1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウェアを生み出し続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた仕事人たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「人生を彩る眼鏡」の第30回は俳優の市村正親。「人生を彩る眼鏡#30」/「男を起動させる眼鏡」#1〜50
PERSON 80
俳優/市村正親

これからもたくさんの役を“生きたい”
ミュージカル界のレジェンド、市村正親さん。現在もなお精力的に舞台に立ち続けているとあり、撮影中も華麗なポージングを魅せる。時には頭の上まで脚を上げてみせたりと、躍動感のあるフォトセッションとなった。
普段からサングラスを愛用。昨年(2025年)は、テレビのトーク番組でも薄いカラーの入った眼鏡をかけた姿が見られた。
「撮影当日、スタイリストさんが私物で持っていた丸い形の眼鏡をかけさせてもらったんです。レンズに薄いカラーが入っていたこともあって、目の前にバリアが張られて心の内を見透かされないような安心感があったんですよね。見た目もいつもと違った雰囲気になるので、これはいいなと思いました。目の下のクマも隠れるしね(笑)」
今回選んだのは、EYEVAN 7285の「371」。曲線と直線を絶妙に交えたバレルシェイプに、静かな個性が薫るモデルだ。ロロ・ピアーナのデニム風生地で仕立てたジャケットに、深いボルドーカラーのフレームが洒脱に映える。
「フレームにも色があると、お洒落に見えるよね。形も楕円に近くて、インテリな雰囲気がありながら、少しひょうきんな感じもあって。大きくて黒いサングラスをかけると、なんだか逆に目立ってしまうから、落ち着いたデザインのほうが自分には合うのかもしれません」
今年で芸歴53年。『屋根の上のヴァイオリン弾き』のテヴィエ、『スクルージ』のスクルージなど、“持ち役”を多く抱える一方で、今なお新作にも意欲的に取り組む。2025年は、喜劇俳優・榎本健一、通称“エノケン”の波乱の半生を市村さんが演じる音楽劇『エノケン』も好評を博した。
「少なくとも年に1本は、新作をやりたいと思っています。新しい役を演じると、また違った脳を使っている感じがするし、自分が試されているみたいな緊張感もあるんです。持ち役は、上演を重ねていくごとにどんどん深まっていく。けれど、初役は今でも幕を開けてみないとわからないですから。カーテンコールのお客さんの反応を見て、喜んでもらえていることがわかると、それは嬉しいですよね。やっぱり、お客さんに喜んでもらえることが一番のモチベーションですね」
長年キャリアを重ねてきたからこそ、至ることができた境地。それは、欲を捨てること。
「若い時は、“こういうふうに見てもらいたい”“笑いを取りたい”など、“たい、たい、たい”って欲があったんです。でも今はもう、“たい”はないね。“見せたい”と自分の欲を満たすのではなく、純粋に役を生きればいいんだと思えるようになりました。僕は、舞台上でただ生きている姿を見せればいい。そうすれば、お客さんが好きなように見て、感じてくれるんだから。これからも、たくさんの役を生きていきたいですね」
市村正親/Masachika Ichimura
1949年埼玉県生まれ。1973年に劇団四季『イエス・キリスト=スーパースター』でデビュー。翌年、劇団四季に入団。1990年までの在籍中に看板俳優として活躍する。退団後もミュージカル、ストレートプレイ、一人芝居など様々な舞台のほか、テレビドラマや映画、アニメや洋画の吹き替えなどの声優としても活躍している。2007年には紫綬褒章、2019年には旭日小綬章を受章。現在、映画『新解釈・幕末伝』が公開中のほか、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の公演が行われている。
衣装クレジット
ジャケット¥336,600(ザ・クロークルーム/ザ・クロークルーム トウキョウ TEL:03-6263-9976) その他スタイリスト私物
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