友人宅に急にお呼ばれした場合やちょっとしたプレゼント、自宅でのカジュアルなランチ会などの際に、近所のスーパーやデパートなどで5,000〜1万円で買える“ちょっといいワイン”を知っておくと大変便利なもの。おいしいのは絶対条件で、ちょっと蘊蓄も語れると最高ですよね。そんな「街中で買える、1万円以下の“お宝ワイン”」を、年間1000種類近いワインをテイスティングし、つねにおいしいワインを探し求めているワインブロガー・ヒマワイン氏がご紹介。

愛犬デコピンの元の名は「デコイ」
打者としてキャリアハイの55本塁打、投手としても復帰後即活躍して3年連続でメジャーリーグのMVPを獲得した大谷翔平選手。
そんな大谷翔平選手にちなんだワインをご存知でしょうか? それが「デコイ」です。
デコイとは、大谷選手の愛犬として知られるワンちゃん「デコピン」のもともとの名前。それと同じ名前のワインのボトルの形を模した犬用ぬいぐるみで遊ぶデコピンの写真を大谷選手が投稿したことが大きな話題となったのは、まだ記憶に新しいところです。
このワイン、「ニュースで見た!」という方は多いと思いますが、実際に手に取って飲んだよという方は意外と少ないのではないでしょうか。だとしたら実にもったいない。話題性のみならず、デコイはとてもおいしいワインなんです。
このワイン、全国に350を超える数の店舗を展開する日本最大級の酒販店チェーン「酒のやまや」で購入することが可能です。価格は時期によって変わる可能性がありますが、私はつい最近3500円前後で購入しました。
店頭に並んでいたのは、赤の「カベルネ・ソーヴィニヨン」と「メルロー」、そして白の「シャルドネ」の3種類。大谷選手の投稿を見る限りデコピンが遊んでいたボトルは「カベルネ・ソーヴィニヨン」のようですが、私のおすすめは「メルロー」。
デコイはもともと「ダックホーン」という別のブランドのセカンドワイン的存在として生まれたのですが、ダックホーンは“ナパ・メルロー”の良さを世に知らしめたブランド。現在は独立したブランドとなっているデコイですが、そのDNAは受け継がれ、やっぱりメルローが秀逸なんです。
メルローという品種は、ときに女性的とも評される柔らかさと豊かな果実感が特徴。デコイのメルローも、ベルベットのような柔らかい質感と、完熟したチェリーを思わせる濃厚なフルーツ感、ちょっとビターなコーヒーのようなニュアンスがあり、味わいに深みと奥行きがあります。
これは完全に余談ですが、私の知り合いの某有名プロゴルファーは「ワインはメルローしか飲まない」と言っていました。ステーキハウスだろうがフレンチだろうが、赤ワインを頼むならばメルロー。それくらい“ハズレがない”イメージなんだとか。「たしかに」という感じがします。
このワインも例に漏れず、3000円台半ばとは思われないような高級感があります。合わせるならば、シンプルに厚めの牛肉にこれでもかと黒胡椒を振ったステーキでしょうか。付け合わせに山盛りのクレソンなんかがあると最高です。もっと気軽に合わせるなら、鶏レバーなんかも合いそう。
というわけで、野球のシーズンは終わってしまいましたが、今シーズンの大谷翔平選手の活躍を祝して、デコイで乾杯、いかがでしょうか?
ヒマワイン
年間約1000種類のワインを飲み、「ヒマだしワインのむ。」というブログを運営するワインブロガー。高いワインも安いワインも、地球上で造られるすべてのワインが好き。

