連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第103回はユニバーサル・ジュネーブ「コンパックスRef.885103/01」を取り上げる。

ヴィンテージの傑作クロノグラフ
世界遺産の街として知られるスイス・ヌーシャテル州ル・ロックルにて1894年に創業したユニバーサル。1898年には30分積算計を備えたクロノグラフを発表し、複雑時計が得意なメーカーとして認知されていくことになる。
1934年に社名をユニバーサル・ジュネーブに改め、1934年には現在もヴィンテージウォッチ市場において高値で取引されている「コンパックス」「アエロコンパックス」「トリコンパックス」の一連のコレクションを発表。
今回紹介する「コンパックス」は、1935年に登場し、バリエーションも豊富で手巻きから自動巻き、ステンレススチール、金無垢、3レジスター、2レジスターなど、時代とともに変化しながら愛され続けている。
1935年頃、ユニバーサル・ジュネーブは複雑機構を積極的に開発しており、コンパックスはその中心に置かれたシリーズ。当時としては非常に先進的だった“3つ目”のクロノグラフ配置を確立し、市場に確かなインパクトを刻んだ。そのまるで計測器が腕に宿ったようなデザインは、パイロットや技術者の支持を得た。
「コンパックス」は単なる1モデルではなく、機能の異なるファミリーが存在する。「コンパックス」は最も基本形で3レジスターであることが特徴。こちらの個体は1960年代製造で、ムーブメントは、ロレックスの「コスモグラフ デイトナ」と同じくバルジュー社の名機Cal.72が搭載されている。また、文字盤やベゼルの作りも非常に良く、スクリューバックの裏蓋、ゲイフレアー社のブレスなど見どころ満載のコレクターズアイテムでも海外では高い評価を得ている1本でもある。
近年、復刻される噂もあり、そちらにも期待したい。
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