過去の名作を再構築した復刻は、懐古ではなくその作品が持つ本質的な価値や意味を現代の視点から改めて問い直した、再定義の証となる。伝統と革新が交差するジラール・ペルゴの「ディープ ダイバー」は、今夏、最も選ぶべき意味を持つ1本だ。

過去と未来をつなぐ決断。選び取る手首に意思を刻む
1791年に創業したジラール・ペルゴは、スイス時計界でも屈指の歴史を誇るマニュファクチュールだ。自社一貫製造を貫くその姿勢は単なる技術力の証明ではなく、哲学と構想をプロダクトへと昇華するための美学にほかならない。そんな名門が今夏発表したのが、「ディープ ダイバー」である。
かつて1969年に発表された「Ref.9108」に着想を得て誕生した本作は、アーカイブに忠実でありつつ、その価値を更新して再定義されたレトロなモダンダイバーズだ。
この挑戦を可能にしたのが、英国発のバンフォード ウォッチ デパートメントとの共創である。スペシャルエディションに特化した同社は、ジラール・ペルゴの設計思想と技術の蓄積に、感性と色彩という新たな軸を加えた。独創的なクッション型ケースと14角形ベゼルが囲む文字盤に広がるのは、鮮烈なオレンジとブルーの対比、クラシカルな書体に込められた遊び心─往時の意匠を受け継ぎながらも、都会的で洗練されたバランス感覚を備えている。
外装にはグレード5チタンを採用し、クイックリリース仕様のラバーストラップを2本付属。200m防水性能をはじめ、現代生活に寄り添う実用的な設計だ。搭載するのは、同社の基幹キャリバー「GP03300」をベースに、インナーベゼル機構やカレンダー表示を追加した「GP03300-2339」。3.36㎜厚という薄型で約46時間の連続駆動を実現し、信頼性と審美性の両面において高水準を維持する。コート・ド・ジュネーブ装飾やポリッシュ仕上げが施されたローター、ケースバックに浮かぶトライデントの意匠─目に見えぬ細部にいたるまで、ジラール・ペルゴの精神が息づく。
この時計が復刻と呼ばれるのは、姿形を再現したからではない。むしろ、それは「何を残し、何を刷新すべきか」という問いに対する応答だ。かつての美意識を写し取りつつ、素材も構造も感性も現代基準で読み替える。懐かしさにとどまらず、今選ぶ意味がある。そのあり方は、「新定番」という言葉に込められた期待を裏切らない。
時計とは判断の可視化である。「ディープ ダイバー」は、その選択の積層を形にしたものだ。現代に甦ったこのレトロなモダンダイバーズは、夏の装いに確かな説得力を与えてくれる。
Satisfaction1|バンフォードとのコラボレーション

Satisfaction2|個性的なポップカラーが手元を着飾る

Satisfaction3|完全自社製ムーブメントを搭載

Satisfaction4|1960年代のシグニチャーピースを復刻

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1枚目写真着用衣装:ジャケット¥104,500(ティービーアールエム/エスディーアイ TEL:03-6721-1070)、ニット¥45,100(ジョン スメドレー/リーミルズ エージェンシーTEL:03-5784-1238)、ショーツ[参考商品](ベルウィッチ/アマン TEL:03-6805-0527)