HEALTH

2025.07.05

腹まわり-5㎝するには、腹筋よりも“自律神経”が大事!

仕事や会食に追われ、トレーニングの時間が捻出できない。そう嘆くビジネスパーソンもいるだろう。だが、諦めることはない。正しい身体の使い方、正しい動きによって最高のパフォーマンスを引き出し最短で最大の効果を生み出す「コアパフォーマンス®︎」を考案し、メジャーリーガーやアーティスト、著名な経営者を指導するトレーナー吉田輝幸は、「食事と睡眠の質を高めるだけで、体は自然に引き締まっていく」と話す。前編では「痩せやすい体をつくる睡眠と食事」をテーマに話を聞いた。

トレーナー吉田輝幸

痩せやすい体づくりのスイッチとは

ジムに通って筋トレに励み、食事も摂取カロリーを計算しながら摂生に努めている。だが、それでも痩せないという人も多いのではないか。トレーナーの吉田輝幸は、「腹筋トレーニングよりも先にやるべきことがある」と話す。

「僕が運営するパーソナルトレーニングジム PCP GYMには、運動をしても痩せないという悩みをもったビジネスパーソンが多く訪れます。とくに“腹まわり”。内臓の周りに分厚い脂肪が付いてしまい、その解消のために腹筋トレーニングに励むわけですが、実はそれでは根本的な解決にはなりません。というのも、痩せない体の最大の原因は自律神経の乱れなのです」

自律神経とは呼吸や体温、血圧、心拍、消化、代謝を調節する神経系のこと。人間の意思とは関係なく、自律的に機能するのが特徴だ。この自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類の神経があり、交感神経は身体を緊張させる方向に、副交感神経は身体をリラックスさせる方向に働く。正反対ともいえる役割を持ちながら、シーソーのように互いがバランスを取ることで体の機能を健全に保っている。

「このバランスが崩れ、交感神経が過剰に働き、副交感神経が機能しにくい状態になると、体に影響が出てきます。特に夜間に交感神経優位の状態が続くと、睡眠の質が著しく低下。副腎から分泌されるコルチゾール(ストレスホルモン)の量が増加してしまいます。コルチゾールは血糖を上げるホルモンで、インスリン感受性を低下させ、脂肪を内臓周囲に溜め込む作用がある。つまり、腹まわりが脂肪過多の状態になってしまうのです。しっかりと寝ないと痩せない。自律神経が整えば、体は自然と痩せやすい体質になっていくのです」

睡眠の質が低下すると、翌日への影響も大きい。食欲を増進させるホルモン「グレリン」と、食欲を抑制するホルモン「レプチン」のバランスが乱れ、過食や代謝低下を引き起こす。これも肥満につながってしまうのだ。

「ですから、腹筋トレーニングよりも先に自律神経の調律に取り組まなければなりません。その自律神経を整えるためには、睡眠と食生活を改善することが重要です」

食事と睡眠の質が整うと、カラダは勝手に引き締まっていく

では、具体的に何をどのように変えればいいのか。まずは食事について。基本的に3食を決まった時間にとる意識が大切だ。朝食は脳の覚醒と腸内環境活性により自律神経が整いやすい状態をつくるため、たんぱく質と発酵食品の摂取を心がけたい。

「米+納豆+卵+味噌汁、あるいは玄米+サバ缶+キムチなどの組み合わせが理想的。朝は食べないという人もいると思いますが、その場合でも牛乳やプロテインくらいはお腹に入れておきたいですね」

昼は好きなものを食べて構わない。自律神経のバランスが保たれた状態であれば、量を食べても肥満にはなりにくいという。

「ただし、カフェインの摂取は14時までにしたい。カフェインは交感神経を刺激し、眠気を覚ます働きがありますが、その効果は想像以上に長く残ります。14時以降はカフェイン入りのコーヒーやエナジードリンクなどを控えるようにしてください」

夜はカリウムが含まれる食材を積極的に採りたい。バナナ、アボカド、きのこ、ほうれん草などには電解質バランスを整え、交感神経を落ち着ける働きがある。とはいえ、夜は食事の量や時間のコントロールが難しい。会食や残業などにより、つい食べ過ぎてしまったり、食事が寝る時間の直前になってしまったりすることもある。

「会食では、料理を食べる順番に注意したい。最初に炭水化物を多く含む料理を食べて、終盤は炭水化物を控える。米やパスタは前半に食べ終え、肉料理で締めくくるという流れが望ましいですね。いずれにしても、睡眠中に胃と腸を頑張らせないために、就寝の3時間前には食事を終えたい。お腹が減って我慢できないという状態になったら、牛乳を少し飲むくらいで我慢しましょう」

食生活を改善すれば、自律神経のバランスが整い、睡眠の質もおのずと高まる。睡眠の質が高まれば、脂肪燃焼が変わる。

「深い睡眠を実現すると、成長ホルモン分泌が増え、脂肪分解をサポート。また、食事コントロールにより、血糖値が安定することで夜間の内臓脂肪の蓄積を防げます。だからこそ、トレーニングよりまずは夜の環境設計と色のコントロールが重要なんです。

あとは睡眠時間が不足しないように1日のタイムスケジュールをうまく配分・管理すること。僕が理想とする睡眠時間は6~7時間。何度も言いますが、痩せやすい体づくりには、自律神経を整えることが大事であり、自律神経を整えるに、食事と睡眠を見直すことが重要です」


吉田輝幸/Teruyuki Yoshida
パフォーマンコーチ/PCP代表。トレーナー歴30年。トップアスリートやアーティスト、経営者を指導する中で、短期間で最大の成果を引き出す独自メソッド「コアパフォーマンス®」を開発。運動・栄養・睡眠を統合的にサポートするレーニングジム《PCP》を東京で展開し、健康経営支援や企業研修、育成プログラムなどを通じて“本質的な身体づくり”を広めている

TEXT=川岸徹

PHOTOGRAPH=鈴木規仁

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