男性美容研究家・藤村岳は、表情の悩みを美容治療で解決できるのか。その結果はいかに。

美容医療は“印象”への投資である
「藤村さん、もっと笑ってください」
講演、撮影、テレビ出演。人前に立つ仕事をしていると、かなりの頻度でそう言われる。こちらとしては普通にしているつもりだ。しかし、どうやら顔の印象がそれを裏切ってしまうらしい。
「何か怒ってます?」
過去には、そんなことを言われたことも。もちろん怒っていない。むしろがんばって愛想を振りまいていたつもりなのだが、仕上がった写真を見返すと、こちらにも言い分はあれど、相手の気持ちもわからなくはなかった。
原因はいくつか思い当たる。だが、最大の要因は、おそらく眉間に刻まれた深いシワだろう。
しかも深く、グイッと一本。それはまるで刀傷のように、額へ深く食い込んでいる。本人としては、それを“思慮深さ”や“年輪”のように解釈しようとしていた。使い込まれた革靴やヴィンテージレザーのように、渋みのある顔になっているつもりだったのだ。だが、世間はそこまで好意的に見てくれない。

その深いシワは、険しく見え、疲れて見え、その結果、近寄りがたい雰囲気を醸し出した。これは、男性美容研究家としてはゆゆしき事態だ。
ビジネスの場においても、この“なんとなく怖い”は案外、損失が大きい。オンライン会議、会食、採用面談、プレゼンなど、人は思っている以上に、顔から情報を読み取っている。つまり顔もまた、スーツや時計と同じく“マネジメントすべき対象”と言えるだろう。
そこで今回、政財界の要人たちが表情の再構築に訪れるという、東京・青山にある衣理クリニック表参道を訪れた。
総院長の片桐衣理先生に相談したところ、眉間のシワ改善として、ボトックスとヒアルロン酸による相乗効果治療を勧められた。

シワを“老化”ではなく、“表情の履歴”と捉える
青山に移転したばかりのクリニックは、ラグジュアリー一辺倒ではない。医療機関としての清潔感と都会的な洗練が共存している。美容クリニックに不慣れな男性でも、ここなら入りやすいだろう。

まず片桐先生は、眉間のシワができるメカニズムをロジカルに説明してくれた。
「最初は“表情を動かした時だけ”に出るシワなんです。でも、それが長年繰り返されることで、やがて無表情でも残る“刻まれたシワ”になっていきます」
眉間のシワとは、単なる老化ではない。筋肉の動きの蓄積によって形成される、“表情の履歴”とでも言うべきもの。つまり、筆者はそれだけ眉をひそめていたということか!
たしかに、PC画面を凝視している時や、原稿を書いている時、集中と解放を繰り返す中で自分でも眉間へ力が入っているのがわかる。経営者や管理職に眉間ジワが深い人が多いのも、ある意味当然なのかもしれない。ただ、その“真剣さ”が、周囲からは“不機嫌さ”として受け取られてしまう。それは決して小さくないロスだろう。
ボトックスとヒアルロン酸は、役割がまったく違う
“ボトックス”、“ヒアルロン酸”という言葉自体は、今やかなり一般化した。だが実際には、“何がどう違うのか”を正確に理解している人は案外少ない。
まずボトックスは、筋肉の過剰な動きを弱めて、緩めるもの。たとえば私の眉間。ここは怒ったり考え込んだりするたび、筋肉がギュッと収縮する。その動きが長年繰り返されることで、紙を何度も折り曲げるようにシワが刻まれていく。ボトックスはそんな箇所の筋肉に作用し、その“折り曲げる力”自体を弱めるイメージだ。
一方、ヒアルロン酸は、すでに深く刻まれた溝を内側からグイッと持ち上げるもの。いわば、凹んだ地面を下から押し戻す作業に近い。ボトックスでシワを作る動きを抑え、ヒアルロン酸でできてしまった溝を補正するという役割分担になる。

ここで私が気になったのは、単体施術ではなく併用する必然性だ。大きなシワ一本をヒアルロン酸でサッと埋めればいいわけではないのだろうか?
「今あるシワだけを埋めればいいというものではありません」と、片桐先生はそれを否定。
「眉間の筋肉の動きがシワを作っているので、まずはそれを緩める必要があり、その後にヒアルロン酸で溝を埋めます」と至極、明快。
そして、「例えば藤村さんの場合は縦に1本、大きく入っていますが、これだけに注入すると、おそらく今度はその横に2本、別のシワができてしまうでしょう。これは経験則で予想できることなんですけど、そこで、そのような事態を回避するため、予防的に今あるシワとは近くの、でも、別の箇所にもバランスを考え打っていくのが、“Dr.衣理式”なんです」と続いた。表情の流れを設計するとでも言うべきか。

なるほど、目の前の事象だけではなく、総合的に捉えることが美容領域でも重要なのだ、とマネジメントの発想で納得。
使用するものはガルデルマ社の“レスチレンリドカイン”。「非動物由来の高品質なもので、特許技術により硬度が高く、シャープなリフト力と持続性が期待できます。私自身、ガルデルマ社のディプロマも取得しています」と先生は自信を込めて補足する。
ただし、リスクの話に移ると、先生は釘を刺す。
「血管内に注入しないことが大前提です。よく耳にする事故はヒアルロン酸が血管内に入り、閉塞して壊死が起こるケースがほとんどですから」と片桐先生は語る。経験豊富な医師なら、まず血管内に入れないし、万が一、入ったとしても皮膚の血色の変化などですぐにわかるという。「施術の際、私は決して慢心せず、つねにヒアルロン酸を融解する薬も用意してあります」と。
額に垂直に刺さる針に、カメラマンも驚く
施術前、片桐先生は額や眉間へ細かくマーキングを入れていく。
「顔の筋肉も血管の走り方も、人それぞれですから。これは経験ですね」
開院以来23年以上、のべ数万人を診てきた経験値がベースにある。そのテキパキとした様子は清々しい。

麻酔テープを塗り、まずはボトックス注射からスタート。ちなみに筆者は、以前、“エラボトックス”をしたことがある。寝ている間の食いしばりでエラが発達してしまい、その対策として受けていたのだ。だから顔への注射自体には多少慣れている。眉間を中心に顔のあちこちに小気味よくボトックスが打たれていく。
……とはいえ、(打たれている本人は見えていないが)額へ垂直に針が入ってくる光景はなかなかインパクト大! 撮影していたカメラマンも「いや、これはちょっとびっくりしますね」と思わず声を漏らしていた。

ヒアルロン酸注入後に顔を彫刻する“指アイロン”
次いで注入するのは、ヒアルロン酸。眉間に注入するとき、麻酔が効いているので痛くはないが、ぐーんと押されるような感覚があった。しかし印象的だったのが、施術後の工程だ。注入後、片桐先生がかなり強い力で額をグイグイと押し伸ばしていく。

「今、何をしているんですか?」と思わず聞くと、「“指アイロン”と呼んでいます。単にフィラーを入れるだけでは自然にならないんです。患者様によって注入量も深さも均一ではないので、自分の指の感覚で整えながら、自然に見える仕上がりを作っていくんですよ」とのこと。

なるほど、単なる“注入”ではなく、まるで彫刻を作るアーティストのようだと思った。美容医療というと、どこか機械的な施術をイメージしていたが、実際には医師の感覚や経験値への依存度が非常に高いものだとあらためて知る。
そして、効果の持続性についても具体的に見立ててくれた。「藤村さんの場合、半年ごとにあと2回、計3回のボトックス+ヒアルロン酸をしましょう。その後はシワは消えてヒアルロン酸は必要なくなり、ボトックスを年に2~3回でメンテナンス。形状が記憶されるので、年を追うごとに頻度も減っていきますよ」と、片桐先生は年を重ねても明るい未来像を描いてくれた。

結局、美容医療は、“若返り”ではなく“印象の最適化”だ
施術後はヒアルロン酸による補正は即座に現れ、ボトックスの効果も数日を経て表情を緩やかに変えていった。不必要な威圧感や疲労感を削ぎ落とし、その人が本来持つべきパフォーマンスを正しく伝えるための戦略的な調整なのかもしれない。
経営者やリーダーにとって、顔はもっとも雄弁なメディアである。刻まれた眉間のシワは、これまでの研鑽や決断の積み重ね、すなわち“表情の履歴”に他ならない。しかし、その履歴が不機嫌や近寄りがたさを表すのであれば、それはビジネスにおける明らかな損失だ。
過去のハードワークの証(履歴)を、未来のための資産(好印象)へと最適化する。
スーツを新調し、時計を選び、言葉を磨く。その延長線上に、美容医療という選択肢を加えてみてはどうだろうか。それは、自分というヒューマンリソースの価値を最大化させるための、極めて合理的かつ費用対効果の高い投資であるはずだ。

住所:東京都港区南青山3-1-34 3rd MINAMI AOYAMA 7F
アクセス:表参道駅A4出口 徒歩6分/外苑前駅1a出口 徒歩3分
TEL:初診 03-5786-1155 / 再診 03-5786-0077
【眉間への施術】
・ヒアルロン酸:¥50,000~
・ボトックス:1回¥35,000~、年間保証¥105,000~※別途、注入料、麻酔クリーム代、初診料がかかる

