GOLF

2025.12.27

アプローチでダフったり、トップしたりはもうたくさん…転がせる場面で選ぶべきクラブとは

グリーン周りで距離感が合わず、スコアを崩してしまう──。そんな悩みを抱えるアマチュアゴルファーは多い。原因のひとつは、転がせる場面でもサンドウェッジを選び、必要以上に難しいアプローチをしていること。実は、ピッチングウェッジを使うだけで、距離感と成功率は大きく改善できる。特別な技術に頼らず、寄せワンを狙うためのシンプルな考え方と打ち方を解説する。

吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン/アプローチの距離感が合わない…ピッチングウェッジで寄せる、シンプルな考え方

アプローチの距離感が合わない原因は「クラブ選択」にある

​これは多くのアマチュアゴルファーが抱える、グリーン周りの悩みだ。こうした問題を抱えている人に特に多いのが、転がせる状況にもかかわらず、無意識にサンドウェッジを選び、ボールを上げようとして距離が合わなくなるケースである。

サンドウェッジでのアプローチショットは、ロフトがある分ボールを上げやすい一方で、フェースにボールを乗せる繊細な技術が求められ、わずかなミスがそのまま距離のズレにつながりやすい。対してピッチングウェッジはロフトが立っているため、サンドウェッジに比べてボールが低く出やすく、グリーンにキャリーした後は自然に転がってくれる。この特性を理解し、転がせる状況ではピッチングウェッジ、ボールを上げる必要がある場合はサンドウェッジというように、状況に応じてクラブを使い分けることで、グリーン周りの成功率は大きく高まる。

キャリー1:ラン2を基準に考える、距離感の作り方

ピッチングウェッジのアプローチショットで、まず押さえておきたいのがキャリーとランの関係だ。

アマチュアゴルファーの場合、「どこに落として、どのように転がすか」というイメージが曖昧なことが多い。漠然と距離を合わせようとするのではなく、明確な基準を持つことが重要になる。

平坦なグリーンでピッチングウェッジを使う場合の目安は、キャリー1に対してラン2。グリーンに落としてから転がすという発想に切り替えるだけで、距離感は一気にシンプルになる。

狙いどころを決める際は、ボールとピンの中間地点を基準に考えると分かりやすい。その地点をキャリー1・ラン1と捉え、キャリー1でランが2になるエリアを探し、そこをターゲットに設定する。

ピッチングウェッジでそのエリアにボールを運べば、グリーンに乗った後は自然な転がりでピンに寄っていく。キャリーをコントロールし、転がりを味方につける意識こそが、安定したアプローチショットへの近道だ。

特別な技術はいらない、ピッチングウェッジのアプローチ

ピッチングウェッジを使ったアプローチショットの打ち方は、通常のアプローチショットとほとんど変わらない。左足に体重を7割ほど乗せ、左足の上で体を回転させていく。

ここで意識したいのは、手先でボールを上げようとしないこと。手で操作し始めると、インパクトの再現性は一気に落ちてしまう。体の回転でクラブを動かす意識を持ちたい。

ボールポジションはスタンス中央よりやや左。ランを出そうとして極端に右へ置く必要はない。ロフトが立ったクラブだからこそ、無理に転がそうとしなくても、自然な低い弾道が得られる。

この「ソールが地面を滑る感覚」が出てくると、ザックリやトップといったミスは大幅に減っていく。

振り幅を小さくできるから、ミスが減る

ピッチングウェッジのもう一つの利点は、振り幅が小さくなる点だ。サンドウェッジよりも同じ距離を小さな振り幅で打つことができる。

振り幅が小さくなれば、当然ミスの確率も下がる。結果として、距離感と方向性の両方が安定し、寄せワンの確率は確実に高まっていく。

アプローチショットが苦手な人ほど、ボールを「上げる」ことを意識してクラブを選択しがちだ。だだが、転がせる状況であれば、無理にボールを上げようとせず、ピッチングウェッジでシンプルに転がす。その判断ひとつで、アプローチショットの難易度は大きく下がる。

ついサンドウェッジを手に取りたくなる気持ちをぐっと抑え、まずはピッチングウェッジを選んでみてほしい。

最初は違和感があるかもしれないが、ボールを上げなくても十分に寄せられると気づいた瞬間、アプローチショットに対する考え方は変わる。その変化は、やがてスコアにも自然と表れてくるはずだ。

ピッチングを使って寄せるアプローチを動画解説

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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