コルベット Z06がリニューアル。人気が過熱、抽選販売や予約受付停止の措置も取られた経緯があるアメリカンスーパースポーツの雄は、どのように変わったか?

自然吸気の大排気量エンジンの魅力
2026年1月9日、クルマ好きにとってお年玉ともいうべきモデルが発表された。それはモータースポーツで得た知見やテクノロジーを注ぎ込んだ、改良版のシボレー・コルベット Z06(ズィー・オー・シー)。クーペとコンバーチブルが同時にお披露目された。このモデルがなぜクルマ好きに刺さるのかといえば、ターボチャージャーやモーターを介さない、純粋な大排気量のV型8気筒エンジンを搭載しているからだ。
省燃費や騒音規制をクリアするという目的で、多くのスーパースポーツが排気量を縮小してターボで力を補うダウンサイジング化や、モーターでアシストするハイブリッド化を進めている。それらは尊敬すべき技術の進歩ではあるけれど、隔靴掻痒というか、エンジンとドライバーの間に薄い膜が存在するような感覚が拭えない。
1対1でダイレクトに向き合うように感じられる自然吸気エンジンのフィーリングは、いまや貴重なものになっているのだ。

改良を受ける前のシボレー・コルベット Z06のLT6エンジンは、低回転域ではアメリカンスポーツらしい鷹揚なフィーリングを伝え、回転が上昇するとともに足並みが揃い、高回転域では一点に向かって集中するような感覚があった。つまり、エンジン回転の上昇とともにドラマが起こったわけで、どの回転領域でも均等に力を発揮するターボやハイブリッドとは明らかに手ざわりが異なった。最後の純エンジン車に選ぶのだったらこれかも──、という思いが湧いた。
そのシボレー・コルベットZ06が改良されたというのだから、否が応でも期待が高まる。どこが変わったのか、興味津々で確認した。
敷居が低く、間口が広く、奥行きが深い
最大の変更点はインテリアで、ドライバーは新たな3つのディスプレイから素早く、正確に情報を得ることになる。3つのディスプレイとは12.7インチのセンタースクリーン、14インチのドライバーインフォメーションセンター、6.6インチの補助タッチスクリーンで、映し出されるアニメーションやグラフィックはこれまでより洗練されたものになっている。

興味深いのは、これまでハイブリッドモデルのシボレー・コルベット E-RAYのみに採用されていたパフォーマンスアプリが新たに標準装備されることだ。リアルタイムで馬力とトルクを表示するほか、PDR(パフォーマンスデータレコーダー)がデータを分析、運転技術の向上をサポートする。
まるでプレステ5のドライビングゲームのようであるけれど、楽しみ方が増えるというのは好事家にとって悪いことではない。

もうひとつ、Googleビルトインを搭載することで、車両が常にインターネット回線とつながることになる。ちなみに、必要となるデータ通信は新車から8年間無償で利用できるとのこと。GoogleマップやGoogleアシスタント、Googleプレイストアを通じたさまざまな機能にアクセスすることができ、音声でエアコンやオーディオ、ナビゲーションなどを操作することも可能だ。
Z06に限らず、シボレー・コルベットというモデルの魅力は、民主的なスポーツカーであるというところだ。個性的でいかにもスーパーカーらしいスタイリングから、ぱっと見だと一部の特別な人の乗り物だと感じるかもしれない。
けれども一度ステアリングホイールを握ると実に運転がしやすく乗り心地も快適だから、おおらかな性格の大型犬のように人懐っこいキャラクターにほっこりとする。そしていざアクセルペダルを踏み込むと、レーシングドライバーもうならせる超一流のパフォーマンスを発揮する。
だから通勤に使う人が乗ってもいいし、サーキット走行に連れ出しても満足できる。あらゆるタイプのクルマ好きに間口を開いているという意味で、民主的なのだ。モータースポーツに使うことを前提としたZ06は、ムチを入れたときのパフォーマンスが突き抜けていて、コルベットのラインナップの中でもダイナミックレンジが広い。
とにもかくにも、2026年も引き続き自然吸気のV8エンジンを搭載するこのクルマがお金さえ出せば買えるということは、クルマ好きとしては慶事だと感じる。
シボレー・コルベット Z06
全長×全幅×全高:4685×2025×1225mm
ホイールベース:2725mm
エンジン:5.5ℓV型8気筒DOHC
トランスミッション:8段デュアルクラッチ式AT
駆動方式:MR(ミドシップ後輪駆動)
エンジン最高出力:646ps
エンジン最大トルク:623Nm
価格:クーペ ¥26,800,000、コンバーチブル¥30,200,000(いずれも税込)
問い合わせ
GMジャパン・カスタマー・センター TEL:0120-711-276
サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。





