GOURMET

2024.12.26

ワイン愛好家を心酔させる、日比谷の老舗グランメゾン「アピシウス」

日本のフランス料理文化の礎を築き、いまなお、進化と深化を続ける老舗グランメゾン。多くのワイン愛好家を、心酔させる理由とは――。【特集 シャンパーニュの魔力】

「アピシウス」の料理とシャンパーニュ
クリュッグ「グランド・キュヴェ 166 エディション」×仔牛のヴェノワーズ
「仔牛のヴェノワーズ」(¥8,800)はパン粉で仔牛を包み、揚げ焼きにしたもの。牛の赤身に比べて淡くやわらかい旨みの仔牛に、店内のセラーでボトル熟成させてから提供するクリュッグ(¥57,200)が見事に寄り添う。

煌めく泡のような時間を老舗グランメゾンで

音楽にクルマ、時計などクラシックの世界には熱狂的な愛好家がいるが、美食もまた然り。単なる懐古趣味ではなく、どんなに時代を経ても“本物”は、決してその価値を失うことはないと実感するのが、1983年創業の「アピシウス」だ。

「アピシウス」の店内
アール・ヌーヴォー様式の空間には名画が飾られ、ゲストの目を楽しませる。

2024年の夏に4代目料理長に就任した森山順一シェフは、伝統あるレストランの担い手として新たな歴史を刻み始めたばかりだが、もうひとり忘れてはいけないキーパーソンが、シェフソムリエとしてゲストと向き合ってきた情野博之氏。日本のフランス料理業界の変遷を見つめてきたトップソムリエが大切に“温めてきた”セラーのなかには、目にすることもそうかなわない希少銘柄もある。

例えば「クリュッグ グランド・キュヴェ 166 エディション」は、現当主のオリヴィエ・クリュッグ氏が来店した際「このワインを扱っているとは」と驚嘆したとか。理由など説明せずとも、価格を上げることは難しくないが、「ここでしか見られないものや味わえない体験があると感じていただけることが大切」と話す。

初代料理長が考案したレシピも、開業時から変わらずアラカルトを提供し続けていることも、ワイン好きを歓喜させるラインナップも。すべてグランメゾンの矜持とともに、この先もずっと受け継がれていくのだ。

森山順一氏
森山順一
料理長。宮崎県出身。「フェニックスリゾート」(現ホテル日南北郷リゾート)を経て「アピシウス」に入社。2024年8月に4代目総料理長に就任。
情野博之氏
情野博之
シェフソムリエ。「トゥールダルジャン 東京」のシェフソムリエを経て、2007年に「アピシウス」へ。ワインの普及、若手の育成にも力を注ぐ。

アピシウス
東京都千代田区有楽町1-9-4蚕糸会館B1F 
TEL:03-3214-1361
営業時間:11:30~15:00、17:30~23:00
定休日:日曜
座席数:60席

※シャンパーニュの価格は、店舗にてボトルで提供する際の価格です。

【特集 シャンパーニュの魔力】

この記事はGOETHE 2025年1月号「総力特集:シャンパーニュの魔力」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=小寺慶子

PHOTOGRAPH=中庭愉生

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