学習まんがというのは昔からあって、歴史や理科の知識はそこから学んだという人も多いだろう。今また学習まんがが続々出ているというので、新しく出版されたもので、美術のジャンルのものはないかと探したら、これを見つけた。

ルーブル美術館から始まる謎解きの旅
美術もの学習まんがというよりは、今の小学1・2年生でいうと「生活科」ジャンルらしい。キャッチに「まんがで世界一周」「知れば知るほど、世界はもっとおもしろい」「あらゆる国のみ力がぎっしり!」とあるように、地理や社会の学習、旅ものかも知れないのだが、美術館、博物館をめぐる旅、それもルーブル美術館から始まってるので手に取ってみた。
もともとこれ、「となりのきょうだい 理科でミラクル」というシリーズのキャラクターであるトムとエイミがルーブル美術館にやってきて、謎を解きながら、絵画や彫刻、そして歴史を学べる仕組みになっている。

目次はこんな感じになっていて、中学3年と小学5年の兄妹がルーブル美術館と大英博物館、台湾の国立故宮博物院を舞台にドタバタを繰り広げながら、進んでいく。

ルーブルの誰もが知ってる作品が登場してくる。《ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠》、《モナ・リザ》、キリストの奇跡《カナの婚礼》、フランスの7月革命《民衆を導く自由の女神》、《ミロのヴィーナス》などなど。

クイズに答えたり、歴史を知ったり、美術作品を覚えたりしてストーリーは進んでいく。これ、子どもは楽しいに違いないし、大人にもお薦めしたい読み物だ。
で、この1冊では、ルーブルで発生した事件がイギリス、台湾と場所を移しながら、最後にはちゃんと解決されるという流れ。
それにしても、紙の本と電子の本、同時にどっちもあって選べる時代の子どもにとってはそれぞれの特徴をうまく掴みながら、知識を吸収していくのだろうと思った。本といえば紙でできていたが、電子の本が出てきたのを見てきた僕たちとは違う。それはまるで、ラジオがあって、まだテレビはなくて、やがてテレビも出現して……という経験をした人もいたように。(そういう人ももうあまりいないだろうけど)。
偉い哲学者さんたちが『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』なんて話し合っているけれど(いや、そんな簡単に絶滅しないって話です)、子どもは(僕たちも)自由に楽しく知識を身につけるものだねという話。子どもの本を眺めるのもいい。そんなことも考えるから。

お、これはジョットの《聖痕を受ける聖フランチェスコ》じゃないか、あれはいい絵なんだよと思ってると、一方で、モナ・リザに眉毛がないのはなんでだろうってことに1ページ使ってたりして。
Yoshio Suzuki
編集者/美術ジャーナリスト。雑誌、書籍、ウェブへの美術関連記事の執筆や編集、展覧会の企画や広報を手がける。また、美術を軸にした企業戦略のコンサルティングなども。前職はマガジンハウスにて、ポパイ、アンアン、リラックス編集部勤務ののち、ブルータス副編集長を10年間務めた。国内外、多くの美術館を取材。アーティストインタビュー多数。明治学院大学、愛知県立芸術大学非常勤講師。

