イーガンズが再び光を当てたウイスキーボンディング。科学と芸術の融合ともいえるアイルランド伝統の手法によって、今、アイリッシュウイスキーは新たな地平へと到達する。

科学と芸術の口福な融合
普段からよくウイスキーを飲むという人であっても、「ボンダー」という言葉にピンとくる人は少ないかもしれない。ボンダーとはかつてスコットランドを凌駕するウイスキー大国であったアイルランドで生まれた、独自のウイスキービジネスの業態だ。
国内で数百の蒸留所が稼働していた当時のアイルランドでは、蒸留所から購入したウイスキーのニューメイク(熟成前のスピリッツ)を自前の樽で熟成させ、ブレンドからボトリング、販売までを行うボンダーが業界の一翼を担っていた。
伝統のブランドが切り拓くアイリッシュの新境地
「19世紀頃までのアイルランドではウイスキーの蒸留業者は蒸留のみを行い、その後のすべての工程をボンダーが担っていました。つまりウイスキーの味わいや品質は、ボンダーの力によって決まっていたのです」
そう話すルパート・イーガンは、現代のアイルランドを代表するウイスキーボンダーで、イーガンズの6代目マスターボンダー。高祖父にあたるヘンリー・イーガンとその兄のパトリックが1852年に創業したブランドを2013年に再興させ、“ボンダー”という芸術的な手法に再び光を当てた立役者だ。
「私たちのブランドには170年以上の歴史があり、アイルランド中の蒸留所はもちろん、シェリーやワインの生産者をはじめ、世界中の酒類メーカーとのコネクションを持っています」

イーガンズでは、ルパートがそう話す広範なネットワークで最高品質のスピリッツと樽を入手し、理想的な期間と配合で熟成とブレンドを行う。
「原酒や樽の特性、熟成、ブレンドといったウイスキー造りのすべてを熟知し、緻密な計算で工程を重ねながら理想の味わいを生みだすウイスキーボンディングは、まさに科学と芸術の融合というべきものです」
ハイボールに合うようにと開発された「ボンダーズブレンド」や、8年以上熟成のシングルグレーンウイスキーである「ヴィンテージグレーン」、さらに新樽やバーボン樽、インペリアル・スタウト樽、オロロソシェリー樽など4種の樽で熟成させた3回蒸留のモルトウイスキーを使った「エンデヴァー」など、ルパートが手がけるイーガンズのウイスキーは、世界的な品評会で数々の賞を受賞。愛好家たちからも高い評価を受けている。
そうしたイーガンズのラインナップのなかでも、「私の日本の友人たちに最も好まれている製品のひとつ」とルパートが話すのが、熟成10年以上のシングルモルト原酒とシングルグレーン原酒をブレンドした「コンヴィクション」。XOコニャック樽でのフィニッシュで仕上げられた、豊かで重層的な香りや味わいを持つプレミアムなアイリッシュ・ブレンデッドウイスキーだ。

コンヴィクション(信念)の名のとおり、イーガンズ家のウイスキー造りに賭ける想いが込められた新時代のアイリッシュ。花々や穀物、ドライアプリコットやナッツ、ジンジャー、ハチミツなどが重なり合う、ディープで複雑な香味が楽しめる。[700ml]¥11,990
国内外のウイスキーファンが集うTOKYO Whisky Library。「当店でも最近はアイリッシュウイスキーが人気で、なかでもイーガンズは注目のブランドです」と話すバーテンダーの長谷川稜氏は、「コンヴィクション」やイーガンズについて、こう語る。
「香りや味わいがリッチで、コニャック樽に由来する香味がしっかりと感じられる1本。さまざまな樽を使いながら、その樽の個性が上手く表現されるイーガンズは、まさに新時代のアイリッシュウイスキーです」
ブランドが培ってきた経験と、まだ見ぬ香味への尽きることない探究心。イーガンズが切り拓くアイリッシュウイスキーの新境地を、体験してもらいたい。

1300種類を超える世界のウイスキーと、旬の食材を使用した料理を提供する表参道にあるバーラウンジ。さまざまなシーンで楽しめる。
住所:東京都港区南青山5-5-24 南青山サンタキアラ教会2F
TEL:050-5385-3384
定休日:無休
世界限定70本! 希少な32年熟成もの
アイリッシュウイスキーが低迷期にあった1990年代に蒸留された、「イーガンズ 32年 シングルモルト」。その香りや味わいはまさに至極。アイルランド伝統の寄木細工のパッケージは、気鋭のアーティスト、キアラン・マクギル氏が手がける。[700ml]¥605,000

問い合わせ
国分グループ本社 www.kokubu.co.jp

