GOLF

2026.01.17

「バンカーショットは、砂にクラブを打ち込む」は違う

「バンカーから出ない」「何度打っても砂に刺さる」──そんなゴルフの悩みの原因は、バンカーショットに対する根本的な誤解かもしれない。脱出できない理由と、バウンスを正しく使うための実践的な練習ドリルを紹介する。

吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン/バンカーから出ない原因は「打ち込め」という誤解だった。脱出率を劇的に上げる正しい打ち方と練習法

バンカーから出れない原因は「打ち込む」という思い込み

「バンカーからボールが出ない」という悩みは、多くのアマチュアゴルファーが抱えている問題である。特に、ボールが飛ばずに再びバンカーショットを打つ状況になると、「脱出できないかもしれない」という恐怖心が芽生え、余計に力が入ってミスを重ねてしまう。

ボールが飛ばずにバンカーから出ないという問題の根幹には、「バンカーショットは砂にクラブを打ち込むもの」という誤解がある。これは、バンカーショットは「上から強く打ち込め」という、よくあるレッスンの影響によるものかもしれない。

確かに、砂があまり入っていない硬いバンカーでは、この打ち方が有効な場合もある。しかし、砂が多く入っている柔らかいバンカーで上から打ち込むと、クラブが砂に深く潜ってしまい、ボールが十分に飛ばず、再びバンカーショットを打つ状況になりやすい。

さらに、オープンスタンスにしてカットに振ると、ボールは余計に飛ばなくなる。

バウンスを滑らせる感覚が、脱出の成否を分ける

本来、バンカーショットで重要なのは、サンドウェッジの裏面にあるバウンスを砂の上で滑らせることだ。バウンスを滑らせることで、クラブが砂に潜りすぎるのを防ぎ、安定したバンカーショットが可能になる。

しかし、多くのゴルファーはこのバウンスを滑らせる感覚がつかめず、結果としてクラブを打ち込む方法に頼ってしまいがちだ。

バンカーショットのスキルを身につける方法として、ボールがあると仮定した位置の手前の砂に1本線を引き、その線を素振りで削る練習がある。

これは、ボールの手前の砂を適切にとらえ、バウンスを滑らせながらバンカーショットを習得するための練習として、昔から広く知られている。ただ、バウンスを使う感覚がつかめていない状態では効果が半減してしまうため注意が必要だ。

小さな振り幅で身につく「滑る感覚」と乾いた「パンッ」という成功の音

砂に書いた線を削る練習をする前に、小さい振りでヘッドの走りやバウンスの使い方を体感する練習ドリルを行ってほしい。

アドレスでは、両手を少し離してクラブを握り、グリップエンド付近を左手の指でつまむように持ち、右手は通常のグリップで軽く添えるように持つ。そして、ボールの位置を中央より左に置き、リーディングエッジが右を向くようにクラブフェースを開き、バウンスが砂に接地しやすい構えを作る。

スイングは腰の高さ程度の小さな振り幅に抑える。グリップエンドの位置を動かさずに、振り子のようにヘッドの運動量を増やすイメージを持ってスイングしてほしい。ポイントは、クラブの支点であるグリップエンドの向きを、素早く方向転換させながらスイングすることだ。

ダウンスイングでシャフトが地面と平行になった時点ではグリップエンドが目標方向を向き、インパクトでは上を向き、フォロースルーでは目標と反対方向を向くようにする。こうすることでヘッドの運動量が増え、バウンスが砂の上を滑りやすくなる。

この練習では手を動かすことに意識を向けるのではなく、クラブの動きを主役にし、ヘッドが走りながらバウンスが滑る動きを感じてほしい。

小さな振り幅で感覚がつかめたら、通常の振り幅の素振りで線を消していく。インパクトゾーンでは、小さい振りで養ったバウンスを滑らせる感覚を生かし、クラブの動きそのものに意識を向けながらスイングしてほしい。

成功すると、これまでのクラブが砂に刺さったときに出ていた鈍い音とは違い、クラブが加速しながらバウンスが滑ることで生まれる、乾いた「パンッ」という音が聞こえる。この音こそが、バウンスが正しく使えているサインだ。ボールを安定してバンカーの外へ運ぶことが可能になる。

マット練習でもOK。バンカー脱出力を底上げするコツ

アマチュアゴルファーはバンカーで練習する機会が少ないだろう。今回紹介したドリルは、練習場のマットでも十分に試すことができる。

オープンスタンスやカット軌道を意識する必要はなく、スクエアに構え、スタンスなりに振るだけでバウンスを滑らせる感覚をつかむことができる。なお、インパクトで手元が目標方向へ流れるとシャンクの原因になるため、その点には注意してほしい。

クラブが砂の上を滑る感覚を身につけ、砂にクラブが当たったときに乾いた音を出せるようになれば、バンカーからの脱出は簡単に感じられるようになる。基本を理解し、少しずつ練習を重ねることで、バンカーはピンチではなく、スコアメイクの武器へと変わっていくはずだ。

動画で解説|バウンスを正しく使ったバンカーショットの打ち方

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2026年2月号

その一滴が人生を豊かにする 弩級のSAKE

ゲーテ2026年2月号表紙

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2026年2月号

その一滴が人生を豊かにする 弩級のSAKE

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ2月号』が2025年12月24日に発売となる。特集は、その一滴が人生を豊かにする弩級のSAKE。表紙は俳優のパク・ソジュン!

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

GOETHE LOUNGE ゲーテラウンジ

忙しい日々の中で、心を満たす特別な体験を。GOETHE LOUNGEは、上質な時間を求めるあなたのための登録無料の会員制サービス。限定イベント、優待特典、そして選りすぐりの情報を通じて、GOETHEだからこそできる特別なひとときをお届けします。

詳しくみる