英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第314回。

“are you an egg?”ではなく“are you an ape?”だった
先日、ラジオをつけたらたまたま英会話レッスンが流れだしました。聴いてみると初級レッスンのようで、「森を歩いていたら熊さんに出会った」というシュチュエーションで会話が進んでいます。
Are you a bear?
(あなたは熊ですか?)
Yes, I am. And are you an egg?
(はい、そうです。そしてあなたは卵ですか?)
No, I am a human.
(いいえ、私は人間です)
ずいぶんシュールな会話だなと思いました。
熊さんは、卵と人間の違いもわからないのか。でも人間を初めて見たのかもしれないな。
熊さん、かわいいな。
そう納得しました。
しかし、そのままラジオを聴いていたら、どうやらこう言っていたみたいです。
Are you a bear?
(あなたは熊ですか?)
Yes, I am. And are you an ape?
(はい、そうです。そしてあなたは類人猿ですか?)
No, I am a human.
(いいえ、私は人間です)
さすがの熊さんだって、卵と類人猿の区別くらいつきます。わからなかったのはきっとゴリラと人間の違いです。なにが「熊さんには卵に見えたのか、かわいいな」でしょうか。英語力0.5から最近また0に下がった私の耳には、恐ろしいことに「アン エイプ」が、「アン エッグ」と聞こえたのです。ApeのPの音、「プッ」の破裂音が、Gの音の「グッ」に聞こえたのだと思われます。
反省を込めて、改めてapeという単語の意味を調べてみると「類人猿」以外にもいくつか意味がありました。例えばこういう使い方ができるということ。
He’s aping his dad’s way of talking.
(彼は、彼のお父さんの話し方を猿真似している)
Apeを動詞として使うと「猿真似」となり、ただ真似をしているというよりは誇張したり揶揄ったりしているような表現で使われるということ。
「真似る、複写する」を意味するcopy(コピー)との違いは以下だそうです。
She copied the design of the dress.
(彼女はそのドレスのデザインを真似た)
She aped the design of the dress.
(彼女はそのドレスのデザインを猿真似でパクった)
先日、英語とフランス語がペラペラの日本人の方とお話していたら「文法なんてわからなくていいから、言語はとりあえず発音だけ徹底的に練習すれば現地でなんとか生き抜ける」と言われました。その方は渡仏する前はフランス語の発音と単語だけを徹底的に身体にしみこませ、最初は「とりあえずそれっぽい発音で単語だけ発して乗り切る」方法で過ごしていたそうです。確かに発音がちゃんとできれば、聞き取りも自然とできるはずで、エッグとエイプを聞き間違えるなどということは起こらないのかもしれません。
猿真似でもなんでもいいから、とにかく発音を磨いていきたいと、反省とともに思った次第です。