友人宅に急にお呼ばれした場合やちょっとしたプレゼント、自宅でのカジュアルなランチ会などの際に、近所のスーパーやデパートなどで5,000〜1万円で買える“ちょっといいワイン”を知っておくと大変便利なもの。おいしいのは絶対条件で、ちょっと蘊蓄も語れると最高ですよね。そんな「街中で買える、1万円以下の“お宝ワイン”」を、年間1000種類近いワインをテイスティングし、つねにおいしいワインを探し求めているワインブロガー・ヒマワイン氏がご紹介。

1万円級のシャンパーニュに匹敵するクオリティ
酒類販売店チェーン「やまや」をご存知でしょうか。宮城県仙台市で1970年に創業し、2025年3月末現在でグループ店舗数975店舗を誇る、国内最大級の酒屋チェーンです。
そんな「やまや」で今回発見したお宝ワインが、シャンパーニュ「ジーパー キュヴェ イン ラブ」です。
ラベルにも箱にも溢れるハートマーク。そしてワインの名前は「キュヴェ イン ラブ」。そしてボトルの中身はシャンパーニュ。この地球広しといえど、大切な人に愛を伝える上でこれを上回るワインはほぼ存在しないんじゃないか、そう思わせてくれるパッケージです。
かわいいワイン名とは裏腹に、「ジーパー(JEEPER)」という生産者名はイカつい印象ですが、この名前の裏にはとあるエピソードが隠されています。
時は第二次大戦の真っ最中。フランス軍の情報将校だったシャンパーニュ・グートルヴの当主、アルマン・グートルヴは敵の捕虜となりますが、ついに軍事機密を漏らさず、そのことでアメリカ軍の兵士たちを絶体絶命の危機から救います。
その後、戦地で大怪我を負って足を切断するという悲劇に見舞われシャンパーニュに戻ったアルマンの元に、あるプレゼントが届きます。アメリカ軍が恩人であるアルマンにシャンパーニュ地方を自由に走り回ってもらいたいと“ジープ”を贈ったのです。
この友情に感動した(であろう)アルマンは、自らのメゾンを「ジーパー」という名に改称。いつしかアルマンは“ジーパーマン”と呼ばれるようになったそうな。うーん、美談。
そんなこんなで語りどころ満点なメゾンであるジーパーにあって、ワイン自体もキャラが立っている「キュヴェ イン ラブ」ですが、味わいもビックリするほど素晴らしい。
メゾンのアイデンティティである白ぶどう「シャルドネ」を主体に、長期にわたる樽熟成を経たという味わいは、まるでモンブランのようなほっこりとした甘やかさと、レモンのような爽やかな酸味が違和感なく共存しています。熟成した上質なシャンパーニュのニュアンスが“買ってすぐ”から味わえます。
価格は5,500円(税別)。決して安くはないけれど、さりとてシャンパーニュとしては高くもない。それでいて、1万円級のシャンパーニュと言われても納得する味わいなのは、購入店である「やまや」直輸入だからというのが理由のひとつなのは間違いありませんが、そもそもの造りが上手いということも大いに言えると思います。贈ってよし、飲んでよし、飾ってよし。三方よしのシャンパーニュなんです。
バレンタインデーといえば恋人に愛を伝える日。最近では友人に友情を伝える日にもなっているようですが、私は自分にこのシャンパーニュを贈ろうと思います。
いつもおつかれ、自分。ありがとう、自分。大好きだよ、自分(照れながら)……! そんな気持ちを込めて、自分自身にジーパー キュヴェ イン ラブを贈る。ぼくたちおじさんにも、そんな日が1年に1回くらいあってもバチは当たらないのではないでしょうか。
ヒマワイン
年間約1000種類のワインを飲み、「ヒマだしワインのむ。」というブログを運営するワインブロガー。高いワインも安いワインも、地球上で造られるすべてのワインが好き。

