現在のフェラーリは、F1直系のテクノロジーを搭載するレーシーなモデルとともに、優雅なライフスタイルを謳歌するためのラグジュアリーなラインが存在する。2025年夏、後者に属する「アマルフィ」がデビューした。イタリアの高級リゾート地の名を冠した美しいクーペが、まもなく日本でも走りだす。

フェラーリ沼の深みにハマる
2025年夏にローンチされたフェラーリ「アマルフィ」の車名は、世界遺産にも登録されたナポリ南部のリゾートに由来する。「カリフォルニア」、「ポルトフィーノ」、「ローマ」に続く“ご当地シリーズ”で、美しい海岸線を望む土地でのラ・ノーヴァ・ドルチェ・ヴィータ(新・甘い生活)を想起させる。
同じフェラーリでも、排気量2.9ℓのV型6気筒エンジンを積む「296GTB」がパフォーマンス優先の武闘派であるのに対して、「アマルフィ」はライフスタイル志向だ。子供が小さければ家族で旅行に行けるプラス2のシート、パッセンジャーもドライビングの楽しさを共有できる助手席側の液晶パネルなど、“みんなのフェラーリ”なのだ。
同社の2024年の決算を見ると、売上高も営業利益も過去最高。好調の理由のひとつとして、これまでフェラーリという名前に尻込みをしていた層を取りこんだことが挙げられるだろう。このクルマのような誰もが楽しめるモデルがフェラーリを所有する間口を広げたのだ。
「アマルフィ」の先代モデルにあたる「ローマ」は、市街地や高速道路を走行しているかぎり、快適でエレガントなクーペだ。ドイツ車や日本車から乗り換えても、違和感なくイタリアン・ラグジュアリーの華やかな世界観を堪能できた。ただしさすがはフェラーリというべきか、ひとたび鞭を入れれば、そのパフォーマンスには心が震える。コクピットはV8エンジンの官能的な音で満たされ、ドライバーは恍惚とする。丁寧に調整された足まわりは正確なハンドリングをもたらし、まるでF1ドライバーになったかのような錯覚を覚える。だから、フェラーリ沼の深みにハマるのだ。
フェラーリは「アマルフィ」の走行フィーリングについて、「『ローマ』とはまったく異なる」と公言。よりラグジュアリーになっているのか、さらにエキサイティングに尖っているのか、あるいはその両方なのか。今から試乗の時が待たれる。
FERRARI AMALFI

エンジン:V型8気筒ツインターボ
ボディサイズ:全長4660×全幅1974×全高1301mm
最高出力:640cv/7500rpm
最大トルク:760Nm/3000~5750rpm
乾燥重量:1470kg
価格:¥34,180,000~
問い合わせ
フェラーリ・ジャパン https://www.ferrari.com/ja-JP