PERSON

2026.03.14

しゃきっと背中を真っ直ぐにしてると、脳は自分を元気だと思い込み、本当に元気になる【和田秀樹×94歳・大村崑③】

「元気ハツラツ! オロナミンC」と、崑ちゃんの声が響くと撮影現場は一気に笑いで温まる。94歳にして、現役。笑いに涙の混じる筋金入りの“話芸”に和田秀樹も思わず感激~! 元気に長生きしている大先輩にその秘訣を聞く人気連載、大村崑3回目。【対談記事はコチラ

しゃきっと背中を真っ直ぐにしてると、脳は自分を元気だと思い込み、本当に元気になる【和田秀樹×94歳・大村崑③】

足腰を鍛えることで動き続けられる体に

大村 今行ってるジムね、やたらとストレッチをやるんです。それからスクワットをやったりね。たっぷり1時間。体にも触ってくれます。

和田 いいですね。筋肉をつけるだけだけじゃなく、柔軟性も大事ですからね。それに体に触れられるとオキシトシンという幸せホルモンも出るんです。

大村 なるほど。スクワット、やってみましょか。“崑ちゃんのスクワット”って有名なんです。

和田 (笑)。お願いします。

大村 (実演しながら)ここまで腰を下ろすのよ。

和田 わあ。この姿勢をキープできるのがすごいです。

大村 ね、すごいでしょ。だから僕は足がちゃんと上がるの。もう一つ見せしましょか(笑)。

和田 本当にお元気で(笑)。

大村 「のびーる」というゴム製の健康器具を使うの。これ1100円くらいで買うたのかな。両手で持って頭の上から背中へと回していく。頭と背中にゴムが当たらないように。これ、先生にもやってもらいましょ。

和田 え、僕もやるの。(実演しながら)うーん、これ……。

大村 きついでしょ(笑)。

和田 はい。

大村 これをやるとね、肩が前に出なくなるんです。年寄りはみんな、頭と肩が前に出ているでしょ。

和田 その通りです。重心が前に傾いたまま歩くので、足が上がらないし、ちょっとした段差にもつまずいてしまう。

大村 それでひっくり返ってケガをする。骨も弱ってるからコケたら骨折ですよ。

和田 道を歩くときだけじゃなく、実はお風呂場での転倒も怖い。年間2万人近くが亡くなっていますからね。この数は交通事故の8倍です。

大村 だからね、僕は風呂入るときに必ず女房に声かけます。反対に、女房が「入るよ」って言ったら「よし」って言って、たまに見に行ったりします。

和田 いいですね。大村さんの行動は、やっぱりどれも理に適ってますよ。

大村 そうですか。今日は先生にたくさん褒めてもらえてね、うれしいですよ。

和田 大村さんは声もすばらしい。発声練習とかもしているんですか。

大村 僕はね、童謡が好きなんですよ。「♪菜の花畑に入り日薄れ~」って。朝起きたときや風呂に入ってるときなんかに歌うんです。すると脳が美しくなる感じがしてね。

和田 いいですね。私も患者さんにはカラオケを勧めています。童謡は音楽がきれいなので余計にいいかもしれません。

大村 童謡は家族や友達が出てくるでしょ。それから夕日があったり山があったり、美しい自然が目に浮かぶ。今はもうビルばっかりで、なかなか夕日も見られないですけど。

和田秀樹

いじめられないために人を笑わせた幼少期

和田 ご出身は大阪ですか。

大村 神戸です。昔はね、大人がおもしろいこと言って、子どもはわけわからんなりにもそれを聞いて育つ。「神戸の港に船が着く、おじんパッチにクソが付く、ああ、クッサ」って、そんな歌を大人が歌うんですよ。それをまた子どもが覚えてね。

和田 (笑)。なんのこっちゃ。

大村 僕の本名はね、岡村睦治っていうの。だから「オムツ」ってあだ名をつけられてね。いじめられるんですよ。

和田 岡村の「オ」と睦治の「ムツ」で「オムツ」。なるほど。昔の子は残酷でしたからね。

大村 「神戸の港に船が着く、おじんパッチにクソがつく、オムツのパンツにクソがつく、ああ、クッサ」て、これを全校生徒が言うんですよ。僕は小学1、2年生ですよ。普通なら泣いて学校に行かなくなるでしょ。

和田 そうですね。大村少年はめげなかった。

大村 そう。いじめられないために笑わせたんですよ。「ああ、クッサ」と言われたら、僕も「ああ、クッサー」と笑いながら教室に入っていくんです。

和田 その当時から芸人だったんですね。

大村 そう。それと僕のいた町は韓国人が多くてね。その子らが落第して、6年なのに3年生だったりするのよ。そのガキ大将がケンカ強くてね。

和田 そりゃ強いでしょうね。3つも年上なんだから。

大村 その強いやつを味方にするわけよ。僕は子分になる。だから僕はおもしろいだけじゃなくケンカも強くなった(笑)。

和田 たくましいですね。

大村 芸能界に入ってもいじめはあったんですよ。裏に連れていかれてゴツンと殴られる。そしたらキンタマ蹴るんです。ガキ大将から教わった方法ですよ。それでみんな僕にケンカを売らなくなった。

和田 そこから大成するのだから、やっぱりたくましいですよね。

和田秀樹と大村崑
大村崑/Kon Omura(右)
1931年兵庫県生まれ。昭和30年代、テレビ軽演劇『やりくりアパート』『とんま天狗』などの主演を務め一世を風靡する。大塚製薬オロナミンCのCMで国民的タレントとして地位を確立。現在は講演活動に全国を駆け回りながら、映画にも出演。著書に『崑ちゃん90歳 今が一番、健康です!』など。

和田秀樹/Hideki Wada(左)
精神科医・幸齢党党首。1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業後、同大附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー等を経て、和田秀樹こころと体のクリニック院長に。当対談連載をまとめた『80歳の壁を超えた人たち』をはじめ、『80歳の壁』『幸齢党宣言』など著書多数。

崑ちゃんを続けていると元気でいられる

和田 今は大阪にお住まいですか。

大村 はい。いわゆる高級老人ホームです。以前住んでいたマンションが僕と女房だけになってね。僕が東京や地方に仕事に行くと女房は一人になる。今は悪い奴がいるでしょ。電話して女房が出なかったりすると心配で仕方がない。だから今のマンションに移ったんです。

和田 そのほうが安心ですよ。

大村 頑丈な構造なので倒れる心配はない。食堂も大きいし玉突き場もある。映画館もあるんです。入口には受付の女性もいて、「お帰りなさい」「行ってらっしゃい」と言ってくれる。ちょっと高いけど、やっぱり安心には変えられないでしょ。

和田 マンションには同年代の方が大勢いるんですか。

大村 330人くらいの年寄りがいるので大変よ。外に出た途端「崑ちゃん」って声をかけられる。タクシー乗ろうとしてるときも「崑ちゃん、どこ行くの」って聞かれるしね(笑)。

和田 崑ちゃんがそこにいたら、それは声かけますよ(笑)。

大村 女の人は触りにきますよ。それで「わあ、元気な体してるわね」って言う。足を触りにくる人もいます。崑ちゃんのスクワット有名だからね。触って「うわー。やっぱりすごい筋肉やわ」って(笑)。

和田 気が抜けませんね。

大村 だから外に行くときは女房が「あなた、首が前に出てるわよ」って注意してくれる。僕はしゃきっと背中を真っ直ぐにして歩くから元気に見える。おかげで人気あるんですよ。

和田 いいですね。格好をつけることはとても大事なんです。元気な格好してると、脳は自分を元気だと思い込み、本当に元気になってきますからね。人気者の崑ちゃんでいることも、大村さんの元気の秘訣なんでしょうね。

※4回目に続く

TEXT=山城稔

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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