イタリア・トスカーナ州を拠点にして、「手」を介したクラフツマンシップを標榜し、革新的で芸術性のあるファニチャーを提供しているブランド、それがエドラだ。その神髄を垣間見てみよう。

クリエイティヴ・ラボが生みだす、アートピースとしての家具
世界のインテリアデザインの潮流が決まる場として名高く、60年以上の歴史を誇る家具の見本市「ミラノサローネ」。2025年も4月に開催され、例年どおりの盛況となった。
今回の見本市の公式テーマは“啓発されたヒューマニズム”。そこには人間中心の豊かなデザインの在り方を見つめ直そうという意味が込められている。そして、このテーマを体現する作品を出展し、世界中から訪れたインテリアの関係者の間で人気を博したのが、イタリアの革新的ファニチャーブランド、エドラだった。
時間も「手」もふんだんに費やす
会期中、サローネ会場での展示に加え、ミラノ市内に18世紀からある歴史的建造物を活用したスペース「Edra Palazzo Durini」で特別展示を実施。どちらの会場でも、卓越した職人技が生む機能性と芸術的なデザイン性を併せ持つソファや椅子は、注目の的となっていた。
また、エドラは世界三大劇場のひとつであるオペラの殿堂、スカラ座で、スカラ座管弦楽団と合唱団出演の主催イベントを開催。音楽芸術の最高峰とエドラの洗練されたブランドイメージは相性抜群、ここでも大きな話題を集めた。
1987年にイタリア・トスカーナ州で生まれたエドラのものづくり精神は、設立当初からまったくブレることがない。アートとインテリアの境界を自在に超えていくような造形美を志向し、世界的デザイナーと次々とコラボレーションすることによって、決して古びることのない独創的なデザインを実現させてきた。そして同時に、機能性と快適性も最高レベルで満たし、多くのファンを摑んでいる。
例えばソファはクッションから布地まで、すべての素材は吟味を重ねて新規に開発されたものだ。それら最良の素材は、拠点を置くトスカーナ州のメーカーや職人の手によって、徹底的にディテールにこだわりながら仕上げられていく。


クラフツマンシップを徹底的に貫くエドラは、商品開発にたっぷり時間を費やす。定番ソファのその名も「Standard(スタンダード)」は、20年の歳月を費やして開発された。いったん発表したプロダクトは、何十年にもわたり販売されることが前提。ロングラン商品、そして時代を超越した作品になることを想定してつくられていく。この確固たるポリシーによって、エドラはいつの時代も変わらぬブランド価値を保持し、一貫性あるメッセージを発し続けられるのだ。
クリエイティヴ・ラボラトリーとして
そのエドラから世にも美しき斬新なチェア「A’mare(ア・マーレ)」「Ella(エッラ)」を手がけたデザイナー、ヤコポ・フォッジーニ氏に話を聞くことができた。
「私にとってエドラは単なるブランドではなく、創造性と自由を思いのままに表現できる『クリエイティヴ・ラボラトリー』です。制約のない、創造とデザインの世界における特別な保護区のような存在だと感じています。私はインテリアデザインのトレンドには関心がありません。それよりも、手仕事による職人技、特に新しいかたちのクラフツマンシップに興味があります。伝統を大切にしながらも、機械ではなく『手』を使うことに価値を感じています」

フォッジーニ氏のものづくりの姿勢は、エドラが大切に守り抜いてきた精神性と、ぴったり合致するのだ。
そんなエドラが、今夏から日本における販売拠点を新たに設けることとなった。場所は東京・青山。実際に訪れ、見て直に触れれば、その価値がよりいっそう伝わるに違いない。
NEWS|日本における新拠点が誕生

エドラの主要ラインナップを実際に体験できる場「Spazio Edra Tokyo Aoyama by LIVING HOUSE.」が、2025年7月3日にソフトオープン。ここはショールームでもあり、実際に座って寛ぎ、商品を吟味する場でもある。人気ソファ「Standard」「On the Rocks」は組み合わせを実際に変えることが可能。イベントも開催する予定だ。
Spazio Edra Tokyo Aoyama by LIVING HOUSE.
住所:東京都港区南青山3-4-8 1F
営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜(祝日は営業)
問い合わせ
edra spazioedra-tokyo-aoyama@livinghouse.co.jp