今年2026年で11回目となるオートモービルカウンシルの会場で見かけた、気になるイベントやモデルを紹介。日本におけるクルマ文化は、着実に成熟している。
クルマ好きの祭典ながら、音楽イベントも本格的
2026年4月10日(金)から12日(日)にかけて、千葉県の幕張メッセで第11回目となるオートモービルカウンシルが開催された。
このイベントをひとことで紹介すれば“クルマ好きの文化祭”で、古今東西の自動車の歴史を軸に、音楽やアート、ファッション、食も楽しめる催しとなっている。音楽関連のコンテンツだけを見ても、ライブを行ったのが尾崎亜美&小原礼、長岡亮介、そしてマリーン、DJを務めたのがピーター・バラカンや小西康陽といった具合に、大人が楽しめる本格的なものであることがわかる。
会場に設置されたライブ演奏コーナー。著名ミュージシャンがイベントを華やかに盛り上げた。
今年の主催者テーマ展示はふたつで、ひとつはイタリアの名門カロッツェリア(デザイン工房)ピニンファリーナの傑作が並ぶ「Designed by ピニンファリーナ」。会場の入り口付近では、フィアット・アバルト750レコルド・エンデューロ・ピニンファリーナやフェラーリ250GT SWBなど、宝石のようなモデルが来場者を出迎えた。
クルマだけでなく、バーニーズニューヨークがポップアップを展開するなど、ファッション、音楽、美食など、多様な楽しみ方ができるイベントだった。
もうひとつは昨今のヴィンテージカーのトレンドを反映した「レストモッドの世界」で、往年の名車を現代の技術で「レストア&モディファイ」した車両が展示された。そして初日のプレスタイムには、この「レストモッドの世界」のブースで、いかにもオートモービルカウンシルらしいトークセッションが企画されていた。
このブースでは、レストモッドの代表として展示された4台をモチーフに、オニツカタイガーが同ブランドのドライビングシューズ、メキシコ66ドライビングをベースにしたプロトタイプを展示していた。そしてオニツカタイガー・カンパニー長の庄田良二氏と、オートモービルカウンシル実行委員会共同代表で、『CARGRAPHIC』代表でもある加藤哲也氏が登壇、ファッション性と機能を両立するドライビングシューズについて意見を交わした。
左がオニツカタイガー・カンパニー長の庄田良二氏、右がオートモービルカウンシル実行委員会共同代表の加藤哲也氏。庄田氏もクルマが好きで、メキシコ66ドライビングの開発にあたってはヴィンテージカー愛好家の意見を参考にしたという。
クルマを軸に、それにふさわしいファッションを語るというのは自動車関連のイベントではなかなか見かけない企画で、「スポーツカーの運転を楽しんで、そのままレストランに入れるシューズはこれまでありませんでした」という加藤氏の言葉に、深くうなずくことになった。
主催者テーマ展示「レストモッドの世界」で展示された、2台のランチア・デルタ・インテグラーレ。
18億円の展示車両は、世界に2台の希少なモデル
ひとりのクルマ好きとして、オートモービルカウンシルというイベントの好ましいところは、ほとんどの展示車両に価格が明示されていること。以下、個人的に気になったモデルを紹介したい。
空冷エンジンを搭載するポルシェ911の人気はいまだ衰えず。1975年から89年まで生産されたタイプ930は、84年にエンジン排気量が3ℓから3.2ℓに拡大された。
日産スカイラインGT-Rにこれだけの価格がつくのは、レーシングマシン用に開発した2ℓ直列6気筒DOHC24バルブエンジンを搭載している希少性から。当時のカタログには、最高出力が160psとある。
筆者が会場で見た限りでは、この18億円が最高価格車だった。ポルシェがF1で勝つために開発した2ℓの水平対向8気筒DOHCエンジンを搭載したモデルで、一説によるとこのエンジンを積むポルシェ904は2台だけが生産されたという。
ホットハッチ(ホットな走りを見せるハッチバック)の元祖であるフォルクスワーゲン・ゴルフGTIも人気モデル。1983年に登場した2代目ゴルフのGTIを探している方も多い。
1993年型ということは、1966年から長きにわたって生産された初代アルファ・ロメオ・スパイダーの最終型。内装もきれいで、貴重な1台だ。
スーパーカー世代にとって垂涎の的が、1966年に登場したロータス初のミドシップ車であるヨーロッパ。展示された個体は68年に改良が施されたS2で、75年まで生産された。
ランチア・テーマは、ジョルジェット・ジウジアーロがデザインを手がけた端正な4ドアセダン。グリルに輝く「8・32」」とはフェラーリ製のV型8気筒32バルブエンジンを積むことを意味する。
“クラシック・レンジ”の愛称で親しまれる初代レンジローバー。1996年型というのがポイントで、94年に2代目が発表されたものの、人気の高さから96年まで初代の生産が延長されたのだ。
メルセデス・ベンツの愛好家からは、「“最善か無か”という哲学を体現した最後のメルセデス」とも称されるW124型のステーションワゴン。いまだに人気高し。
1970年代のWRC(世界ラリー選手権)を席巻したアルピーヌA110。展示されていたのは、最終型に近いVD型だった。
現役当時は「財布の軽い若者のための」という形容詞がついたイギリス製ライトウェイトスポーツ。ヴィンテージカー入門には、このあたりが好適かもしれない。
サトータケシ/Takeshi Sato 1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。