友人宅に急にお呼ばれした場合やちょっとしたプレゼント、自宅でのカジュアルなランチ会などの際に、近所のスーパーやデパートなどで5,000〜1万円で買える“ちょっといいワイン”を知っておくと大変便利なもの。おいしいのは絶対条件で、ちょっと蘊蓄も語れると最高ですよね。そんな「街中で買える、1万円以下の“お宝ワイン”」を、年間1000種類近いワインをテイスティングし、つねにおいしいワインを探し求めているワインブロガー・ヒマワイン氏がご紹介。

外見も中身も白一色の“ちょい熟”シャンパーニュ
年末の東京・恵比寿のデートスポットといえば、恵比寿ガーデンプレイスに毎年この時期になると設置される、バカラ製の巨大シャンデリア「バカラエターナルライツ」ではないでしょうか。
バカラのガラスに反射して煌めく光はロマンチックで、毎夜カップルたちがその光に吸い寄せられるように集まってきますが、そんなシャンデリアには脇目もふらずに私が向かうのは、同じガーデンプレイス内に位置する人気ショップ「ワインマーケットパーティー」です。
ワインマーケットパーティーは都内最大級の売り場面積を誇るワインショップで、とにかく品揃えが豊富。定番品からちょっとマニアックなワインまでがひしめいています。
そんな店内で今回私がピックアップした“お宝ワイン”が、アンドレ・クルエの「チョーキー」です。このワイン、とにかく知っておいて損がありません。
まず特徴的なのはなんといってもその純白ボディです。ボトルは白、ラベルも白、キャップシールも白の白一色。夜中に雪が降った翌朝の風景を思わせる純白具合です。もうこれだけで冬に飲みたい気分になります。
しかもこのワイン、中身はブラン・ド・ブラン。すなわち“白ぶどう”であるシャルドネだけで仕込まれたシャンパーニュなんです。外見は白一色ですが、中身も白一色というわけですね。
味わいも素晴らしい。7年という長期熟成を経ていることから味わいに熟成感があり、細かくて豊かな泡、シャープな酸味のみならず、クレーム・ブリュレのような甘やかさ、香ばしさを楽しむこともできます。シャンパーニュとしての実力は非常に高いものがあります。
余談となりますが、私は人から「どんなワインが好きですか?」と問われた場合、「ちょっと熟したシャンパーニュのブラン・ド・ブランです」と答えるケースが多くあります。この「チョーキー」はまさしく私好みのちょい熟ブラン・ド・ブラン。買ったあとセラーで寝かせて……とかの手間なくいきなりおいしいのがうれしいところです。
「チョーキー」は、しかも「語れる」ワインでもあります。「チョーキー」という名称は、シャンパーニュに豊かなミネラルと骨格をもたらす土壌「チョーク(白亜)」に由来します。白亜紀の語源ともなっているこのシャンパーニュ地方に特有の土壌は、水はけが良いにもかかわらず、乾燥する時期には水分を蓄え、ぶどうの生育をサポートし、シャンパーニュをシャンパーニュたらしめています。
そのテロワール(≒土地)への想いを込めて、チョーキーと名付けられ、純白のその土壌が、真っ白なボトルとして表現されてもいるのです。
見た目100点、味も素晴らしい。お値段は1万円ちょっとしてしまいますが、クリスマスや新年に飲むならそれくらい奮発してもいいでしょう。パートナーと飲むも良し、ホームパーティで開けるも良し、ワイン会に持ち込んでも喜ばれること間違いなしです。
バカラのシャンデリアも美しいですが、シャンパーニュグラスから立ち上がる細かく弾ける泡の美しさもまた、年末の風物詩。大切な方とお楽しみいただきたい、とっておきのシャンパーニュです。
ヒマワイン
年間約1000種類のワインを飲み、「ヒマだしワインのむ。」というブログを運営するワインブロガー。高いワインも安いワインも、地球上で造られるすべてのワインが好き。

