1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウェアを生み出し続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた仕事人たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「人生を彩る眼鏡」の第35回は俳優の寛一郎。「人生を彩る眼鏡#34」/「男を起動させる眼鏡」#1〜50
PERSON 85
俳優/寛一郎

モノ選びは、合理性より直感を重視
「普段から、眼鏡はめちゃくちゃかけています。僕はアクセサリーをつけないので、ファッションで一番重要なアイテムかもしれません」
そう語る、俳優の寛一郎さん。20代前半から眼鏡をファッションとして取り入れるようになり、そのコレクションは現在20本ほど。近年は「この作品、頑張ったな」と思えたときに、自分へのご褒美として買うことも多いのだとか。眼鏡をはじめ、モノ選びの際に大切にしているのは、「合理性ではなく、感情で選ぶこと」。
「自分の直感を、大事にしたいんです。『こういう時に使える』、『こういうシーンでかけられる』といった理屈ではなく、ビビっときたデザインを選ぶようにしています。それが結果的に似合わなかったということも、20代前半は多かったんですけど……。自分に合うスタイルを見つけるまで、わりと時間がかかった気がします」
そんな寛一郎さんが選んだのは、ガラス製のカラーレンズを搭載したEYEVAN 7285の「372」。柔らかなシェイプのフロントを、太めのブリッジやヨロイに施された2点の鋲が引き締め、目元をぐっと際立たせる。
「これぐらい大きめで、横に長いものが自分には似合うと思っているんです。操上さんも、『いいじゃん、これ』と言ってくれたので(笑)。大きめで主張が強いデザインだけどかけやすかったですし、ラフにかけても、フォーマルなスタイルに合わせても、どちらにもハマりそうだなと思いました。僕は散歩が好きで、歩きながらセリフを覚えたりすることもあるんですけど、そんなときにもかけたいですね」
寛一郎さんが俳優になろうと決めたのは、18歳の頃。父は佐藤浩市、祖父は三國連太郎という名優一家に生まれ育つなか、自身も同じ道を歩むことを決意するのは、決してたやすいことではなかったはずだ。
「二代目でもなく、三代目というのがまた難しいところで。もちろん、俳優をやらないという自由もあったんですけど……。でも、どこかで『やらなければいけない』という感覚は小さな頃からあって、周囲から期待されていることも子どもながらに感じていました。もう、一度『やる』って言ったら、やめる選択肢はないんですよ。だから、本当にやれると腹をくくれるまで、一度も『俳優になりたい』と周囲に言ったことはなかったです」
2017年にデビューして以来、ドラマ『グランメゾン東京』や連続テレビ小説『ばけばけ』など話題作に出演する一方、作家性の強い作品やインディーズ映画にも出演するなど、幅広いフィールドで活躍。作品ごとに多彩な表情を見せながら、確かな存在感を放っている。
「作品がメジャーか、インディーズかを意識しているわけではなく、自分が好きなのがたまたまニッチなものだったという感じですね。そうした作品にはこれからも出演し続けたいですし、そのためには、朝ドラや大河など、たくさんの人に知ってもらう機会も大切だっていうことが最近わかってきたところです」
今年、2026年で30歳。来年にはデビュー10周年という節目を迎える。今後の抱負は?
「過去の自分を驚かせることができる自分でありたいと思っています。これまで、決して順風満帆とは言えないですけど……、良くも悪くも、俳優を始めた当時に抱いた期待の延長線上のまま来てしまっているので、そこは良い意味で裏切っていきたいなと。たとえば、10年前の自分に会って今の状況を話したら、『あぁ、なるほどね』って言われてしまうと思うんです。そうではなくて、『なにそれ、ダサいね』なんて言われるぐらい、がむしゃらに走っていきたいですね」
寛一郎/Kanichiro
1996年東京都生まれ。18歳で俳優を志し、2017年にデビュー。同年出演した映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で第27回日本映画批評家大賞 新人男優賞、映画『菊とギロチン』では第92回キネマ旬報ベストテン 新人男優賞をはじめ、多数賞を受賞。2025年は映画『爆弾』、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』に出演。2026年5月26日より、W主演を務めるドラマ『100日後に別れる僕と彼』(MBS/TBS)がスタート。5月29日には映画『箱の中の羊』が公開される。
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