撮ったらすぐにその場で写真が見たい。そんなの、デジカメならあたりまえだけど、以前、フィルムで撮ってた時代は基本、そうじゃなかった。ただ、ポラロイドがあったのだ。これは撮ったら数分で写真が見られる画期的な方式だった。しかも色の感じとか、解像度の低さとか、ちょっとノスタルジックで良かったのだ。

2026年、あえて見返したい“ポラ”の魅力
そんなポラロイドならではの味わいが良くて、使っていた時期があった。専用のカメラも持っていたし、35mmのポジフィルム(スライド用フィルム)をポラロイド写真のように焼き付ける機会(Vivitar社製)も持っていた。
そんなポラロイド写真(サイズおよそ85×108mm)を額装してみたのがトップの写真だ。台紙に貼り付けたり、マットで写真を押さえつけたりせず、あえて、フォトコーナーを使って留めてある。ポラロイドの大きめの白枠も全部見えてなかなかいいと思う。
ポラロイドには大きく分けて2種類ある。一つは撮影後、端の紙を引っ張り、現像を始めて、一定の時間が経ったところで、紙を剥がす方式。これをピール式という。ポラロイド社のほか、同じ規格で富士フィルムからも発売されていた。
もう一つの方式は、撮影するとカメラが写真を押し出し、最初は何も見えてなかった画面に少しずつ絵が現れ、やがてちょうど良い具合に落ち着くもの。SX-70とか600シリーズというカメラで使われる。こちらはポラロイド社が生産を終了したあともオランダの企業であるインポッシブル社により生産が続けられている。富士フィルムの「チェキ(instax)」も同じ方式でそれも現行でカメラもフィルムも生産されている。

この写真、手持ちのハーフ判カメラ3台を撮っておいた。左のベル&ハウエルはキヤノンダイヤル35のOEM(フィルムが縦走りなので横位置写真が撮れる)、右はオリンパスペンW(ワイド)。アクセサリーシューについてるのは露出計。下は初代リコーオートハーフ。
ポラロイドという名前で有名になったインスタント写真は、エドウィン・ハーバード・ランドという一人の天才によってつくられた。1943年後半、ランドが家族でサンタフェに旅行したとき、ローライフレックス(6×6cmの中判カメラ)で家族写真を撮影したところ、当時3歳だった娘のジェニファーの「どうしてすぐに見れないの?」というひと言が開発のきっかけになったと言われている。1947年に特許を取得、翌48年に写真がすぐに見れるカメラを発売した。
そんなランドを絶賛し、先人と仰いでいたのが、アップル創業者の一人、スティーブ・ジョブズであることはしばしば語られる。
「ジョブズは何度も、エドウィン・ランドに対して深い尊敬の念を表している。プレイボーイ誌のインタビューでは彼のことを『国宝』と呼んだ」(クリストファー・ボナノス著 千葉敏生訳『ポラロイド伝説』実務教育出版 2013年)
このプレイボーイ誌のインタビューというのは1985年で、「National Treasure」と言っていることから、この本では「国宝」と訳したようだ。
ということで、僕がポラロイドで撮った、あるいは仕上げた写真をクリップしておこう。画面上に気泡が出てたり、画像の一部がうまく現像できてなかったり、フレームがズレていたりするのもポラロイドならではの特徴と言えて、今となってはそれもまたいい。
思い出というのはモノクロームだという歌もあるけれど、思い出ってポラロイドの色みたいじゃないかなぁと、昔撮ったこんな写真を見ながら僕は思ったのでした。
Yoshio Suzuki
編集者/美術ジャーナリスト。雑誌、書籍、ウェブへの美術関連記事の執筆や編集、展覧会の企画や広報を手がける。また、美術を軸にした企業戦略のコンサルティングなども。前職はマガジンハウスにて、ポパイ、アンアン、リラックス編集部勤務ののち、ブルータス副編集長を10年間務めた。国内外、多くの美術館を取材。アーティストインタビュー多数。明治学院大学、愛知県立芸術大学非常勤講師。












