放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を2025年M-1決勝に輩出した桝本壮志のコラム。

「社会に出て、つくづく勉強よりも経験の重要さに気づきます。桝本さんが、自身のスキルや仕事能力が伸びた実感があったのは、勉強よりも『どんな経験』だったのでしょうか?」という質問をいただきました。
そうですよね。仕事は「料理」のようなもので、質のいい食材は、学生時代の「勉強」によって手に入りますが、美味しい料理をこしらえるには、腕を磨いたり、より多くの人に振舞ったりする「経験」が決め手になりますからね。
学歴が高くない僕は、よい食材を手にしていなかったので、社会人になって慌てて勉強をしました。
それでも、若手のころは安価な食材(仕事)しか回ってこなかったので、人並み以上に経験を積んで、なんとか個人レストランを開くことができました。
今回は、そんな僕が体得してきた、「勉強よりも、仕事の能力が伸びた2つの経験」を、皆さまにシェアしていきたいと思います。
①金言NO.1は、「なんか、一緒にやらない?」
これまで多くの一流エンタメ人、芸能人、社長さんの仕事ぶりに目を凝らし、たくさんの言葉をいただいてきましたが、もっともタメになったのは、耳心地のいい名言ではなく、「なんか、一緒にやらない?」という平凡なフレーズでした。
よく聞くフレーズですが、僕が一流から学びとったのは、年齢や肩書きに関係なく“どんな相手とも手を組んでみる価値はある”を心根に置いている態度です。
新刊のなかでもふれましたが、放送作家未経験だった23歳のとき、日テレの大物プロデューサーの「なんか、一緒にやろう」をきっかけに、僕のキャリアは動き出しました。
その有難い経験から得たのは、年長者は“若手に手を伸ばすことで、自分の仕事を伸ばしていく”ということ。
そして若手は、未熟であったとしても、「なにか、一緒にやらせてもらえませんか?」が言える。つまり“背伸びをして、自分の仕事を伸ばしていく”ことが大切だということでした。
このフレーズを照れることなく口ぐせにできる人は、周りから「なにか、一緒にやらない?」と言ってもらえる人にもなれます。
つい先日も、とろサーモン久保田くんと飲んでいると、このフレーズを差し向けてくれました。
彼は以前も、「なにか、一緒にやりません?」と言ってくれたので、テレビ史上初となる「芸人がテレビ局の枠を買う」という掟破りの冠番組を、2人で立ち上げたこともありました。
「どんな相手とも手を組んでみよう」というマインドは、同じようにフットワークの軽い人種を引き寄せるのでおススメです。
もしもこの先、久保田くんが奇妙で面白い番組を立ち上げたら、エンドロールに僕の名前があるかもしれません。
②どんな「小さな山」でも登ってみる
吉本NSCの生徒たちに、日ごろから、「どんな小さな山でも登ってみよう」と伝えています。
なぜなら、「仕事が広がる」とは、「話を聞いてくれる人が広がる」ということだからです。
例えば僕は、本田圭佑さんの解説が大バズりした、サッカー・カタールW杯をはじめ、ミラノ冬季五輪、WBCなどの大型スポーツ番組にたずさわっています。
この知遇を得ることができた出発点は、やはり23歳のときの、「ノーギャラで野球コラムを書いてほしい」という無茶なオファーでした。
あまりにも「小さな山」でしたが、コツコツ登っていくと、人気コラムとなり、「話を聞かせてほしい」という業界関係者が増えていきました。
やがて、コラムをもとにした番組が始まり、映画化や書籍化もされ、スポーツ分野の仕事が伸びていったのです。
「小さな山」の報酬はけして大きくありませんが、小さな山には「ニッチな専門性」があり、山頂に立つと「立派な専門家」となり、あなたの言葉に周囲が耳を澄ませるのです。
どんな山でもかまいません。資料作成がうまい、美容の知識が多い、流行りの店に詳しい、最新アプリ通……など、小さな山から登ってみましょう。
芸能界屈指のスイーツ通となった、ぼる塾の田辺さん、「選挙」というニッチな分野で人気を博している山本期日前ら、元教え子たちの姿を見ながら、僕はこの、勉強に勝る経験「小さな山に登る」の大切さを再確認しています。
では、また来週、別のテーマでお逢いしましょう。

1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2024年M-1決勝に輩出。
新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中!
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