“余命7年”となった岸博幸の現在の体調、衆院選に立候補せず、応援に徹した理由、今望んでいること、人生を賭して力を注ごうとしているものなどについて語ったインタビュー記事をまとめてお届け! ※2026年3月掲載記事を再編。

1.「血栓ができて、左半身が痛い」余命7年を迎えた岸博幸、体調の現状と選挙のこと

月に1回病院で注射と点滴を受け、十種類近くの薬を毎日服用する。そんな治療をずっと続けていて、それなりに血液の数値は改善して顔色も良くなったけれど、今の体調は正直あまり良くない。それに加え、2025年の11月から左足の血栓に悩まされていた。
まず、ふくらはぎを中心に左足のあちらこちらが痛くて、歩くのがしんどい。左手の掌が親指付近を中心に頻繁につるようになったし、左の首筋がすごく痛くなることもある。つまり、左半身全体にいろいろと問題があり、仕事がちょっとしんどい時もあった。
血栓を放っておくと、それが静脈にのって肺や心臓に飛び、大変なことになるらしい。だから、抗がん剤の量は一時的に減らし、血栓を溶かす薬を処方されている。今は朝と夜、6種類ずつ薬を飲んでいるけれど、その副作用なのか、なんとなく体がだるい。
西洋医学は、数値に基づいて薬を処方する。だから、僕の症状を考えれば、複数の薬を服用しなければならないことは理解しているし、親身に対応してくれる主治医にも感謝の気持ちでいっぱいだ。ただ、病気をやっつける薬というのは、それなりに強いのだろう。多発性骨髄腫を患って3年経ち、それなりに弱ってきた僕の身体は受け止めきれず、だるさや不調につながっているのかもしれない。
2.余命7年・岸博幸、“恩返し”を意識すると、人生はプラスの方向に動き出す

2025年12月22日、官邸で高市早苗首相とコンテンツ業界との意見交換会が開かれた。参加したのは、日本音楽制作者連盟やコンサートプロモーターズ協会、日本動画協会といったコンテンツ業界の諸団体のトップのほか、デーモン閣下、小室哲哉さん、Awichさん、こっちのけんとさん、押井守さん、村上隆さんなど、錚々たるメンバー。
音楽や現代アートなど、日本が誇る素晴らしいコンテンツをもっと海外に出したいとかねてから考えていた高市首相が、どんな課題があり、どういった支援が必要かを、アーティストたちに直接聞くために開かれた会なのだが、この会の準備と実現に僕も関与させてもらった。
アニメやマンガは今や世界を席巻する、日本の主要コンテンツになっている。それに対して音楽、いわゆるJ-POPは今ひとつ世界で普及していない。音楽が大好きで、2006年に経産省を退官した後に音楽業界にお世話になってきた僕としては、忸怩(じくじ)たる思いをずっと抱いてきた。
K-POPが今、世界中で受け入れられている要因のひとつは、国策として国が全面的にサポートしたから。素晴らしいポテンシャルを秘めた日本の音楽も、国が支援に乗り出すことで、世界市場を拡大して日本の主要産業のひとつになるはず。
ハードロックを聴き、ドラムを叩く高市さんは、もともとコンテンツ分野への関心が高い政治家。クールジャパン担当大臣時代の2023年に、当時5兆円だった日本のコンテンツ産業の海外市場を10年後に20兆円に増やすことを目標に掲げたくらいだ。その高市さんが首相となり、この施策を本格的に進めたいと考えていたので、話は一気に進み、年末の予算編成が忙しいなかでも会合が実現した。
高市政権は、今年度補正予算に関連予算として、コンテンツ予算としては例外的に大きな規模となる550億円超を確保し、コンテンツを届ける国際流通プラットフォームの強化や海外展開を見据えたコンテンツの製作支援などを盛り込むなど、具体的に動き始めたところだ。僕も民間人として新しいアプローチを提案し、コンテンツ政策をより良くするのに貢献していくつもりだ。すでに自分のなかではさまざまなアイデアが生まれていて、今からワクワクしている。
3.岸博幸、「余命7年」と考えると油断してしまう。人間は弱いから、「あと1年」と考える

高市政権は、日本のコンテンツを海外市場で大幅に拡大することを積極的に進めようとしている。非常に正しい方向性を目指しているので、僕も民間人として関わらせていただこうと思っているが、この取り組みは、輸出拡大という経済面だけでなく、日本の外交や安全保障の面でも大きな役割を担うものだ。
外交用語に、「ソフトパワー」というものがある。経済力や武力といった「ハードパワー」ではなく、自国の文化や価値観を海外で広めることで、自国のファン、つまり味方になってくれる国を増やし、外交を優位に進められるようにする力を指すのだが、音楽やアニメ、マンガといったコンテンツは、まぎれもない日本が世界に誇れるソフトパワーだ。
軍事力も経済力も乏しい日本が、中国と対峙していくためには、武力で米国に頼り切る(日米同盟)だけでは不十分で、ソフトパワーを活用して中国に向き合う仲間の国を増やすのが有効だと思う。要は、ソフト面の魅力で日本を好きになってもらい、味方を増やすという戦略だ。
ちなみに、日本が世界から評価されているコンテンツは、他にもまだまだたくさんある。代表的なのが、食。アメリカやヨーロッパでは、地方活性化の切り札は農産品を含め地元の食になっている。2025年、アメリカ・サウスカロライナ州のチャールストンに行った時、それを痛感した。
アメリカ国内のアンケートで“住みたい街・行きたい街”の常に上位に入っている場所なのだが、それほどまで支持されている主な理由は食。もともと南部料理は人気があるけれど、港町なのでシーフードもうまいし、農業も盛んなので野菜も美味しい。地元の農産物だけで料理を提供する有名レストランもあり、そこを目当てに米国中はもちろん世界中から人が訪れているくらいだ。
このケースは、日本もぜひ参考にすべきだと思う。和食に限らず日本の食はハイレベルだし、日本酒やウイスキーといった酒類、肉や果物などの食材も、海外からの人気が高い。ここ数年、東京の有名シェフが地方に移り、店を始めるという事例が増えているが、僕はこの流れが大事だと思っている。

