帳に書かれた不思議な数式を見つける。互いに新しい生き方を模索する孫と祖母の物語。
監督:中西健二
出演:豆原一成、市毛良枝、酒井美紀、八木莉可子、長塚京三ほか
配給:ギャガ
2025年10月24日公開

衣装クレジット:ジャケット ¥418,000、タンクトップ<参考商品>、デニム¥136,400、ブーツ¥266,200 (すべてディースクエアード/スタッフ インターナショナル ジャパン クライアントサービス  TEL:0120-106-067) その他はスタイリスト私物

TEXT=安井桃子

PHOTOGRAPH=斎藤大嗣

STYLING=岡本健太郎

HAIR&MAKE-UP=田村裕子

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