パッティングが日によって不安定になる原因は、フェースの開閉にあった。タイガー・ウッズも助言を求めた名手が実践する「ヒールを浮かせる構え」が、方向性と再現性を劇的に高める理由を解説する。

パッティングが不安定になる本当の原因はフェースの“過剰な開閉”
「ストロークが安定せず、距離感も方向性も日替わりになる」。
こうした悩みを抱えるゴルファーは少なくない。
パッティングのミスを掘り下げていくと、インパクトで緩んでフェースが開いたり、逆に手先で打ちにいってフェースを閉じたりするケースが多く見られる。ストローク中にフェースが適度に開閉すること自体は自然な動きだが、問題はその量だ。
パッティングでは、ストローク中にフェースが適度に開閉すること自体は自然な動きだ。問題になるのは、その開閉が過度になり、インパクトでフェースの向きが急激に変わることである。これが距離感や方向性を不安定にする大きな要因となる。
ヒールを浮かせる構えが、ストロークをシンプルにする理由
フェースが大きく開閉してしまう背景には、構え方とストローク軌道が関係している。
特にハンドダウンが強くなり、トゥ側が浮いた構えになると、ストロークはフラットになりやすい。その結果、イン・トゥ・インの軌道が強まり、フェースがスクエアに戻るタイミングが不安定になる。
このような状態では、真っ直ぐ打っているつもりでもインパクトで微妙なズレが生じやすく、ヒッカケやプッシュといったミスにつながりやすい。
そこで有効な選択肢となるのが、「ヒール側を浮かせて構える」方法だ。
この構えを実践している代表的な選手が、パッティングの名手として知られるスティーブ・ストリッカー。PGAツアー通算12勝を挙げ、タイガー・ウッズが助言を求めたことでも知られる存在だ。
彼のアドレスを見ると、パターのヒール側がわずかに浮き、シャフトが垂直に近い状態になっていることがわかる。
ストリッカーとデシャンボーに共通する“直線的パッティング”
ヒールを浮かせる最大のメリットは、ストロークを「真っ直ぐ引いて、真っ直ぐ出す」イメージを作りやすい点にある。
シャフトが立つことでパターを直線的に動かしやすくなり、フェースの開閉が入りにくくなる。その結果、ストローク全体がシンプルになり、方向性の再現性が高まる。
このストロークに向いているのは、「真っ直ぐなストローク」を強くイメージしているゴルファーだ。フェースを開いたり閉じたりせず、パターを直線的に動かしたい人には相性がいい。
パターを体の下に“吊るす”ような感覚で構え、真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出す。その際、余計な操作を加えないことが重要になる。
この考え方は、2度全米オープンを制したブライソン・デシャンボー のパッティングにも通じる。
彼はシャフトを立て、左腕とパターを一直線にした形でストロークすることで、フェースの開閉を抑え、直線的な動きでパッティングをしている。ストリッカーも同様に、左腕とパターを一体化させることで、高い再現性を生み出している。
ヒール浮かしで失敗しないために重要な「手の位置」
もっとも、ヒールを浮かせれば誰でもうまくいくわけではない。注意すべきポイントが「手の位置」だ。
手が体に近すぎると、パターヘッドがバックストロークが外側へ上がりやすくなり、ストローク軌道が安定しない。アウト・トゥ・アウトになってプッシュアウトが出たり、逆にアウトサイド・インが強くなってヒッカケが出たりと、ミスの幅が広がりやすくなる。
逆に、手が体から離れすぎるのも問題だ。手先でヘッドを操作しやすくなり、体でストロークしようとするとクラブをインサイドに引き込みやすくなる。
理想は、両手が肩の真下に自然に収まる位置。
アドレスを取った状態で腕を力を抜いて自然に垂らし、その位置でグリップするイメージを持つとわかりやすい。そのポジションを基準にしたうえで、ヒール側をわずかに浮かせる。こうすることで、フェースの開閉を最小限に抑えた直線的なストロークが可能になる。左サイドとパターが一体になるイメージを持つと、さらに安定感が増すだろう。
ヒールを浮かせたパッティングは、ストロークを直線的にイメージし、再現性を重視するゴルファーに向いた打ち方だ。フェースを操作せず、シンプルで機械的な動きを求める人にとっては、大きな武器になる可能性がある。
今のパッティングに迷いがあるなら、一度この構えとストロークを試してみてほしい。方向性の安定感に、これまでとは違う手応えを感じられるはずだ。
動画で解説|ヒールを浮かせて“真っ直ぐ打つ“パッティングストローク
◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

