英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第329回。

スキーで止まる時は“Make a pizza”
先日、日本語ペラペラのアメリカ人と話していたら、スキーの話になりました。
私はスキーが下手すぎて止まることができず、非常に怖い思いをしたことがあり「もう2度とやりたくない」とすら思っています。
「ハの字ができなくて止まれないから、とりあえず転んで止まった。でも転んだら転んだで、足と板がもつれて立ち上がれなかった」
と、自分の話をしてハっとしました。その方があまりに日本語ペラペラすぎて忘れていましたが「ハの字ができない」は、さすがに外国人の方には伝わりにくいはずです。
案の定「ハノジ……?」と不思議そうでした。
「スキーで止まる時に、スキー板をカタカナの『ハ』の形にすることだよ」
と説明したら、その方はこう言ったのです。
「ああ、英語だとpizzaのことですね」
今度は私が「ピザ……?」となりました。
よく聞いてみると、スキーで止まりたい時に、アメリカではスライスしたピザのような三角形を作れ、という意味で“pizza”と言うそうです。
Make a pizza to slow down!
(スピード落とすなら、ピザをつくって!)
さらに以下のように動詞としても使えるということ。
I can’t pizza yet. Can you show me again?
(まだピザできないの。もう一回見せてくれる?)
「ハの字にして」は日本語では子どもにも大人にも使う表現ですが、英語の“Make a pizza”は基本的に子ども向けのフレーズなのだとか。ちなみに調べてみると、イギリスではこの意味での “pizza” は一般的ではなさそうです。ではピザの本場・イタリアはどうなのかと chatGPT に聞いてみたら、「言わない」とのこと。
確かにアメリカの人ってなんだか巨大なスライスピザにかぶりついているというイメージがあるので、アメリカならではの言い方なんだなと納得しました。
たぶんないでしょうけど、アメリカでスキーすることがあったら、“I can’t pizza!”と言うことになるので、一応覚えておこうと思いました。

