メジャーリーガーやアーティスト、経営者を指導するトレーナー吉田輝幸が、ケガの再発防止のためのトレーニング法を指南。前編の「ヒザ」に続き、後編では「もも裏の肉離れ」を予防する方法を紹介する。【特集 魅せるカラダ2025】

ハムストリングスの故障再発予防のための、5分簡単トレーニング
スポーツやトレーニング中のケガでクセになりがちな、肉離れ。その対応策とは。
「肉離れはダッシュ中に急なストップをかけた時やジャンプの着地のタイミングなど、筋肉が収縮した後に、逆方向に強く引き伸ばされる力が加わった時に起こります。大きな原因は筋肉疲労の蓄積、加齢、ウォーミングアップ不足など。特に中高年齢層のアスリートからは“ハムストリングスを攣りやすい”という声を聞きます」
ハムストリングスとは太ももの裏側に位置する筋肉の総称。半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋で構成され、ヒザを屈伸する時や股関節を後ろに反らすような動作時に働く。
「ハムストリングスを故障する原因は、ハムストリングス自体ではなく、骨盤に起因することが多い。骨盤がニュートラルで柔らかい状態にあると、太ももの衝撃を受け止めてくれます。でも、骨盤が固まったような状態ではハムストリングスだけに負荷がかかる。ハムが耐え切れなくなって切れてしまうようなケガが起こるのです」
ハムストリングスのケガを防ぐには、まずは骨盤の位置を正しくするトレーニングが重要。太ももと骨盤を連動して鍛えるトレーニングを吉田輝幸トレーナーに教えてもらった。
1、骨盤のポジショニングリセット(ヒップロール+呼吸)
「まずは骨盤とハムストリングスの役割を感じながら、骨盤のポジションを正しくするためにヒップロールを行います。体を直立させた状態で、骨盤を前傾、後傾と動かしていきます。同時に深い呼吸を意識してください。骨盤を傾ける時に大きく息を吐き出し、骨盤を立たせる時には大きく息を吸い込みます」
2、ヒップロックドリル
「ヒップロックドリルは、ハムストリングスが“過剰に頑張る”状態を防ぐために行うトレーニング。メジャーリーガーの大谷翔平選手は、塁に出た時にベースの上で似たような動きを行い、骨盤の位置を整えています。肋骨と骨盤を正対させたまま、“体幹で足を支える感覚”を養います」
3、シングルレッグデッドドリル(動的ハムトレ)
「ジャンプからの着地や方向転換時に“ハムで耐える力”を再構築するためのトレーニング。背中、お尻、ハムストリングスの連動を意識することが重要です。一度肉離れを起こすと、ハムストリングスは“守り”に入って硬くなる傾向があります。肉離れになりやすい人は、毎日の運動に取り入れてください」

パフォーマンスコーチ/PCP代表。トレーナー歴30年。トップアスリートやアーティスト、経営者を指導する中で、短期間で最大の成果を引き出す独自メソッド「コアパフォーマンス®」を開発。運動・栄養・睡眠を統合的にサポートするトレーニングジム《PCP》を東京で展開し、健康経営支援や企業研修、育成プログラムなどを通じて“本質的な身体づくり”を広めている。