シャンパーニュをアペリティフとしてだけではなく、食中酒としても愉しむ人が増えている。新たな発見をもたらす、さまざまなジャンルの話題店へご案内。今回は“天シャン”が味わえる、虎ノ門の「天ぷら あらたみかわ」をご紹介。【特集 シャンパーニュの魔力】
揚げの技で引きだされた食材の繊細な旨みに調和
天ぷらにはミネラル感と酸のバランスが取れたシャルドネが合う、というのはワイン好きの間では定説であるが、気分も高揚する“黄金マリアージュ”を愉しむなら、やはりシャンパーニュという選択肢は捨てがたい。
天ぷらの神様として知られる「みかわ是山居(ぜざんきょ)」の早乙女(そうとめ)哲哉氏のもとで修業を積み、2024年8月に自身の店を開いた小川比佐男氏。真剣なまなざしを向ける先には、美しい黄金色の油をたたえた銅鍋がある。
天ぷらを単純に“揚げ物”ととらえるならば、口の中に残った油を切るという面でもシャンパーニュが合わないはずはないが、職人の技で食材が持つ旨みを十分に生かした状態で揚げられる天ぷらには、とりわけ心地よい酸とミネラル感に富んだシャンパーニュがぴたりと調和する。
特にシャルドネを得意とする世界的メゾン、アンリオのブラン・ド・ブラン。淡い旨みを最大限に引きだした鱚(きす)やほっくりした甘みのさつまいもに口福感が高まる。その甘美な“呼応”に、思わず息をのむ。
※シャンパーニュの価格は、店舗にてボトルで提供する際の価格です。
この記事はGOETHE 2025年1月号「総力特集:シャンパーニュの魔力」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら