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2021.01.31

【アイヴァン】役所広司「眼鏡ひとつで雰囲気が変わる」Vol.26

1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウエアを生み出し続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた熱き男たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「男を起動させる眼鏡#26」。

PERSON 26
俳優/役所広司

役所広司氏

役所氏が装着する眼鏡は、EYEVAN 「Puerto」¥27,000

主演映画『すばらしき世界』では老眼鏡姿を披露

「若い頃はフランス映画で観たアラン・ドロンやジャン=ポール・ベルモンドのサングラス姿に憧れましたね。大人になったらサングラスをかけてタバコを吸えるんだ、と思っていました」

日本を代表する名優は、そう言って柔らかく笑う。

「実際にサングラスをかけてみて、自分以外の人からはこちらの目は見えないけれど僕にはすべてが見えているという、不思議な体験ができるもののような気がしました。今も昼間はサングラスをかけています。夜はもっぱら老眼鏡で、家中にいくつも転がっていますね」

2月に公開される主演映画『すばらしき世界』では老眼鏡姿を披露している。

「劇中で読み書きするシーンがあったら、老眼鏡が必要なんですよ。特に今回はミシンをかけるシーンがありまして。もう老眼鏡がないと本当にダメでしたねぇ」

同作は、映画『ゆれる』『永い言い訳』などで知られる西川美和監督の最新作。役所氏は、以前から西川監督作品に参加したいと思っていたことを明かしている。

「西川さんの映画に二度ほどコメントを寄せたことがあって、お礼のお手紙をいただいたんです。そのなかで、僕が出ているドラマを17歳の時に観たという話を書いてくださって、『だったら早く声をかけてくれればいいのになぁ』とずっと思っていました(笑)」

西川監督は、役所氏の主演ドラマ『実録犯罪史シリーズ/恐怖の二十四時間 連続殺人鬼 西口彰の最期』(フジテレビ系/1991年)を高校生の時に見たことが「映像体験の原点かもしれない」とこれまでたびたび語っている。長年にわたる縁が本作で結実したわけだ。

『すばらしき世界』で役所氏が演じるのは、殺人事件などを起こし、人生の大半を刑務所で過ごしてきた男・三上。満期出所するも、真っ直ぐすぎる気性と社会から離脱していた時間の長さから周りとうまくなじめない男が、どうにか周囲とつながって再出発しようとする様子が描かれている。

「原案の小説『身分帳』を読んだ時は、あまり主人公に好感を持たなかったんですよ。意外と理屈っぽくて、自分のことばかり主張しているように思えて。でもワンシーンワンシーン、撮っていくなかで三上を理解していきました。原作と映画では、結果的にずいぶん主人公のキャラクターが違っていると思います。それは西川さんが、一度失敗した男に対して優しい眼差しをもって作りあげたからでしょうね。犯罪であったりいろいろハードな面はありますが、だからこそぬくもりを感じる映画になっていると思います」

今回の撮影で身につけている作務衣は、主演映画『わが母の記』(2012年)の衣装候補だったもの。

「色違いで2つ衣装があって、こちらは使わなかったんです。でもずっと現場に置いてあって『いいな、いいな』と言っていたら衣装さんが交渉してくださって。着るのは今日で2度目です。茶人のような雰囲気になるので、眼鏡もそれに合わせました。眼鏡はデザインひとつで雰囲気が変わるので面白いですよね。奇抜なデザインで変身するのもいいですが、やっぱりかけたときにスッと馴染む感覚が大事ですね」

Koji Yakusho
1956年長崎県生まれ。『Shall we ダンス?』(1997年)、『うなぎ』(1998年)、『孤狼の血』(2019年)と3度にわたり日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞、昨年は『すばらしき世界』でシカゴ国際映画祭にて最優秀演技賞を受賞している。12年には紫綬褒章を受章。

問い合わせ
EYEVAN PR TEL:03・6450・5300
http://eyevaneyewear.com

すばらしき世界

©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

『すばらしき世界』
人生の大半を刑務所で過ごした男が出所後、さまざまな人と出会ってはぶつかりながら仲を深め、再出発を目指す姿を描く感動作。原案は佐木隆三の『身分帳』(講談社文庫刊)。シカゴ国際映画祭で観客賞と役所広司の最優秀演技賞をW受賞した。
2021/日本
監督:西川美和
出演:役所広司、仲野太賀ほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
2月11日より全国公開

TEXT=斎藤 岬

PHOTOGRAPH=操上和美

HAIR&MAKE-UP=勇見勝彦(THYMON)

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