HEALTH

2026.01.09

細胞置換による“脳の修理”が実現!? 「不死」テクノロジーの最前線【堀江貴文】

カラダは究極の資本であり、投資先である。そう断言する堀江貴文氏が、最先端の医療と美容情報を惜しげもなく伝授する本連載。第50回は「不死の未来」。応用数学史上最大の未解決問題といわれていた「波動散乱の逆問題」を2012年に解き明かし、“痛くないマンモグラフィ”の乳がん検診を可能にした応用物理学者の木村建次郎氏に今、取り組んでいる「不死」の研究の話を聞く。

堀江連載第50回

脳機能そのものも修理する時代へ。不死の未来は確実に近づいている。

堀江貴文(以下堀江) 今回も木村建次郎先生にご登場いただきます。前回よりさらに踏みこみ、医療分野で進む最新研究について聞かせてください。

木村建次郎(以下木村) 現在は、心筋梗塞の予防技術として、心電図では検知できないような初期症状を画像診断で見つける機械を開発中です。

堀江 心電図との違いは?

木村 通常の心電図は“電気”を計測しますが、僕らは“磁場”を見ています。「量子効果磁気センサー」というわずかな磁場を測るセンサーを胸に貼り、心臓の動きによる磁場を測定して、映像化するのです。

堀江 人間の身体は主に水分で構成されているので、電気信号が体内を伝わる際は弱くなるんですよね。一方、磁場はその影響を受けにくいから、心臓の異常を確実に見つけられるというわけか。

木村 そうなんです。心臓の駆動による電磁波の波形は、100人いれば100とおりで、撮影すると“個性”が見えてきます。アメリカや中国、インドでは心不全による死亡が多いため、この技術は主に海外向けに開発しています。

堀江 脳卒中の初期症状なども見つけられそうですね。

木村 脳卒中は1分1秒を争うため、救急車内でMRIを撮っていては間に合わない。そこで、救急車内で開頭手術ができるよう、出血部位を瞬時に見抜ける機械を作っています。

堀江 すごい。

木村 他には、膵臓がんと肝臓がんについても輝度の高いX線を発生する装置と、これを用いて映像化する装置の研究を進めています。

堀江 最近は、“脳の修理”に関する研究もされているとか。

木村 今は動物実験の段階ですが、心臓と脳への血流を遮断して、脳を独立駆動させるテストを行っています。

堀江 脳へのがんの転移は血液などを通して起こるから、血流を遮断する必要があるんですね。

木村 はい。そのうえで、磁気カメラを使って、脳の神経細胞の活動が弱まっているところを見つけだし、別の培養した細胞で“置換”をします。

堀江 まさに“脳の修理”ですね。ちなみに、高齢になって老衰で亡くなる人もいるじゃないですか? これも神経細胞の活動が弱ってきているからなんですか?

木村 そうですね。例えば、アルツハイマーでは脳の神経回路が弱まると、電磁波が出なくなる。そこで、iPS細胞などで培養した神経細胞を接続させて、脳を復活させる研究が進んでいます。

堀江 海外では、培養した脳組織を接続したら、そこに電気が流れたという報告がありますね。

木村 そうなると、将来的には延命に限界がなくなるということになってくると思います。

堀江 「不死」に近づいているということですね。

木村 人が亡くなる原因を突きつめると、がんなどが肺に転移した結果起こる呼吸不全、脳の心臓を司るところにがんが巣をつくり、心停止、心筋梗塞などで脳に血液が送られなくなり、酸欠状態になって亡くなるなどの理由が挙げられます。

堀江 脳に、がんを転移させないことも大事ですね。

木村 はい。それに関しては、脳とそれ以外の血液系統を分断させれば解決できることが基礎研究ではわかったので、あと残す課題は、アルツハイマーになります。

堀江 脳内にアミロイドβというタンパク質が溜まって、神経細胞を破壊する病気ですね。

木村 具体的な治療として考えられるのは、部分的に壊死したところを切除するか、アミロイドβを薬剤的に溶かすかのどちらかになります。ただし、切除したところを“再生”させるのは現時点では難しく、今は“置換”の方法を探っているところです。例えば、自分の細胞で脳細胞、神経細胞を培養して、それを接続させることが可能か研究中です。

堀江 物理的にくっつけるということですか?

木村 そうですね。脳に難しい手術はできないですし、脳はファジーに接続されるのが本質なので、古い脳の一部を新しくし、そこを含めて全体として電気を流すことは原理的に可能なのではないかと考えています。

堀江 となると、治療法も手軽に、頭や鼻などに穴を開けて、そこから注入するような感じで定着するかもしれないですね。カテーテルの延長、みたいな。

木村 痛いのが嫌なので、そうなると嬉しいです(笑)。

堀江 さまざまな研究の話が出てきましたが、先生がやられていることは、基本、病気や見つけたいものに対して、何を使うか。つまり、電波なのか磁場なのか、最も適切な“波”を使ってそれを画像化するってことなんですね。

木村 そうですね。応用範囲は今後さらに増えると思います。

堀江 今、動かしている研究が実際に世に広まるまで、どれくらいかかりそうですか?

木村 僕の努力が持つのが5年が限界(笑)なので、それ以内で何とかしたいですね。僕は研究者として“解きたい問題”と、マイクロ波マンモグラフィのように作ったものを“広める”ための仕事、その両方をやっていきたいと考えています。

堀江 具体的には?

木村 まず、“広める”ための仕事としては、「有限温度密度汎関数理論」を活用すること。これは化学反応を理論的に予言するというもので、特に製薬のほうに使ってほしいなと思っています。この方程式は最近ようやくでき上がったので、これから出していこうと。

堀江 研究者として“解きたい問題”は?

木村 「時空の問題」ですね。SF的に言うとタイムマシンの研究のようなもので、時間の極限状態というのを、どのように数学的に取り扱うことができるかを研究中です。

堀江 面白いですね。今後の研究も楽しみにしています。

木村建次郎氏

木村建次郎/Kenjiro Kimura
1978年岡山県生まれ。神戸大学数理・データサイエンスセンター教授、京都大学生存圏研究所学外連携フェロー兼特任教授。2012年、応用数学史上の未解決問題「波動散乱の逆問題」を世界で初めて解明。同年、その実用化を目指すベンチャーIntegral Geometry Science(IGS)を設立。2017年第1回日本医療研究開発大賞受賞。

堀江貴文/Takafumi Horie
1972年福岡県生まれ。実業家。ロケットエンジン開発や、会員制オンラインサロン運営など、さまざまな分野で活動する。予防医療普及協会理事。本連載をまとめた書籍『金を使うならカラダに使え。』ほか著書多数。

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