PERSON

2025.10.13

HIRO「EXILEは、みんなの夢をかなえる場所」過去、現在、そして未来を語る

EXILEを創設し、見守り続けてきたHIROが「歴史」「継承」「循環」という3つの視点から語るEXILEの現在地。

EXILEの集合写真

EXILEとは、長い歴史のなかで進化を続けた夢のかたち

2001年9月、EXILEはボーカル2人、パフォーマー4人から成る6人組でデビューした。その後の24年間でグループに関わったメンバーは通算20人。最大時で18人、現在は11人体制になっている。

「今アーティストとして活動しているEXILEメンバーは11人ですが、自分を含め、MAKIDAIやÜSAも、EXILEを名乗っています。当初は“EXILE 〇〇”と名字のようにつけることで、EXILEの可能性を広げていきたいと思っていました。グループを離れても、それぞれが活動のなかでEXILEという哲学を世の中に広めていく。それを続けていくうちに多くの才能が集まり、EXILE TRIBEという仕組みが生まれました。僕にとっては、〈EXILE=EXILE TRIBE=LDH〉です。夢や想いの広がりこそが、LDHの核であると思っています」

とはいえ、初めからこの形を目指していたわけではない。時代の移り変わりや、メンバーの成長による夢や行動の変化を、組織として受け止めてきた結果が今の形である。

「EXILEは今年末にドームツアーを控え、来年には25周年を迎えます。この25年間、ダンス&ボーカルグループとして形を変えながらも常にステージに立ち、その場所を守り続けてきました。そうした積み重ねがあったからこそ既存のアーティストの枠にとらわれない、今のEXILEの姿につながっているんだと思います」

2009年には天皇陛下御即位二十年をお祝いする国民祭典で奉祝曲 組曲「太陽の国」を献納。2011年、東日本大震災を機に制作された復興支援チャリティソング「Rising Sun」は、“日本を元気に”というメッセージとともに現在も歌い継がれている。この曲を含む通算8曲ものミリオンヒット曲を放ち、EXILEは国民的アーティストとなる。だが、ここ10年のEXILEは、7人のメンバーが新しい道を選び、ボーカリストのATSUSHIが長期間離脱するなど、明らかに激動していた。

そのATSUSHIが満を持してEXILEのグループ活動に復帰し、4年5ヵ月ぶり、52枚目のシングル「Get-go!」が2025年9月27日にリリースされる。大人の余裕が感じられる軽快なサウンドと、ATSUSHIが手がけたポジティブな歌詞が織りなす、再始動にふさわしい楽曲だ。

「本当にいろいろなことがありましたが、自分たちの信念や理念を大切にしながら、EXILEというフィルターを通して、EXILEを表現しようと考え続けてきました。そういう意味で、オリジナルメンバーのATSUSHIが完全復活して、この曲でEXILEが再始動することは感慨深いものがあります。往年のEXILEらしい楽曲が今の時代には逆に新鮮なので、これからが楽しみです」

横一列に並ぶEXILE

次世代へ継承していくEXILEの想いとメッセージ

EXILEの特徴のひとつに、メンバーの他グループとの兼務がある。そこにあるのは、EXILEの信念や理念を後輩アーティストに継承させるというHIROの狙いだ。NAOTOと小林直己は三代目 J SOUL BROTHERSで、世界と佐藤大樹はFANTASTICSで、それぞれWリーダーを務めている。

「新しいグループを若手だけで始めるのは非常に困難です。EXILEで培った想いを継承しながら新たなメンバーを育てて、ともに成長してほしい。そんな願いを込めて、各グループのリーダーを任せました」

LDHが運営するダンススクールEXPGから、EXILEの想いの継承は始まっている。EXPGで学び、オーディションを受けて、LDHの所属となったアーティストがすでに133人もいるという。そのなかのひとり、19歳でEXILEのメンバーに選ばれた佐藤大樹は、EXILEのDNAを高い純度で受け継いでいる。

「大樹も世界も若いですが、冷静に自分自身とEXILE、EXILE TRIBEを見つめ、それぞれどう輝かせることができるのかを理解していると思います。自分の夢を掲げ、自分の身の回りにある環境に応じてブレずに行動できるのは、EXILE全員に共通する強みだと思います」

現在、EXILE TRIBEには12のグループが存在し、4つの世代に分けられている。

「第3世代であるJr.EXILE世代のTHE RAMPAGE以降のグループは、ほとんどのメンバーがEXPG出身であり、この世代でEXILE TRIBEの仕組みが確立されたように思います。一方で、第4世代となるNEO EXILEは、幼少期からEXPGでLDHのエンタテインメントを学び、EXILEの想いを継承しながら夢をかなえたメンバーが多い。EXILE TRIBEの仕組みのなかで夢をかなえた世代だといえます」

EXILE TRIBEの仕組み

2025年の上半期に開催されたWHAT IS EXILEツアーでは、後輩たちが「スターティングメンバー」として日替わりで出演した。EXILEに憧れてアーティストになった彼らが、EXILEの一員としてステージに立つことは、このうえなく名誉なこと。何より、幼い頃から彼らの夢を応援してきた親族の方々の歓喜の表情が、EXILEが特別な場所であることを証明していた。年末に開催されるドームツアー「THE REASON」でも、若い世代からのスターティングメンバーが発表されている。

EXILEと同じステージに立つだけでなく、彼らの曲をカバーすることも、歌い継ぐという意味での継承である。

「基本的には、パフォーマンスしたい楽曲があれば自由に挑戦すればいいと思っています。実際に各アーティストがEXILEの楽曲をカバーしていますし、世代を問わず多くのファンの皆さんにライヴを楽しんでいただけています。ただし、オリジナルの真似で終わるのではなく、そのアーティストならではのオリジナリティは絶対に表現してほしいですね。自分たちの作品としてきちんと昇華することを大事にしてほしい。THE RAMPAGEの“24karats”は、かなりハードルの高い挑戦でしたが(笑)、歌もパフォーマンスもとても素晴らしかったと思います」

アーティストのデュアルキャリアと「Circle of Dreams」が描く未来

2023年、LDHはHIROが代表取締役社長に復帰するにあたり、「Circle of Dreams」という新たなパーパスを掲げた。

「これまでの『Dreams For Children・子どもたちに、夢を。』からさらに一歩踏みだし、エンタテインメント企業としてより世の中にわかりやすく提示するために、このパーパスを掲げました。子供たちの夢と、世代関係なく、所属の皆さんの夢と、社員の皆さんの夢をすべてつなげ、循環させていく。そしてその輪を大きく広げ、社是である『Love, Dream, Happiness』をひとりでも多くの人と分かち合う未来を目指します」

EXPGを軸に、EXILEやEXILE TRIBEに憧れた子供たちの、夢を応援する仕組みはできた。HIROが次に向き合った仕組みづくりは、夢を実現したアーティストたちのさらなる夢へと続く、セカンドキャリアの開拓と支援だ。

「スポーツ選手と同じで、パフォーマーには現役での活動に限界があります。彼らが、引退してからセカンドキャリアに向き合うのではなく、現役の時から未来への準備ができるように、所属のデュアルキャリア支援に取り組んでいます」

「Circle of Dreams」
たくさんの輪が複雑に絡み合い、つながり、拡大を続ける「Circle of Dreams」。その循環を図式化した。さまざまな場所・形で”夢”を届け、それを受け取った子供たちはEXPGを入り口に、憧れのEXILEのような存在を目指し走りだす──。

所属アーティストひとりひとりが、世の中に影響力のあるうちから新たな夢に向かってさまざまな発想でプロジェクトを進めていく。先輩たちにとっては、新たな夢に向かっていくことでモチベーションが高まっていく。それが後輩たちに、いくつもの選択肢を提示することになる。そして、先輩たちがロールモデルとなることで、将来に対する漠然とした不安が解消され、今やるべき目の前の活動に集中できるというプラスの効果が生まれている。

「自分も経験しましたが、年齢や経験を重ねていくたびに『カッコいい』の定義が変わっていきますからね。LDHの所属にはいつまでも、自分が『カッコいい』と思う理想の生き方を追い続けてほしいと思っています。アーティスト本人の意志の強さや行動、説得力によって、セカンドキャリアがどう花開いていくのかは変わってくると思いますし、困難もたくさんあると思います。会社としてそれぞれの性格やキャラクター、夢に合わせてサポートする体制を整え、所属の子たちが将来も安心してやっていけるような仕組みをつくり、社員たちと切磋琢磨しながら仕事の環境を整えていくこと。これが自分の役割だと思っています」

そう語るHIROのもとで、現在はEXILEメンバーが先陣を切り、それぞれの形でCircle of Dreamsを体現している。アーティスト活動はもちろん、後輩の育成、EXILEという資産を使っての社会貢献や教育、地方創生などで、自己を表現し、LDHに還元している。24年をかけて、EXILEはEXILE TRIBEとして、いまだかつてない存在として進化し続けている。

「EXILEをひと言で表現するなら、『みんなの夢をかなえる場所』です。EXILEは固定メンバーによるグループではなく、プロジェクト集団。メンバーはもちろん、EXILE TRIBEの全員がそれぞれの“EXILE PRIDE”を持っているから、このスケールになれたのだと思います」

EXILE HIRO
EXILE HIRO
神奈川県生まれ。1990年にZOOのメンバーとしてデビュー。1999年にJ Soul Brothersを結成、2001年にEXILEに改名。パフォーマー兼リーダーとしてEXILEを国民的グループに押し上げる。2013年にパフォーマーを勇退。2023年10月、LDH JAPAN代表取締役会長兼社長CEOに復帰。
EXILE
EXILE
2001年、シングル「Your eyes only 〜曖昧なぼくの輪郭(カタチ)〜」でメジャーデビュー。「Choo Choo TRAIN」や「Rising Sun」などが大ヒットし、国民的アーティストとなる。2025年11月より約3年ぶりとなるドームツアー「EXILE LIVE TOUR 2025 ”THE REASON”」(福岡、大阪、名古屋で全5公演)を開催予定。

Release Information

「Get-go!」 2025.9.27 on sale
デビュー記念日にリリースする通算52枚目シングルは、再会への喜びや感謝、未来への希望が込められた、爽快&キャッチーな楽曲。映像DISCには、ATSUSHI 893日ぶりのEXILEライヴステージ復活となった『EXILE LIVE TOUR 2025”WHAT IS EXILE”』 FINALの歴史的ライヴ映像を収録。

「Get-go!」CD

CD only ¥1,650(税込)

「Get-go!」DVD付

CD+DVDCD+Blu-ray ¥4,950(税込)

「Get-go!」GOODS付

CD+DVD+GOODS/CD+Blu-ray+GOODS ¥8,250(税込)

TEXT=須永貴子

PHOTOGRAPH=伊藤彰紀(aosora)

STYLING=Tsuyoshi Noguchi STYLING ASSIST=Teruo Fujiki

HAIR&MAKE-UP=Chie(H.M.C)、Shinya Shimokawa(BERYL)、Toshiyasu Oki(CONTINUE)、Maho Morimura(CONTINUE)、Daisuke Takagi(S)  HAIR=Go Utsugi(Parks)  MAKE-UP=Yuki Komori

COOPERATION=キンプトン新宿東京

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2025年11月号

スタイルのあるジャケット

2025年11月号ゲーテ表紙

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2025年11月号

スタイルのあるジャケット

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ11月号』が2025年9月25日に発売となる。今回の特集は、自分らしさを表現できる“スタイルのあるジャケット”。表紙にはメンバー11人が集結したEXILEが登場。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

GOETHE LOUNGE ゲーテラウンジ

忙しい日々の中で、心を満たす特別な体験を。GOETHE LOUNGEは、上質な時間を求めるあなたのための登録無料の会員制サービス。限定イベント、優待特典、そして選りすぐりの情報を通じて、GOETHEだからこそできる特別なひとときをお届けします。

詳しくみる