CAR

2025.05.22

フェラーリ初の4ドア、プロサングエはSUVではなくスポーツカー!?【試乗】

フェラーリ史上初の4ドア4シーターカー「プロサングエ(Purosangue)」。イタリア語で「サラブレッド」を意味するモデルだ。フェラーリ自身はこれをSUVではなく、跳ね馬のDNAを継承するスポーツカーであると謳う。4ドアでもフェラーリらしさは失われていないのか、試乗して確かめてみた。

フェラーリ史上初の4ドア4シーター

ポルシェカイエンを皮切りに、ランボルギーニ・ウルスやアストンマーティンDBXなど、スーパーカーメーカーがSUVをつくるというビジネスモデルは世界的な成功を収め、いまではそれが各社の売上の柱となっている。

そうした中で最後までSUVはつくらないと公言していたのがフェラーリだった。しかし、ステークホルダーをはじめ実用性の高いフェラーリを望む声は少なからずあるわけで、それを無視するわけにもいかない。満を持して2022年9月にワールドプレミアされたのがこのプロサングエだ。

フロントマスクは細い目のようにも見えるデイタイム・ランニング・ランプが特徴的。ヘッドランプはその下にあるロアグリルの中に隠されている。スタイリングはいまどきで言えばクロスオーバーSUVとも思えるもの。実際のところボディサイズは全長4973mm×全幅2028mm×全高1589mmと、全高はSUVというにはかなり低くなっている。

前後のオーバーハングを切り詰めたサイドビュー。ホイールベースは3018mmと3m超ゆえ広い室内空間を確保する。

新設計のシャシーにカーボンファイバー製のルーフを組み合わせて、後部ドアをリアヒンジに、いわゆる観音開き式のドアになっている。後席へのアクセスがしやすくなるよう他社とは異なる工夫だ。

またプロサングエにはフェラーリがSUVとは呼ばせない機構が採用されている。それがトランスアクスルレイアウト。これは一般的にはひとつにまとめてフロントに搭載するエンジンとギアボックスを、フロントにエンジン、リアにギアボックスと前後に切りわけて配置するものだ。

メリットは前後重量配分のよさで、フロントにエンジンを搭載するタイプのスポーツカーとして理想的な49:51を実現している。

破顔一笑の6.5リッター自然吸気V12エンジン

インテリアは左右対称にみえるデュアル・コックピットデザインが特徴。運転席のメーターはフルデジタル式で、センターには画面はなく、助手席側に10.2インチのディスプレイが用意される。フロントシートは凝った造形で適度なホールド感と快適性をあわせもつ。

後席も左右独立式の2座タイプでフロントとほぼ同じデザインのシートが収まっている。リクライニング機構やシートヒーター/ベンチレーション機能なども備わっており大人4人が快適にすごせる空間が確保されている。

そして、プロサングエをフェラーリたらしめているのが、6.5リッターV12エンジン。最高出力725PS、最大トルク716Nm、0-100km/h加速3.3 秒、最高速度310km/hという圧倒的な性能を発揮する。いまどきターボやハイブリッドではなく、自然吸気である。フェラーリとて騒音&排ガス規制と無関係ではいられないが、それをクリアしながら7500回転オーバーまで軽々と吹け上がるエンジンには破顔一笑してしまう。

フェラーリ・プロサングエのラゲッジ
ラゲッジ容量は“フェラーリ史上最大”という473リッター。後席シートバックは可倒式のためゴルフバッグなどより大きな荷物の積載も可能。

SUVじゃなくて、4ドアスポーツカーに納得の出来

さらにこのSUVライクなモデルをスポーツカーたらしめているのが、世界初のフェラーリアクティブ・サスペンション・テクノロジー(FAST)。油圧式のダンパーに電気モーターを組み合わせ、従来のシステムよりもより精度高くダンパーの伸び縮みを制御し、路面や走行状況に応じて車両姿勢や路面とタイヤとの接地を最適化するものだ。

これら最新技術の恩恵あらかたで、実に軽々と背の高さなど微塵も感じさせないほど軽快に走る。といっても制御に不自然さのようなものはなく、前もっていわれなければこのような特別な機構が備わっていることなど気づかないだろう。ステアリングやアクセル、ブレーキの操作に対していたってナチュラルに反応する。まさに人馬一体感をもってドライブすることができる。

一般道や高速道路、それからワインディングと試して感じたのはあらゆるシーンで万能なフェラーリであるということ。あらためてプロサングエはSUVではなく、4ドアスポーツカーなのだというフェラーリの主張に溜飲を下げた。

V12エンジン+トランスアクスル機構+フェラーリアクティブ・サスペンション・テクノロジーによって、まごうことなきフェラーリの4ドアGTに仕上がっている。

TEXT=藤野太一

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