1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウェアを生み出し続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた仕事人たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「人生を彩る眼鏡」の第6回は歌舞伎役者・松本幸四郎。「人生を彩る眼鏡#6」。
PERSON 56
歌舞伎役者/松本幸四郎
スタイルを選ばずかけられるデザインが好き
カメラの前で、圧倒的な存在感を放っていた十代目松本幸四郎さん。撮影後には「今日は操上さんに、ありのままを撮っていただきました(笑)」と、リラックスした表情を覗かせた。
「眼鏡は、普段からかけています。基本的にフチが細いものが好きで、スーツでもカジュアルでもかけられるようなものを選んでいますね。最近は、メタルのフレームに薄いグレーの度付きレンズを入れたものを使っています。軽くて、自分に馴染んでいるような感じがするので」
レンズが小ぶりのデザインを好み、なかでも20年程前に購入したオーバル型のサングラスは、何度も修理をしながら10年以上愛用し、壊れてしまった今も大事に保管しているという。また、小学生の頃には、フチ無しのフレームをダテ眼鏡としてかけていたことも。
そんな幸四郎さんが今回選んだのは、E5 eyevanの「p14」だ。フレンチヴィンテージを思わせる存在感のあるデザインに、ニュアンスのあるクリアブラウンのカラーリングが洗練された印象を醸し出す。
「太いものは普段あまりかけないんですけど、この色合いがいいなと。黒だと少しくっきりしてしまうけれど、これなら主張し過ぎている感じもない。こうしたお洒落なものをかけていたら、会話のきっかけにもなったりするじゃないですか」
クラシカルなスタイルに、現代の機能性を取り入れアップデートしているのがこのフレームの魅力だが、400年の伝統をもつ歌舞伎も「つねに“今”の人に感動していただく舞台」であるのだと幸四郎さんは語る。
「先人のつくった作品を演ずるだけで存在し続けることができるなら、むしろ楽かもしれないですよね。そうではなく、現在を生きる人間として、今の人に感動していただく舞台をつくっていく。そうして続いていることこそが、歌舞伎のすごいところだと思っているんです。一方で、逆に“変わらない”ことが、変えるためのひとつの選択肢になることもあります。たとえば、時代が江戸から明治に変わったとき、歌舞伎はちょんまげを切らなかった。だからこそ、今も残っているのかなと思いますし。そうした時代を生き抜く嗅覚が、歌舞伎にはあるんです」
守るべきことと、変えていくべきこと。幸四郎さん自身も古典の大役を務めながら、ラスベガス公演ではウォータースクリーンを演出に取り入れたり、コロナ禍には「図夢(ずぅむ)歌舞伎」と題したオンライン配信作品の構成・演出を手がけるなど、これまで革新的な取り組みにもチャレンジしてきた。
「今挑戦してみたいのは、映像作品。舞台をそのまま撮るのではなく、画面で見るものを完成形とした歌舞伎です。人物の動きや台詞を含め、音楽的にも視覚的にも美しいのが歌舞伎の魅力ですから、それを活かした演出のドラマをつくってみたいですね」
松本幸四郎/Koshiro Matsumoto
1973年東京都生まれ。二代目松本白鸚の長男として生まれる。1979年3月、歌舞伎座『侠客春雨傘』で三代目松本金太郎を襲名して初舞台を踏む。1981年10月、歌舞伎座『仮名手本忠臣蔵』七段目の大星力弥ほかで七代目市川染五郎を襲名。2018年1月、歌舞伎座 高麗屋三代襲名披露公演『壽 初春大歌舞伎』で十代目松本幸四郎を襲名。2024年3月3日〜26日まで三月大歌舞伎に出演する。
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