今回はクローグリップでの素振りで、シャフトを立てる感覚を身につける練習法を紹介する。

右手の使い過ぎを抑えるクローグリップ
最近、プロの間でクローグリップでパッティングを行う人が増えているが、アマチュアゴルファーのなかにも「クローグリップを試してみた」という人は多いのではないだろうか。
クローグリップにすることで、右手の使い過ぎを抑えながら、フォロースルーが自然と出やすくなり、ストロークもスムーズになる傾向がある。
右手の使い過ぎはパッティングに限らず、他のショットでも避けたほうがいい動きだ。そこで、クローグリップを他のショットの練習にも取り入れることをおすすめしたい。
とはいえ、クローグリップでいきなりフルスイングをするのは難易度が高い。そのため、まずは素振りやハーフスイングから取り入れてみるといいだろう。
クローグリップではないが、2024年10月に日本で開催されたPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」で優勝したコロンビアのニコ・エチャバリアが、それに近い練習をしているのを米国のPGAツアー会場で見たことがある。
エチャバリアは右手のひらを開いたままハーフスイングでボールを打ち、コーチとともに腰の回転を確認しながら、その動作を繰り返していた。
この練習では、右手のひらをフェース面に見立てることで、フェースを返さず、体の回転だけでフェードボールを打つ感覚を身につけることができる。
いわゆる「ビジネスゾーン」と呼ばれるエリアで、クラブと体の動きを確認しながら右手の使い過ぎを抑えることができるため、フェードヒッターのスイング矯正に効果的な練習だ。
シャフトを立ててクラブを軽く使う
今回紹介するのは、エチャバリアの練習にヒントを得て、右手のひらを広げる代わりに「クローグリップ」で行う練習ドリル。
クローグリップとは、右手の親指・人差し指・中指の3本でクラブをつまむように握る方法で、3本の指を上からあてがう人もいれば、下から支えるようにする人もいて、スタイルには個人差がある。
このグリップでクラブを持つと、右前腕が自然に内旋しやすくなり、バックスイングでシャフトを立てやすい。その結果、クラブが軽く感じられるポジションでスイングできるようになり、フェース面やスイング軌道の動きが安定しやすくなる。
また、体と腕のシンクロが高まり、スイング全体の再現性も向上する。さらに、クローグリップではクラブを重く使うポジションでは支えきれないため、無理な動きのチェックにもつながる。結果として、理想的なポジションへの矯正にも効果的だ。
クローグリップにすることで右前腕が内旋しやすくなり、バックスイングではシャフトを立てやすく、フォロースルーでもスムーズにリリースしやすくなる。逆に、右前腕が外旋してシャフトが寝ると、クラブが重く感じられ、クローグリップでは支えきれなくなる。
一度、あえてシャフトを寝かせてクラブを上げてみると、シャフトを立てたほうがいかにクラブを軽く感じられるかが実感できるはずだ。
バックスイングで左腕が地面と平行になった位置で一度止め、シャフトが「ストン」と自然に下に落ちるかを確認することで、体の動きに沿ってシャフトを立てて上げられているかをチェックできる。この動作により体とクラブのポジションが整い、体と腕がシンクロするため、右手を過度に使わずともフォロースルーまでしっかり振り抜けるようになる。
この練習で注意してほしいのは、手首を使って意図的にコッキングしようとしないことだ。クラブはあくまでも体の回転によってコントロールするのが理想的だ。
それでも、クラブの位置や手の動きを意識したい場合は、グリップエンドに注目してみよう。バックスイングでグリップエンドが下を向き、フォロースルーでも下を向いていれば、クラブは適切なポジションに収まりやすい。
この練習は特に、バックスイングでクラブをインサイドに引く癖がある人や、手元が目標方向に出てしまい、クラブをリリースできずにプッシュアウトしてしまう人に効果的だ。
クラブを立てて軽く使う感覚や、適切なリリースのタイミングを身につけることができるだろう。
ぜひ、このクローグリップの練習に取り組み、右手の使い過ぎを抑えつつ、適切なクラブポジションを体得してほしい。
クローグリップでシャフトを立てる感覚を身につける動画解説はコチラ
◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。