巷に溢れる玉石混交な「毛」の話。目からウロコな話題から、最新のトレンドまで男性美容研究家・藤村岳がQ&Aで回答。【特集 男の美容最前線】
Q1. 髪の毛と体毛の違いって何?
A. 毛には性毛と無性毛の2種類があります
性ホルモンの影響を受けやすい「性毛」は、第二次成長期から生え始める毛のこと。体臭の元となるアポクリン腺の近くにあり、太く毛包がしっかりしているという特徴があります。さらに、性毛は脇毛や陰毛のように男性、女性ともに生えている「両性毛」と、ヒゲや胸毛などのように男性に多く見られる「男性毛」があります。
一方、ホルモンの影響をほとんど受けない「無性毛」は、男女差がはっきりつく前からある頭髪や眉毛、まつ毛などを指し、細くて柔らかく、陰毛のように縮れないものが多い。しかし、頭髪はやや複雑で、前頭部と頭頂部は男性毛に分類される。だから男性型脱毛症の場合、後頭部は残り、生え際や頭頂部だけが薄くなることが多いのです。
Q2. 毛はどれくらいの期間で生え替わるんですか?
A. 毛が生える部位によって毛周期は異なります
一見すると変わらないように見える毛ですが、実は、「毛周期」というものがあります。その段階は「成長期」→「退行期」→「休止期」というもので、毛が生えてから抜け落ちるまでのサイクルを指します。
脱毛のために毛のメラニン色素にレーザーや光を当てる施術は成長期の毛でなくてはならず、今ある毛がどの段階にあたるかを判断するのは至難の業。だから、施術は複数回必要で時間がかかります。脱毛を行うのに最適な期間は2〜3ヵ月ごと。近頃よく目にするセルフ脱毛エステの謳い文句で、一定期間に施術のやり放題などをウリにしているところがありますが、毛周期を考えるとあまり意味がありません。
Q3. 最近よく聞くヒゲの育毛と脱毛を同時にするってどういうこと?
A. 生やしたり、減らしたりで整形級イメチェンも可能
最近、特に注目されているのがヒゲのデザイン。メイクをする男性も増えてきたなかで、手軽に、そして印象を最も劇的に変えられるのが毛量をコントロールして自分好みにする方法。生え方にクセがあり、剃りにくい顎下や面積の大きい頬のヒゲは脱毛や減毛をして、まばらに生えているところは密度を増やすなどの施術を受けるのもアリ。
昨今、顔の輪郭を作りシャープに見せるモミアゲの増毛を求める人が急増し、生えない部分に発毛する薬や幹細胞を注入したり、自毛植毛をしたり――。その場合、比較的抜けにくい後頭部や側頭部の毛根を採取し、不足部に植毛することも。同時に幹細胞による再生医療を併用すると効果がアップします。
Q4. 男性も脱毛するのがトレンドって本当ですか?
A. 欧米では体毛をコントロールするのが常識です
前項のヒゲのデザインと同じように体毛に関してもメリハリをつけるのが今時。特にVIOのデリケートゾーンを将来、介護を受ける時のために全脱毛してしまうという人も出現しています。近頃は、介護士から「邪魔になることはない」という意見もありますが、普段の生活を考えるとIやOゾーンに毛はないほうがいいと考える男性が増えているのも事実。
また、グローバルな視点からも男性のピュビックヘア処理はスタンダードとなっています。性交時、摩擦による痛みがあるのでパートナーから陰毛の処理を求められることも。ヨーロッパには気軽に男性が処理できるサロンが街中にたくさんあるほど。何もしないのが男らしいという時代はもはや過去のものです。
Q5. 脱毛の新潮流は?
A. アフターケアもコストパフォーマンスも万全な医療脱毛が◎
ブラジリアンワックスのように物理的に引き抜いてしまう脱毛法は、その場ではなくなりますが、一時的なものですぐに毛が生えます。エステサロンでの光脱毛は出力が弱いので痛みも少ないが、毛乳頭に軽くダメージを与える程度。しっかりと脱毛するには回数が多くなり、かえってトータルコストがかさむことも。他方、医療脱毛はレーザーのパワーが強いので細胞を確実に破壊可能。痛みは麻酔で軽減でき、結果的に回数も少なくて済みます。
ただし白髮になった体毛は黒い部分に反応するレーザー脱毛では難しいので、1本ずつ医療針脱毛をする必要が。そうなると、時間も費用もかかるので、脱毛が必要だと思ったら、早めに決断し、実行するのが望ましいでしょう。