下部ツアーを主戦場としてきた23歳が、初めて立ったPGAツアーの舞台でいきなり優勝──。2025年のフェデックスカップ・フォールで、最も強烈なインパクトを残したのがマイケル・ブレナンだ。平均351ヤードという圧倒的な飛距離だけでなく、完成度の高いスイングで“飛び級”の勝利を手にした新星。その強さの本質は、実はアマチュアゴルファーにも再現可能な「速くて滑らかなバックスイングにある」。ブレナンのスイング理論を解説するとともに、動画解説付きで飛距離アップのヒントをひも解いていく。

下部ツアーから一気に主役へ。無名の若手がPGAで勝ち切るまで
2025年のPGAツアー・フェデックスカップ・フォールで、最も強い存在感を放った選手が、23歳のマイケル・ブレナンだ。
ユタ州ブラックデザートリゾートGCで行われた「バンク・オブ・ユタ選手権」にスポンサー推薦で出場したブレナンは、プロとしてPGAツアー初出場(アマチュアとしては2試合出場)ながら、いきなり初優勝を飾った。
下部ツアーを主戦場としてきた無名の若手が、PGAの舞台で一戦にして主役へ──。この勝利によって、ブレナンは一躍スポットライトを浴びる存在となった。
米国バージニア州出身。父の勧めでゴルフを始め、早くから頭角を現すと、名門ウェイクフォレスト大学では8勝を挙げるなど、学生時代からプレー全体の完成度が高かった。
プロ転向後は、PGAツアー3部にあたるPGAツアー・アメリカズで実績を積み、2025年は3勝を挙げて賞金ランク1位に輝く。16試合中12回のトップ10入りという成績が、その実力を雄弁に物語っている。
バンク・オブ・ユタ選手権では、4日間平均351.1ヤードという圧倒的な飛距離に加え、高いショット精度も披露。パワーだけに頼らない総合力でフィールドをねじ伏せ、この一戦をきっかけに“シンデレラボーイ”として一気に注目を集め、キャリアのステージを大きく引き上げた。
351ヤードを生む高速バックスイング。その仕組みはアマチュアにも再現できる
飛距離に注目が集まりがちだが、ブレナンの最大の武器は、スイングの完成度の高さにある。
体と腕の動きが高い次元で連動しているため、ショットの再現性が非常に高い。アイアンでは距離感をコントロールした抑えた球も自在に打ち分けられる。単なるパワー型ではなく、飛距離と精度を高いレベルで両立している点こそが、彼の強さの本質だ。
スイングで最も特徴的なのが、バックスイングの速さと滑らかさである。トップまでの動きはワンモーションで非常に速く、そこに無駄な力みは一切見られない。
この高速バックスイングは、ローリー・マキロイなど現代の飛距離が出るトッププレーヤーに共通する要素でもある。ただし、単に「速く上げる」という意味ではない。アマチュアがスピードを意識するあまり、手先でクラブを担ぎ上げてしまうと、手打ちを助長してしまうため注意が必要だ。
ブレナンのバックスイングでは、右ポケットが斜め上へ引き上がるように右股関節が動き、それに上半身の回転が自然に連動する。体の回転を生かすことで、速さと再現性を兼ね備えたバックスイングが可能になっている。
切り返しでは、高速バックスイングで生まれた反動によってシャフトをしならせ、そのエネルギーをインパクトで一気に解放。力を無駄なくボールへ伝えることで、飛距離を生み出しているのだ。
アマチュアゴルファーも、バックスイングを速くすることに挑戦してみてほしい。
クラブをコントロールするため、あるいは手上げを避けるために、ゆっくり上げた方が再現性が高いと考えがちだ。しかしその結果、下半身を固めたまま上半身に頼ったバックスイングになりやすく、切り返しで反動を使えないため、飛距離のポテンシャルを出し切れないケースも多い。
下半身主導で上半身を回転させたほうが、バックスイングのスピードを高めやすく、手打ちの改善にもつながる。
ブレナンのように、右股関節の動きと上半身の回転を連動させることで、スムーズにクラブが上がり、再現性も高まる。さらに、そのスピードを生かして反動でシャフトをしならせ、しなり戻りによってヘッドスピードを高めることができる。
より積極的に下半身を使いたい人は、マキロイのように始動で右足で地面を押し、その反力が上方向へ抜ける感覚を意識してバックスイングしてみてほしい。上に向かう地面反力を利用することで、クラブの勢いを感じながら、これまでよりも楽にトップまで上がる感覚をつかめるはずだ。
「速く、滑らかに」バックスイングを上げるために必要なのは力ではない。体の各部を連動させ、動きの流れを作ること。それこそが、飛距離アップへの第一歩となる。
動画で解説|マイケル・ブレナンに学ぶ、高速バックスイングと反動動作
◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

