40代、50代になってもスポーツを楽しみたい。だが、仕事に悪影響を及ぼさないためにも、ケガの予防には十分に努めたい。メジャーリーガーやアーティスト、経営者を指導する人気トレーナー吉田輝幸に、ケガの再発防止のためのトレーニング法を聞いた。前編は「ヒザの故障を予防する股関節強化のトレーニング」。【特集 魅せるカラダ2025】

ヒザのケガ再発を防ぐ、3つの簡単トレーニング
加齢とともに思わぬケガが増えてくる。若い頃はできたはずと軽い気持ちで挑んだ結果、深刻なケガを招いてしまったという話もよく耳にする。
「スポーツにケガのリスクは付き物。そのリスクが加齢とともに大きくなっていきます。しかも再発する確率が高い。患部を手術や治療、リハビリを行い、復帰した後も十分ケアが必要。再発を防ぐためには、“神経と筋肉を連動させながらの動作パターン”を再教育していく必要があります」
中高年齢層が痛めやすいのがヒザ。半月板損傷や前十字靭帯断裂といったケガを負ってしまった場合、どのような再発防止策が望ましいのだろうか。
「ヒザのケガを防ぐために、ヒザ周りの筋肉を鍛えようとする人が多い。でも、それだけではNGなんです。ヒザへの負担を軽減するには、股関節をきちんと使うことが重要。たとえば、全力で走っている状態から急に止まろうとする。股関節をうまく使えない人は、ヒザの力だけに頼ってブレーキをかけようとするため、ヒザに負荷が集中し、ケガをしてしまいます。一方、股関節を使えるアスリートは“腰を入れた状態”で止まることができ、負荷をヒザと腰に分散することが可能。ケガをするリスクを抑えられます」
ゴルフの場合も同様。疲れてくると股関節に体重が乗らない状態になり、前足のヒザが曲がって出てきてしまう。これがヒザを痛める原因のひとつだ。そこで吉田輝幸トレーナーに、ヒザのケガの予防と再発防止のためのトレーニング法を考案してもらった。
1、かかと荷重スクワット
「スクワットには様々なスタイルがありますが、これは踵寄りに体重をかけて股関節との連動を促すことを目的にしたもの。お尻を極端に後ろに突き出すことで、全身のバランスをとるために股関節がしっかりと働きます」
2、ワイパー運動
「股関節の機能性を高めるための運動です。四つ這いになり、ヒザから下の部分を左右に振ります。その動作と連動し、股関節が内側と外側にひねるような動きを交互に行います」
3、段差昇降
「踏み台昇降運動をベースにしたトレーニング。階段などがなくても、ちょっとしたスペースでできるようにアレンジしました。お尻を引き締め、骨盤をキュッと立てるイメージでチャレンジしてください」

パフォーマンスコーチ/PCP代表。トレーナー歴30年。トップアスリートやアーティスト、経営者を指導する中で、短期間で最大の成果を引き出す独自メソッド「コアパフォーマンス®」を開発。運動・栄養・睡眠を統合的にサポートするトレーニングジム《PCP》を東京で展開し、健康経営支援や企業研修、育成プログラムなどを通じて“本質的な身体づくり”を広めている。