CAR

2026.02.10

新生ジャガーの市販モデルを北極圏で発見!

リブランディングを発表したものの、まだ市販モデルの知らせがないジャガー。いったい、どんなクルマを開発しているのか……、とやきもきしていた2026年2月、スウェーデンの凍結した湖から最新情報が届いた。

150台のプロトタイプが絶賛試験走行中

ジャガーはどこへ行ってしまったのだろう?

同社は、2024年暮れに超ラグジュアリーBEV(バッテリー式電気自動車)のブランドに生まれ変わると発表した。続けてプロトタイプをお披露目したものの、以来、フォーミュラEでの活躍やプロトタイプが世界各地を行脚しているというニュースは伝わってくるものの、市販モデルの進捗状況については音沙汰がなかった。

試しにオフィシャルホームページを開いて「モデル一覧」をクリックすると、内燃機関車メーカー(?)だった頃のモデルがずらりと並んでいるものの、すべてに「※新車販売受付終了」という注が付いている。

しなやかに走りながらも機を見て獰猛に襲いかかる、まさにネコ科の肉食獣のようなパフォーマンスや、気高いスタイリングでわれわれを魅了してきたジャガー。クルマ好きだけでなく、多くの方がその不在を寂しく感じているのではなかろうか。

2026年2月、ようやくジャガーの消息が判明した。新生ジャガーの第一弾になると公表されていた、1000psの4ドアGTを気温マイナス40度の北極圏でテストしているというニュースが入ったのだ。

これはジャガーの歴史で最も厳格なテストプログラムの一環とのことで、灼熱の砂漠のハイウェイや凍った湖などで、150台のプロトタイプが何十万マイルもテスト走行を行っているという。

自社開発の革新的なBEVシステムと独特のプロポーション、そして低重心設計によって、美しさと運転する喜びを両立させたクルマを作り上げるとジャガーは謳う。

カムフラージュのための擬装が施されているものの、基本的なプロポーションはプロトタイプとして発表されたTYPE 00を踏襲しているように見える。BEVなのでエンジンは積んでいないけれど、FR(フロントエンジン・リアドライブ=後輪駆動)の高性能車を思わせる、ロングノーズが特徴だ。うずくまるような低重心のフォルムも、いかにもジャガーらしい。

せっかくなので、4ドアGTとTYPE 00の写真を並べてみたい。

「Copy Nothing」という創業から不変の哲学

スウェーデンの凍結した湖でテストを行う理由はいくつもあるけれど、ジャガー史上最もパワフルだという1000psを超える大出力を正確かつ素早く4輪に配分する能力を高めるには、滑りやすい路面が好適なのだろう。4本のタイヤそれぞれに適したトルクを伝え、場合によっては4輪個別にブレーキを掛ける4駆システムは、安定性と優れたコーナリング性能を両立させるはずだ。

低温下ではバッテリー性能が低下するので、BEVは寒冷地を苦手にするとされる。開発中の4ドアGTは、ThermAssist™というヒートポンプシステムを効果的に使うことで、極低温下でも航続距離を最大化することに挑んでいる。

そのほか、前輪だけでなく後輪も向きを変える全輪操舵や高度なエアサスペンション、可変式のショックアブソーバーや冬用タイヤなどのパフォーマンスを確認しているとのことだけれど、興味深いと感じたのはThermAssist™という車載熱管理システムだ。このシステムは暖房使用時のエネルギー使用量を最大で40%削減し、気温がマイナス10度になってもそこから熱を回収してパワートレインや室内を温めるというもの。極寒の地でも航続距離を最大化するための仕組みだ。

ブランド刷新にあたって、ジャガーはパワートレインもロゴも変えたけれど、変えなかったのは「Copy Nothing」という創業者ウィリアム・ライオンズ卿の信念だ。「Exuberant Modernism(活気あふれるモダニズム)」というクリエイティブフィロソフィーからどのような内外装のデザインを生むのか、またエンジン車に比べると差別化を図るのが難しいBEVの走りにどのような違いを与えるのだろうか。

冒頭にフォーミュラEで活躍していると記したけれど、2024-2025シーズンはチーム、ドライバーともに2位と健闘した。ジャガーにはジェントルマンが乗る上品なクルマと言うイメージもあるけれど、もともとはCタイプとDタイプというスポーツカーで1950年代のルマン24時間レースで圧倒的な好成績を残したことで名声を高めた武闘派ブランド。新しい4ドアGTのパフォーマンスにも、フォーミュラEで得た知見や経験が注入されるはずだ。

新型4ドアGTのアンベールは、2026年の後半。楽しみに待ちたい。

問い合わせ
ジャガーコール TEL:0120-050-689

サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。

TEXT=サトータケシ

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