35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第206回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
「時間がありますか?」と言われたと思ったら……
以前、イギリスの道端で知らない男性にこう聞かれたことがありました。
Excuse me, Do you have the time?
直訳すれば「時間があるか」ということです。
知らない人がなぜ道端でこんなことを聞いてくるのでしょうか。
なにか怪しげなサークルの勧誘、あるいはナンパでしょうか。
よく見たらその人はなかなかのイケメンでした。うっかり「時間あります」と言いたくなってしまいましたが、幼少期より「知らない人について行ってはダメ」と教えられてきましたから、30代半ばでもその教えをしっかり守って「すみません、時間、ないんです」といってその場を立ち去りました。
その瞬間、男性はキョトンとした顔をして、去っていく私を見ていました。
私にフラれたのが、よほど悲しかったのでしょうか。
全然違いました。
Do you have the time? = 今何時ですか?
という意味でした。
私が勘違いした「時間ありますか?」という意味のフレーズはDo you have time?で、その差は、わずか“the”ひとつです。うっかり聞き逃してしまいそうなtheだけで意味が全然違いました。
Theの使い方には注意が必要!
ちなみにDo you have time?の方は、日本語と同じで上司に相談事などをする時「すみません、ちょっと今お時間よろしいでしょうか?」と聞く、あの感じで使えるそうです。
私も含めて日本人の英語中級者になぜか多いのが、スピーキング時にあらゆる単語にtheが入ってしまう、という症状です。なんでだかわかりません。単語が口から出てくるまで時間がかかるので、時間かせぎ的にtheと言っているのかもしれません。とにかくその症状が出ている人は、うっかりtheをつけて、意図していない意味になってしまうことがあるということがその時わかりました。
その日、私は大きめの腕時計をしていたので、誰がどう見ても「今何時かが、すぐわかる人」でした。
そんな人に時間を聞いて断られたら、それは確かにキョトンとしてしまうかもしれません。申し訳ないことをしました。
とはいえ、「今何時?」と聞いて、スマホをポケットから取り出させ、それを奪う、という強盗も結構いると聞きます。突然知らない人に声をかけられたら、やっぱり注意は必要です。私も、以前ロンドンで、バイクに乗った人に突然「Googleマップ見せて」と言われたことがありました。
おそらくそれはスマホを出した瞬間に奪われてバイクでそのまま逃げられるやつだったと思います。用心していた私は「今、ロンドンについたばかり、英語わからない」と片言の英語で言ったため、すぐにその人は去っていきました。実際はその時点で在英1年以上経過しており「今、ついたばかり」はウソでしたが「英語がよくわからない」のは本当のことなので、自分で言っておいて少し悲しくなりました。
とにかく、突然声をかけてくる知らない人と、theには気をつけたいです。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。