地のものをその地で味わう。どこにいても物が手に入る世の中だからこその贅沢だ。美容家でモデルの乙黒えりさんも、そんな愉しみを知るひとり。長野の日本酒蔵「山三酒造」を、軽井沢の名店「鳥嵩」で味わう至福の時間を追った。

タイ・バンコク生まれ。横浜雙葉学園在学中の2001年にテレビ朝日のオーディション番組で4000人の中から選ばれ、香港映画『ザ・スチュワーデス』でデビュー。現在は、スキンケアブランド「Re / U(リユー)」のブランドディレクターとしても活躍中。
多様な料理を引き立てる現代の究極の食中酒
美食の街・軽井沢のなかでも圧倒的な存在感を見せる、炭火鶏料理の名店「鳥嵩(とりたか)」。オーナーシェフの土屋慶典氏は炎の流れを操りながら、部位に応じて丁寧に焼きあげる。長野に店を置く土屋氏が食中酒として信頼を寄せるのが、同じ地元の酒である「山三酒造」の日本酒だ。
異次元の焼き鳥との呼び声が高い土屋氏の料理に、山三を愛飲する乙黒えりさんの期待も高く、「軽やかで優しい山三の日本酒と土屋さんの鶏料理がどんな相性になるか楽しみです」と。
長野の獨鈷山(とっこさん)のふもとにある山三酒造の酒は、“現代の食中酒”を造りだすべく、さまざまな料理に寄り添える味わいを目指した日本酒だ。純米酒にこだわり、味わいある無濾過生原酒を小仕込みで造りだす。

「鳥嵩の料理はお酒が進む料理だと思います。そのなかで山三の純米酒は、食中酒という概念で括(くく)れないほど、なくてはならない酒。お酒と料理が引き立てあえる関係性です」
そう土屋氏が言えば、一部位ごと丁寧に焼きあげる鶏料理に乙黒さんも笑みがこぼれる。
「長野県産米のうすにごりはフルーティで、梅肉や生姜が効いた胸肉の焼き鳥によく合います。飲み疲れせずバランスのとれた味わいで、舌の上でスムーズに流れます」


どんな料理にも寄り添える山三酒造の日本酒と同様、鳥嵩が目指すのは、毎日でも食べられる料理だ。鶏は油の旨みではなく、鶏自体の味わいを引きだすべく、炭火で焼き具合を調整する。鶏にはさまざまな薬味を組み合わせるほか、合間にスープや野菜の小鉢が挟まり、コースはリズムよく進む。
「日本酒もずっと飲めるし、料理も食べ続けられる。どちらも身体に優しい感じが、女性にはありがたいです」
山三酒造が表現するのは、日本の豊かな自然を反映するよう、丁寧に磨きあげた米と水からくる穏やかな旨みだ。長野の風土を背景に持つ日本酒の食体験を、この地で体験してほしい。

鳥嵩
2020年春に開業。オーナーシェフの土屋慶典氏がカウンターに立ち、炭火で焼きあげる。基本はおまかせのコースのみ。
住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉628-5
TEL:0267-42-1666
TEL:17:00〜22:00
定休日:不定休
座席数:9席
山三酒造(長野県上田市)
1867年創業。2015年から休蔵となっていたが、2023年に事業承継。地域に根差して、原料の米や水にこだわり、伝統と革新の融合によって品質を追求した日本酒づくりに挑戦している。
問い合わせ
山三酒造 TEL:0268-42-2260